76話 脳筋魔王っぽい
前話を少しだけ修正しました
そしてまさかの連続?投稿です
変なテンションで書いているので少しおかしいかも
「む……しぶといです」
ルナは手に持った銃で標的を撃つ。
だが、その銃弾は外れてしまった。
「ルナちゃん、それ本気?」
「ま、まだまだです!」
アイテムボックスからもう一丁魔銃を取り出し、標的……ミーシャ目掛けて乱射する。
「ふふっ、そう来なくっちゃ」
「ミーシャさん、余裕ですね」
「そう? 結構限界よ?」
「そう言っておきながら、カスリもしてないじゃないですか!」
ルナが二丁の魔銃でミーシャを撃ち。
ミーシャがルナの銃弾をひたすら避ける。
傍から見たらとんでもない修羅場だが、二人にとってこれは遊びだ。
ついでに、レイアは昼寝をしている。
「わー今のは危なかったなー」
「棒読みで危機感全くないですね!」
ミーシャは更に挑発するように手を振った。
流石のルナも、これには頭にきたようだ。
「いいでしょう……怪我しても知りませんからね!!」
「そう来なくっ――――って、ルナちゃん!? それはヤバイって!!」
「問答無用です!!」
ルナは遠隔操作を使い、合計十六丁の魔銃をミーシャに向けた。
「私のMPが枯渇するまで打ち続けますからね!」
「えっ、ちょっ……!」
戸惑っていることなど関係なく、銃弾の雨はミーシャを襲った。
(流石にこれは……避けきれませんね)
ミーシャは仕方なく『空間移動』を使ってルナの背後に回る。
「『インヴァリデイション』」
そして、魔術無効化の魔術を使う。
この魔術を使えるのは、世界でたった三人……強斎、ゼロ、そしてミーシャだけだ。
「……流石にずるいです」
「ええ、今回は私の負けですよ。ルナちゃんも強くなりましたね」
ミーシャはアイテムボックスからりんごを取り出し、ルナに差し出す。
ルナは耳をぴょこぴょこ動かしながら受け取った。
「ありがとうございます!」
「ルナちゃんがこんなにもこの果実にハマるなんてね……ちょっと意外」
「へへっ、私も驚いてます」
ルナの喜んだ笑顔を見てほっこりするミーシャだが、思考はそうもいかなかった。
(キョウサイ様……また何かやらかしそうですね……)
主人の心配よりも、主人の周りの心配をするミーシャであった。
………
……
…
「ほう、ここが魔界で一番偉い魔王の城か」
「ここを拠点にするのも悪くないわね」
強斎とゼロは、そんな冗談で済まされない会話をしながら城に乗り込む。
「いや、お前らが言うと本気でやりそうで怖いんだが……」
ついてきたキャルビスも不安でいっぱいだった。
「今回は大魔王への挨拶だったな?」
「ああ、お前も立派な魔界の住人だからな。挨拶ぐらいしろとのことだ」
ゼロはちょっとだけ不機嫌そうにキャルビスを睨むが、キャルビスは肩をすぼめて苦笑いをする。
そんなこんなで大魔王の部屋にたどり着いた強斎は、ニヤニヤと笑っていた。
高さ数十メートルの扉。これだけで厨二心をくすぐられた。
そして、小さく鼻を鳴らしキャルビスを一瞥する。
それだけで何をするつもりなのか察してしまう。
「お、おい! なにをするつも――――」
「おじゃましまーす」
ただの蹴り一発で高さ数十メートルの扉を粉々に粉砕させた強斎は、何事もなかったかのように部屋に入っていく。
ゼロもノリノリで付いていった。
キャルビスだけは状況についていけていないようだ。
部屋の中はかなり広く、軽くコロシアムが開ける程度はある
その奥で、嫌でも目に入るほどの存在感を持った巨人が座っていた。
「お前が大魔王か」
「ふっ、新参が。礼儀を知らんのか」
どうやらこの大魔王はこういう手口になれているようで、特に焦った様子は見せなかった。
#
ルシファー
LV15000
HP 554830/554830
MP 347712/347712
STR 33512
DEX 39031
VIT 40128
INT 40056
AGI 38725
MND 45669
LUK 100
スキル
剣術LV70
体術LV70
調教LV88
状態異常耐性LV60
空間把握LV43
火属性LV53
水属性LV55
土属性LV54
風属性LV55
闇属性LV78
HP自動回復速度上昇LV62
MP自動回復速度上昇LV67
限界突破
隠蔽LV35
魔王の威圧波動LV50
属性
火・水・土・風・闇
魔族の王(???)
