41話 ポーション作りっぽい
お久しぶりです!
今回は自分の欠点の一つである、誰が何を話しているかを意識して書きました!
強斎が出発を宣告する約1ヶ月前。
この日、一つの神が消え去った。
*
「今日はポーションを作る」
食事中に、強斎はそう言い出した。
そして、一番最初にそれに対して口を開いたのはミーシャだった。
「突然、どうしたんです?回復は必要ないと思いますが……」
皆、同じような考えだったようで、全員が頷く。
そして、その問いに強斎はこう答えた。
「だって、面白そうじゃん」
何とも強斎らしい答えだった。
「それに、いざという時があるだろ?備えあれば憂いなしだ」
こうして、ポーション作りが始まった。
………
……
…
「よし、とりあえず必要な材料を集めてくれ」
「え?用意してないの?」
ゼロがキョトンとした表情で、聞き返す。
「さっき思いついたからな。てか、ポーションって薬草と水でいいんだよな?」
「主人って考えなしなのね」
「悪かったな」
「そこが主人らしいのだけど。……まぁ、確かに簡易ポーションならそれでいいはずよ」
少し微笑んだゼロはそう答えた。
「簡易?」
「そう、下級ポーションとかね。しかも、万能じゃない特化型しか作れないわ」
「ほう、だったらどうやったら作れるんだ?」
「わからないわ」
そう、肩をすくめて答えた。
「……そうか。まぁ、とにかくこの森にある薬草集めてきてくれ」
「ご主人様は?」
レイアが強斎はその間どうするのかを訊いた。
「俺か?そうだな……新魔術でも――――」
「すぐ採ってくるので、何もしないでください!!」
ミーシャが、そう声をあげて森の中に消えていった。
それに続き、レイア、ルナまでもが血相を変えて薬草を採りに行った。
そして、最後に残ったゼロがこう言った。
「魔術を使っちゃダメよ。新魔術なんて以ての外だから」
こうして、ゼロも薬草を取りに行った。
若干、冷や汗が出ていたことに、強斎は気がつかなかった。
………
……
…
「とりあえず、私はこれだけ採ってきました」
数分後、強斎の目の前にあったのは、薬草の山だった。
先ほど、ミーシャが出したので最後だ。
「……こんなに採ってきて、この森大丈夫か?」
強斎が、苦笑い気味に薬草の山を見て呟く。
すると、ゼロは少し考える素振りをして、口を開いた。
「大丈夫なんじゃない?」
「根拠は?」
「薬草なんてすぐ生えてくるし。だから大丈夫よ」
その答えに強斎は頷き、元々ポーションが入っていた物を取り出す。
腰を下ろして、強斎は作業に入った。
(この中に薬草と水を入れて…………どうするんだ?)
いきなり詰んだ強斎である。
それを見て、ルナが近寄り意見を言った。
「加熱とかどうですか?」
「加熱か……まぁ王道だな」
「え?王道?」
「いや、なんでもない」
危うく記憶喪失ではない事がバレそうになるが、なんとか誤魔化す。
「とりあえず、やってみるか」
そこで、強斎は火を使う魔力を流し込む。
そう、流し込んだのだ。
魔力を魔術に変換する前に、その入れ物に流し込んでしまったのだ。
そして、その結果は――――。
――――失敗だ。
小さな爆発を起こしてしまったのだ。
そして、その被害はルナのみが受けた。
「あうぅぅぅ!目がぁぁぁぁぁ!目がぁぁぁぁぁぁ!!」
ルナは目を押さえて転げまわっている。
さっきの爆発の衝撃を強斎の次に近くで受けていたのだ。
この時、強斎の頭の中にレベルアップ音が響くが、全く聞こえていない。
「ルナ!大丈夫か!?」
とりあえず、ルナのステータスを確認する。
(HPは、ほんの少ししか減っていないから大丈夫か。しかし、状態異常盲目か……)
と、そこで強斎は周りを見る。
「お前らは大丈夫だったか?」
全員、しっかりと頷いた。
「よし、ゼロ。ルナは盲目状態だ。治せるか?」
「そんなもの一瞬よ」
ゼロがルナを一瞥し、また強斎に向き直った。
