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78話 琴音と会話っぽい

今回は以前の琴音との会話の強斎視点がメインです


最近、納得のいくストーリーが書けなくて困ってましたがなんとかなりました

「ちっ、これで何体目だ……」


 強斎はそう呟きながら竜の首を切り落とす。


「何故こんなにも配下以外の竜がいる……?」


 テイムの効力が消えたことも考えたが、70下層以下には上級以上の竜しか放っていないのでその考えを除外する。


「しかもこの竜……人間界の竜じゃねぇな……。一体どうなってる?」


 強斎は原因を懸命に考えながらも竜を蹴散らしていく。

 次第に苛立ちはじめ、階層丸々を破壊しようとまで考え始めた。


 そんな時、とある案が出てきてしまった。

 妙案だと思っているのだろう。不気味にニヤついていた。

 そして……。


「お前たち! 聞こえているか!!」


 強斎は叫びだした。


「今からありったけの魔力を放出する!!」


 宣言通りに普通では考えられない量の魔力を外に出す。

 強斎がやろうとしていること……それは――――。


「精霊ども、遠慮なんていらねぇ! 魔力を糧にして一時的に実体化しろ!!」


 本来なら、奇跡的な偶然と実力が必要となる精霊の実体化。

 ゼロから、魔力さえ足りていればどんな精霊でも実体化出来ることを聞いているので、これでもできるのでは? という酷い荒業だ。

 だが、そんな荒業でも成功させてしまうのが、このぶっ壊れチートの小鳥遊強斎だった。


「お、これは成功かな?」


 強斎の周りからどんどん光が出てくる。

 そして――――。


「しゅじん、よんだー?」


 その光の一部が肉体を持った幼女に変わった。

 後に続くように次々に少女幼女が実体化する。


 ざっと500人程度実体化したところで魔力の放出を止める。


「これは……流石に……」


 強斎は目の前のカオスな光景に苦笑いをせざるをえなかった。

 500人の幼女少女が空間を埋め尽くしているのだから。

 しかも、男の精霊が一人もいない。

 傍から見れば行き過ぎたロリコンだ。


「と、とりあえず……お前たち、各階層に散らばれ。異物があった場合は俺に報告しろ。見たことのない竜だったら殺しても構わん。わかったな?」

『わかった!』


 見た目はかなり幼いが精霊だ。しかも強斎の魔力で実体化している。

 一人ひとりが中級の竜程度なら即死させる力を持っているのだ。


「さて、これで少し楽に――――」

「しゅじん、いぶつみつけた!」

「早いなおい!?」


 早速の報告に驚愕してしまった。


「で、その異物っていうのは?」

「80かそうにおんなのひと! あとね、りゅうじん!」


「龍人……? ふっ、そういうことか……。わかった、今すぐに向かう」

「ついていく?」


「いや、大丈夫だ。ありがとう」

「えへへー」


 強斎は精霊の頭を優しく撫でてから80下層に向かった。


………

……



(女の人って……あいつか?)


 80下層の入り口から少し奥に行くと、サイドテールの女の子が座り込んでいた。


「何やってんだ?」

「っ!!?」


 女の子は強斎から素早く距離を取る。

 そして、恐る恐る口を開いた。


「……あなたは?」

「ここの製作者……とでも言っておこうかな」


 今この場所にいる誰かに名前を聞かれるわけにはいかないので、あえて伏せておく。

 ただ、この女の子は敵ではないと確信していた。



コトネ・ホウライ


LV83


HP 5026/5026

MP 7924/7924

STR 512

DEX 554

VIT 573

INT 621

AGI 472

MND 621

LUK 80

スキル

言葉理解

料理LV17

状態異常耐性L12

水属性LV15

光属性LV15

HP自動回復速度上昇LV12

MP自動回復速度上昇LV12


属性

水・光



(コトネ……ホウライ……蓬莱琴音ってところか)


 そう、顔と名前からして日本人だからだ。


「製作者?」

「ああ。というより、お前は一人でここまで来たのか?」


 ステータスを見る限り、一人では絶対にここまで来られない。

 もしかしたら龍人に拉致られた可能性だってある。


「えっと……ここは?」

「ここは80下層。普通ならたどり着けるレベルじゃないぞ」


「80下層!? ここって『コトリアソビ』ですよね!?」

「ん、その通りだ」


 強斎が証言すると、その場で座り込んでしまった。


「……私は一人でここまで来たわけではありません。30下層で仲間とボスを倒した後だったのです」

「30下層から……?」


(仲間……勇志達のことだろうな)


「ええ。ボスを倒して仲間と駄弁っていたのですが……」

「その時に飛ばされたと」

「はい」


 強斎は内心で舌打ちをする。


(クソッ……。既に被害が出ていたか……。迅速に対処しないとあいつらの命も危ないかもしれん)


