44話 これからの行き先っぽい
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それと、誠に勝手ながら、感想の返信より、小説を書く事を優先さしていただきます。
感想は全てしっかり目を通していますので、これからもよろしくお願いします。
「え……?……妊娠?ちょっと、どういうこと……?」
ゼロのとんでもない発言により、場が固まってしまい、声を出せるのはミーシャだけだった。
そして、ゼロは真剣な顔つきのまま、口を開いた。
「――――――まぁ、冗談はここまでにして、そろそろ本題に入りましょうか」
『………………』
――――――――ピキッ。
何かが切れる音がし、その数瞬後……。
「れ、レイアさん!落ち着いてください!武器をしまってください!!」
「ルナ、放しなさい!今こいつを半殺しにしなくちゃいけないから!」
レイアが暴れだし、ルナが押さえる形になる。
しかし、ステータスの差により、レイアはルナの拘束から抜け出した。
「言って良いことと、悪いことがあるでしょうがぁ!!」
「あはは、ごめんね。それに、主人のことについてって言ったでしょ?」
レイアは半殺しと言っていたが、振り下ろされたメイスは魔力で強化され、レイア自身も身体強化を使っていた。
地球の場合、軽く地形を変える威力である。
しかし、ゼロはそのメイスを、涼しい顔をしながら素手で掴んだ。
その時の衝撃により、周りの木々が吹き飛ぶ。
レイアはメイスを押し込もうとするが、ピクリとも動かなかった。
その間に、ミーシャがゼロに質問をする。
「で、なんで、そんな冗談を言ったの?」
「ちょっと揶揄おうとしただけなんだけど……。それと、一度は言ってみたかった」
ミーシャの質問に苦笑い気味に答えるゼロ。
ミーシャは大きくため息をすると、ゼロを睨めつけるように見る。
「ゼロが真剣な顔になると、ゼロは冗談で言ったつもりでも、私たちは冗談に聞こえないのよ。気をつけなさい」
「本当にごめんね。レイアも、ルナも」
「許さん!」
「あ、はい。大丈夫です」
順にレイア、ルナである。
「レイア、そろそろ本題に入りたいんだけど……」
「1発殴らせろ」
「そんな暴力好きな女性は、主人に嫌われるわよ?」
「うぐ……」
すると、レイアはメイスに入れる力を弱め、ゼロから離れた。
「う……その……許す。だから……」
「大丈夫よ。元は私が悪いんだから」
そう言って、ゼロは周りを見渡してから口を開いた。
「さて、本題だけど、さっきも言ったように主人のことについてだから」
そうゼロが言うと、皆頷く。
「じゃあ、一つ問題ね。私たちの周りの木々は、どうして吹き飛んだと思う?」
その問題にルナが答える。
「えっと、レイアさんの攻撃をゼロさんが受けたときの衝撃でこうなりました」
その答えにゼロは満足気に頷き、口を開いた。
「そう、その通りよ。それじゃあ、ルナ。ちょっと全力で走って、この森から出てから戻ってきて」
「……え?何故ですか?」
「それは後で説明するわ」
「わかりました」
そう言って、ルナは全力で走り出した。
無事だった木々もルナが通ったところだけは無事ではなくなった。
その速さはマッハ740超。
勿論、一瞬で戻ってきた。
「ただいまです」
「はい、おかえりなさい」
ゼロが笑顔で迎えた。
「ゼロさん、何故私は走ったのですか?」
「そうね、さっきルナが走ったところを見てみなさい」
そう言って、一同は先ほどの通路を見る。
そして、ゼロは言葉を続けた。
「木々が大変な事になってるでしょ?」
その言葉の意味を理解している者はいなかった。
しかし、次のゼロの言葉によって、全員が理解することになる。
「じゃあ、主人がさっきみたいに走って戻ってきた場合、どうなってた?」
そう、その答えは……。
「何も起こらない。ですね」
ミーシャのつぶやきに皆頷いた。
「そう、主人の場合、このような事にはならない。そのことについて、いくつか推測してみたわ」
ゼロがそう言って3本の指を立てる。
「最も有力だと思った三つを話すわね」
ゼロは皆が頷いた事を確認し、指を一つ立てて、口を開いた。
「まず一つ目、主人が意図的にそうしている。普通は、毎回精密に衝撃を消すなんて、簡単なことじゃないのだけど……主人だから、この考えが合ってる気がした」
次に指を二つにする。
「次に二つ目、主人のスキル、もしくは属性の効果。主人のスキルの中には、私の知らないスキルや属性があったわ。もしかしたら、その効果かもしれない」
そして、三つ目の指を立てる。
「最後に三つ目、主人の特殊能力」
『特殊能力?』
普段聞かない言葉に、皆首を傾げる。
その疑問の答えをゼロが話す。
「そう。まぁ、例を挙げるとするなら、私たち精霊ね。精霊と一部のエルフは魔力を見ることが出来る。これも特殊能力の一つよ」
「特殊能力ってのは皆が持っているのか?」
レイアの質問に、ゼロは静かに首を横に振る。
「いえ、普通は持たないわね。というより、特殊能力持ちは普通じゃないわね。私が知っている中で、魔力を見る以外の特殊能力持ちは、本当に極一部の神だけだったわ」
少しの時間、場が静まり返った。
最初に口を開いたのはミーシャであった。
「ゼロの言いたいことはわかったわ。それと、キョウサイ様が居ない時に、この話をする理由も」
ゼロはキョトンとした顔で、ミーシャをみた。