#
(ほう……ルシファーか……この世界にいるんだな)
強斎でも知っている有名な悪魔。
その名前を持った者が強斎を睨みつけていた。
だが、その余裕の表情は段々と驚愕に変わっていった。
「な、な、なんで……あなた様が……ここに!?」
ルシファーの目線は強斎ではなく、その隣……ゼロに向けられていた。
「ゼロ、知り合いか?」
「ううん、知らない」
「貴様! 魔神様に気安く話しかけるな!!」
「やっぱ知り合いだろ」
「知らないわよ。それより、あいつ潰していい?」
「魔神様! 目を覚ましてください!」
どうやらルシファーはゼロのことを知っているらしく、自ら立ち上がって寄ってきた。
キャルビスは全く状況を把握していない。
「私です! ルシファーです!」
「るしふぁー? いえ、知らない子ですね」
「魔神様が封印される前の戦争で一緒に戦ったではないですか……!」
「そんな数百万年前のことなんて覚えているわけないでしょ。それより、よく主人にそんな言葉を言えたものね。消されたい?」
「くっ、やはり洗脳を受けて……! 貴様! 絶対に許さんぞ!」
「ゼロ、勘違いを加速させるんじゃない。ややこしくなるだろう」
完全にブーメランな発言をした強斎に、ルシファーは遠慮なく襲いかかる。
「おお、巨体が襲いかかってくるって迫力あるな」
「どうする? 私が相手しようか?」
「いや、俺が相手する」
目の前まで迫ってきた拳を人差し指一本で受け止め、ルシファーを嘲笑う。
「はっ、これが大魔王の力? 笑わせるな」
「ぐおぉ!!」
拳に魔力を込めるが、強斎の指は微動だにしなかった。
「お前は図体はデカイが考えが単純すぎる。つまりは脳筋だ」
「どういう……ことだ!」
「こういうことだよ」
強斎は一瞬だけ指を引っ込めて、弾いた。
それだけで、ルシファーの手首の骨が外れてしまった。
「一瞬の変化も気にせずに攻撃を仕掛けてくる。脳筋じゃなかったらなんなんだ」
「くっ!」
ゼロは一瞬だけ見られたことに気がつき、ため息をついてから説明する。
「あんたがどんなやつだったかなんて私は覚えていない。でも、私は洗脳なんか受けていないし受けるつもりもない。私は主人の眷属で、主人は私よりも圧倒的に強い。あんたみたいな魔族に倒せる相手じゃないのよ」
「魔神様……」
「そこの魔王も理解した? 主人が私の眷属じゃなくて、私が主人の眷属なの。そう……魔神の主人よ」
「っ!!」
今まで溜まっていた何かを吐き出すように言ったゼロは、どこかスッキリした顔だった。
「はぁ、やっと言えたわ。魔神様魔神様って言ってるくせに、その魔神の主人に対しては普通に接する事がどれだけイライラしたか……」
「俺は別にかまわないが……だが、ここでその発言は正解だったようだな」
いつの間にかルシファーとキャルビスは跪いていた。
「今までのご無礼、申し訳――――」
「そういうのいいから」
「ありがとうございます」
(うわー……心変わり早くて逆に気持ち悪いな)
レイアの時とは感想が全く違うが、そんな感情は押し殺して言葉を続ける。
「とりあえず、この魔界を支配する。そして――――」
強斎はそこで少しだけ躊躇った。
この言葉を口にしたらもう戻れなくなる。
だが、何故か自然と声に出してしまった。
「人間界に戦争を吹っかける。いいな?」
「承知しました」
(これで、俺は向こう側には戻れなくなった。あいつらと戦う事になってしまったな……)
強斎は、一緒にこの世界に来た仲間たちを思い浮かべる。
もう数ヶ月会っていないが、はっきりと顔を覚えている。
「主人が戦争を始めようとするなんて……どういう風の吹き回し?」
「人間界を敵に回してでも確かめたいことがあるんだ」
「ふーん……理由を聞いてもいい?」
強斎は愛用の刀を抜き、天に突き刺した。
「神というのをあぶり出すためだ」
遂にゼロの正体が知れ渡ってしまった!
強斎の言う神とは……!?