 基本的に、この迷宮では殺さずに生け捕りにしている。

 しかし、強斎を襲ってきた竜がいる限り命は保証できない。


「あ、えっと。ここは80下層なんですよね? だったら転移部屋があるは――――」

「ボスの部屋は85下層にある。ここはボス部屋でもなんでもない。問題なのは……」


 後ろからものすごい殺気を感じ、確認のために振り向く。

 そして、その殺気の正体がわかった途端だるそうにため息をついた。


「あ……あ……」


 驚愕している琴音を一瞥し、殺気の正体――――竜と向き合う。


(あいつらが倒しそこねた……? いや、違うな……こいつは――――)

「なにしてるの!? 早く逃げないと!」


 強斎の耳には入ってきているが、実行する必要なんて全くの皆無だ。 

 勝手に逃げるだろうと思って放置していたが、驚くことに琴音は強斎の前に立っていた。


「私があの竜を引き付けるから、あなたは逃げて!」


 琴音は魔術を放つが、竜にはダメージを与えられない。

 流石に逃げるだろうと思っていたが、その予想ですらも裏切った。


「せめて、楽に死にたいなぁ」


 琴音はそう呟くだけで動こうとしなかったのだ。


(……あいつらも、いいやつを仲間にしたな)


 強斎は少しだけ嬉しい気持ちになり、琴音の耳元で呟いた。


「死なせねぇよ」


 同時に魔術で竜を爆散させる。

 その光景を目の前で見ていた琴音は驚愕していた。


「え? 助かっ……た?」


 その一言を出した途端にまた座り込んでしまう。

 強斎は試すようなことをした罪悪感を背負いながら手を差し伸べた。


「すまない。これは俺の管理ミスだ」

「管理……ミス?」


 そう、いち早く気がついていればこんなことにはならなかったのだ。

 琴音は強斎の手を取って立ち上がる。


「ああ。この迷宮には強制転移の罠なんて仕掛けていない。恐らく何者かの手によって――――」

「あ、あのっ!」


「……どうした?」

「さっきの竜は……あなたが倒したの?」


「まぁな」

「あなたは……何者なの?」


 幾度もされた質問。

 だが、強斎は変わらず同じ答えを返す。


「ここの製作者……普通の人間だ」


………

……


(さっきの竜。階級は上級を超えていたな。精霊たちが倒せなかったのも無理はない)


 強斎は歩きながらそんなことを考えていた。

 すると、琴音の方から話しかけてきた。


「えっと、私の自己紹介がまだだったね……私は蓬莱琴音。一応ライズ王国出身で、今はドレット王国に住んでいる」

「蓬莱琴音……ねぇ」


 本人の口からその名前を聞くと、やはり日本にいた頃の生活を思い出してしまう。


「な、何?」

「いや、別に。で、お前はどうしてこの迷宮に?」


「レベル上げ……倒したい相手がいるから」

「倒したい相手?」


「うん」


 琴音の目は本気だった。


「私の仲間の友達がね、そいつに殺されたらしいの」

「ほう」


「はっきり言って私には関係ないけど……。なんていうか、今のこの生活が楽しいから一緒に戦っているみたいな?」

「仲間のおかげだから、その仲間を悲しませた奴を許さないと?」


「まぁ、そんな感じ。相手は暗黒騎士って名乗っている魔族らしいんだけど……」

「……」

(……そういう、ことか)


「なんか、めちゃくちゃ強いらしくて……。だから、君にお願いしたいの」

「……」

(結局はあいつらと戦う運命だったってことか……)


「私たちと一緒に戦ってくれない? 竜を瞬殺できる実力なら――――」

「すまないが、一緒には戦えない」

(誰がそんなデマを流したのかは知らないが……)


「……そっか。そうだよね。いきなり戦えって言われても困るもんね」

「……ああ、すまないな」

(これで……目的も果たしやすくなったと考えれば……大丈夫だ)


 少しずつ心にダメージを受けているのを我慢し、琴音をとある場所の前まで案内した。


「この扉の先に行け地上へと出ることができる転移ポイントがある。一方通行だから向こうからは来れないが、外には普通に出れるぞ」

「まぁ、そうだよね……」


 そんな琴音の手に一枚のコインを握らせる。


「……これは?」

「黒金貨だ。迷惑料として受け取ってくれ」


 この黒金貨を渡した意味はもう一つあった。

 それは――――。


(ベルクにこの金貨を見られたらすぐバレそうだな)


 そう、この金貨には特殊な傷がついていた。

 強斎がコイントスをして遊んだ時の傷が。


(だが、それでいい。少しでも匂わせたほうが面白くなる)


「えっと……とりあえずありがとう?」

「こちらこそすまなかったな」


「また、会えるかな?」

「……ああ、また会えるさ」

「そっか」


 琴音はそれだけ言って転移の準備をした。


「じゃあね」

「ああ、次に会うときは敵として会うことになりそうだがな」


 最後に見た琴音の顔は驚愕だった。


「……」


 強斎は静まり返った空間で、小さく鼻を鳴らした。


「おい、いるんだろ? そろそろ出てこいよ」

「……最後まで名前を口に出しませんでしたね」


 予想通りの人物に深い溜息をついてしまった。

予想通りの人物とは……?


あ、新作の方を投稿しましたがメインはこっちです

新作は欲望のままに書いている現代異能です

読むときは覚悟して読んでください

女性の方にはオススメできません……ごめんなさい

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