そんなゼロにミーシャは微笑みかけ、言葉を続けた。
「ゼロも、本当にキョウサイ様が好きなのね……」
すると、ゼロの顔がみるみる赤くなる。
そんなゼロを無視して、ミーシャは話を続ける。
「大体予想はつくわ。キョウサイ様は、自分が異世界人だということを、中々打ち明けなかった。それは、私たちに避けられると思ったから。そこに、特殊能力の話まで来たら、キョウサイ様がどうなってしまうのかわからない。そういうことでしょ?」
こくりとゼロは頷いた。
未だに顔は赤い。
ミーシャは微笑みながら、口を開いた。
「ほら、そんな真っ赤な顔だと、キョウサイ様に心配されますよ?恐らく、もうそろそろ戻ってきますから」
すると、ゼロはため息をして、苦笑いをした。
そして、ミーシャはゼロのそばに寄って、ゼロ以外には聞こえないような声量でとあることを言った。
『そう言えば、本当に妊娠してないんですよね?』
「今!?」
『しっ!声が大きい』
『あ、ごめん。……ええ、本当に妊娠はしていないわよ。とある方法じゃないと、私たち精霊もあなたたちと同じように、異族との子供はつくれないわ』
『とある方法?』
『それは後々話すわ』
その言葉を最後に、お互いが離れる。
「何をしていたのですか?」
ルナは少し興味があるみたいで、先ほどのやり取りを訊いてきた。
「特に何もしてないわよ」
そうゼロが言うと、ルナは少し不満そうだったが、それ以上は訊かなかった。
強斎が帰ってきたのはその数分後であった。
………
……
…
「よし、早速魔王に会いに行くか」
転移門を潜った後の強斎の第一声がこれだ。
「やっぱり、ここから一番近い魔国に行くの?」
ゼロの問いに、強斎は頷いた。
「ああ、とりあえずな。でも、もう魔国に行く意味無いような気もするんだが……」
「そうかしら?ここから一番近い魔国は、魔界で二番目に知識が豊富な国よ?」
「どういうことだ?」
ゼロの言っている意味が、強斎にはうまく伝わっていなかったようだ。
「主人は、知識を求めて魔界に来たんでしょ?」
「まぁ、そうだが……」
少し躊躇いがちに答えた。
「その知識って、魔術に関係することなんでしょ?それが、二番目に豊富な国なの」
「……そうか」
強斎は少し悩んだが、元々魔国には行くつもりだったので、結局そこに行くことになった。
「よし、じゃあそこに行こう」
「で、主人はなんで悩んでたの?」
行き先が決定した途端、ゼロがジト目で強斎に質問する。
「あ、いや……ちょっとな……」
「どうしたのですか?」
ミーシャまでもが加勢する。
すると、強斎は苦笑い気味に口を開いた。
「……俺、魔界の通貨持ってない」
『あ……』
レイア、ルナまでもが口を合わせて呟いた。
やはりというか、場が静まり返った。
すると、ゼロが何かを思いついたように顔を上げ、口を開いた。
「その魔国の頂点に立てばいいじゃない」
「……は?」
強斎以外は、何故か皆納得していた。
「いやいや、お前ら。何納得してんだよ」
「主様、魔界では強いものこそが上に立つ。そう人間界で言い伝えられているのです」
ルナの言葉に、皆揃えて頷く。
そして、それに続くようにゼロが口を開く。
「まぁ、言い伝えも何も、それが正解よ。魔界では力が全て。地位の高い魔族は基本的に高ステータスね。あ、主人と比べたらダメよ?」
最後の付け足しは、言われなくてもわかっていた。
「でも、頂点とか面倒だろ」
「主人、それは他人任せでいいのよ」
(うわ、適当だな……)
強斎は口に出すのを何とか堪えた。
そんな強斎を見て、ゼロが不敵に微笑んだ。
「だったら、私たちの誰かに任せてもいいのよ?本来、奴隷とかってそういうものだし」
そうゼロが言い終わると、強斎は一つため息をして、苦笑いをした。
「今回ばかりは、頼むかもしれんな」
「今回ぐらい頼まれないと、私たちが嫌ね」
そうゼロが言うと、他の面々も同じだったのか、深く頷いていた。
いつの間にか、乗っ取る前提で話が進んでいるが、誰も気づいていなかった。
「さて、じゃあ、乗っ取りに行く前に……」
強斎はそう言って周りを見る。
いつの間にか、魔物に囲まれていたのだ。
「ちょっと、お前たちの連携というものを見せてもらお――「主様」……ん?」
強斎が言い終わる前に、ルナが口を挟んだ。
「どうした?」
「いえ、今回の件、私に任せてください」
「この魔物の撃滅か?」
すると、ルナは一泊間をおいて、真剣な眼差しで強斎を見た。
「魔国の乗っ取りも含めて。です」
「……ほう、珍しいな」
普段とは違うルナに、少し驚く強斎。
そして、ルナは言葉を続けた。
「……私は、この中で一番弱いです。ですから、他の事で、主様に尽くしたいのです」
ルナの目は真剣だった。
強斎は、「気にするな」と言おうとしたが、それはルナの尽くす心を壊す様な感じがしたので、強斎はそれを言わなかった。
その代わりに強斎はルナの頭に手を置いて、口を開いた。
「そうか。頼りにしてるぞ」
「っ!……はいっ!!」
その後、ルナは笑顔で魔物を蹴散らしに行った。
「主人、あれって無自覚でやったの?」
「何をだ?」
「いや、もう……なんでもない」
ゼロは半分呆れていた。
次回は魔国へ乗り込みです!
お楽しみに!
前書きで感想の返信が遅れると書きましたが、それで感想がピタリと来なくなったら泣きますからね?
本当ですよ?本当に泣いちゃいますよ?自分は心も体も脆いのですよ?