「はい、終わり。元々治りかけだったから、直接触れなくても良かったわね。それと、主人は焦りすぎよ。盲目状態なら光属性や水属性でも治せるし、それ程危険な状態異常じゃないわ」
「そ、そうか……」
「それと、ルナも大袈裟過ぎよ?盲目程度で、あそこまで――――ん?」
「どうした?」
ゼロが何かを考えたが、それも一瞬だった。
「えっとね、なんでルナが状態異常にかかるのか疑問に思ったんだけど……主人が使った魔術だから、しょうがないかなと」
地味に痛い言葉だった。
「そ、それより……。ルナ、大丈夫か?」
強斎は、ゼロの痛い目線から逃げるようにルナに話しかけた。
ルナはフラフラと立ち上がり、ゆっくりと目を開ける。
「は、はい……すみません、迷惑をかけてしまって……盲目状態にはなったことあるんですが、何か凄い痛みを感じてしまって……」
すると、ゼロが何とも言えない顔になって、話し出した。
「ごめん、多分それ、失明一歩手前の危ない盲目状態だったわ」
ルナは身震いするが、その後の「まぁ、失明だろうが体が真っ二つになろうが、HPがあれば完全に回復できるけどね」と言うゼロの言葉にほっと一息をつく。
この後、注意しながらポーションを作っていたら、スキルが手に入り、何とか作れるようになった。
*
この森、転移門付近の森は大変な事になっていた。
そう、薬草が生えてこないのだ。
原因は、この森の薬草を管理する小さな神の死。
ポーションの爆発の元になったせいで死んでしまったのだ。
この薬草の神は薬草と同じ形をしているが、本来引っこ抜くことすらできない。
燃やしても、それを上回る回復力で燃え尽きないのだ。
しかし、その異常な回復力のせいで爆発が起きたのも事実である。
火の魔力と回復力が反発し合い、燃えるだけの現象が小爆発まで発展してしまったのだ。
そして、その爆発はその異常な回復力を凌ぐ早さ……というより、回復する前に一瞬でHPを削り取ってしまったのである。
これが、小さな神……転移門付近の薬草神はこの世から消え去ってしまった。
*
「んー……やっぱり覚えがないな……」
強斎は自分のステータスを見ながら、そう呟く。
「金スライムが倒してしまった。って事はないしな」
そう言って、金スライムを見る。
(そもそも、テイムしている魔物が倒しても、経験値は入ってこないしな)
そして、その金スライムを召喚魔術師特有の空間に入れる。
と、そこで強斎はとあることを思いつく。
「なぁ、お前達」
「ご主人様?どうしました?」
レイアが一番初めに答える。
「魔界に行くとか言っときながら、悪いんだが、ちょっとの間ドレット王国に行ってきていいか?」
「そう言えば、前も言ってましたね」
レイアが首を傾げながら言う。
「まぁ、色々と事情があってな。直ぐに戻ってくると思うから待っていてくれないか?」
「食事に夢中になって戻ってこないとかはなしよ?」
ゼロが真顔でそう言った。
「大丈夫だって、そん時はお前らも連れてくるから」
「あ、可能性はあるんだ」
「まぁ、善処する」
そう言って、強斎は眷属たちから少し離れる。
そして――――。
――――――ロングコートから黒い竜の羽を生やした。
「「「「!!?」」」」
それには流石の眷属も、驚きを隠せなかった。
「んじゃ、行ってくるわ」
その瞬間、強斎は消えてしまった。
その数瞬後、ゼロが口を開いた。
「これも、主人だからしょうがないのかしら?」
その問いにミーシャが答える。
「そう考えるしかありませんね」
「……そうね」
そう言って、ゼロはため息をした。
そして、ゼロは一度周りを見て、再度口を開いた。
「ちょっと、主人について話したいことがあるわ」
その時のゼロの顔は、かなり真剣な顔つきであった。
次回、ドレット王国に到着っぽい or ゼロの推理っぽい or その他
お楽しみに!
計算技術検定受けてきました。
それと、最近モンストとアヴァベルオンラインにハマってます。
外出先でもやってましたww
まぁ、東方と艦これは不動ですがね。