28話 狂ってしまうほど愛しているっぽい
今気がついたんですが……
ゼロのステータスのE+30超って、強斎の時は普通に表示させていましたよね……?
今回は閑話に近いけど、閑話じゃない……
宣言します、伏線です。
「……お…………み……お…………澪!!」
強斎がゼロを仲間にする少し前の深夜。
ドレット王国の王宮では澪を呼ぶ声が聞こえていた。
その声で呼ばれた本人、洞爺澪は静かにまぶたを開ける。
「……鈴?」
そう、澪を呼んでいた声の正体は、羽田鈴であった。
「よかった……やっと起きた」
「どうしたの? こんな夜中に」
「どうしたの? じゃないわよ……」
そう言って鈴は澪の頬に指を当てる。
「ひゃっ!?」
急な出来事に軽く混乱する澪。
しかし、月明かりに照らされた鈴の顔を見て、混乱は晴れた。
「……鈴? 本当にどうしたのよ? そんな悲しい顔しちゃって……鈴らしくないよ?」
そう言って澪は鈴の頬に手を当てようとするが、その前に鈴の指が離れた。
「……私の心配をする前に、自分の心配をしなさいよ……ばか」
「え?」
鈴の指を見て澪は一瞬固まり、鈴に触れようとしていた手を自分の頬に当てる。
「……あれ? ……なんで? …………なんで、私…………泣いているの? ……いやだな……なんでだろ……あはは……」
澪は無理矢理笑おうとしているが、それを裏切るように涙は勢いを増していった。
「ぐすっ……なんで……? なんで……止まらないの……?」
何度も拭うが、止まる様子はない。
その姿を見て、鈴は堪らず澪を抱きしめた。
「……我慢しなくていい。おもっきり泣きなさい。澪」
すると、何かが吹っ切れたように澪は泣き出した。
「逢いたい……! 逢いたいよ!! 強斎に会って話がしたいよ!! 強斎……! 強斎!!」
鈴にしがみつき、そう涙声で言う澪。
鈴はそれを無言で受け取った。
暫くすると澪が泣き止み、ポツリポツリと話し始めた。
「私……魘されてた?」
「ええ。とっても苦しそうに。見ているこっちが不安だったわ」
「そっか……」
澪と鈴は数週間前から同じ部屋で寝るようにしている。
澪はキュッと鈴にしがみつくと、「あのね……」と話をしだした。
「私、夢を見てたの……すっごく残酷な夢。今まで生きてて、ここまで残酷な夢なんて見たことなかった」
「……」
そして、澪は一層強く鈴を抱き締める。
「……強斎がね、目の前で殺される夢……。何度も何度も何度も何度も何度も……!! 叫んでた……! 苦しいって! 痛いって! 助けてって!! それなのに私は身動き一つ取れずに、ただ強斎が殺されるのを見せられ続けた!! ……なんで!? なんで強斎があんな目にあわなきゃならないの!?何で力無き人をあそこまで楽しく殺せるの!? 何でこんな夢を見るの!?」
「澪、落ち着きなさい」
澪が発狂しそうだったので、鈴が囁くように止めに入る。
現に、澪の出していた魔力のせいで、窓に少しヒビが入っていた。
「…………ごめん、取り乱した」
「そうよ、器物損壊になるところだったわ」
そう言って澪を少し離し、「ふふっ」っと笑いかける。
「ねぇ、強斎の事、教えてもらってもいいかな?」
「え?」
突然のことにより、澪は驚く。
「私さ、強斎の事は高校からしか知らないし……澪はもっと前から強斎の事が好きだったんだよね?」
「……うん」
静かに答える澪に、苦笑い混じりに鈴が話しかける。
「だから教えて?澪にとって強斎はなんなのか。澪は強斎にどんなことをしてきたのか。強斎は澪にどんなことをしてきたのか」
すると、澪は地球にいた頃の事を思い出し、今度こそ本当の笑顔を見せた。
「いいわ、教えてあげる。何から知りたい?」
「そうね……。じゃあ、強斎以外と結婚する気ある?」
「ない」
即答だった。
「じゃあ、付き合うつもりは?」
「ない」
こちらも即答だった。
「ふふっ、澪らしいな。じゃあ、澪はどれだけ強斎が好き?」
すると、澪は一瞬息を詰めるが、鈴の目を見てしっかりと答えた。
「大好き。この気持ちは絶対に負けて無いぐらい好き」
「そ、そうなの……?」
澪の気迫に押される鈴。
「うん。私ね、小学生の頃に、強斎の体操服の匂いを嗅いだこともあるんだから」
「へ?」
突然の告白に鈴の思考はフリーズしかけた。
しかし、澪の告白はまだまだ続く。
「リコーダーだって交換したし、プールの時間にズル休みして、その……ぱ、パンツを被ったり……」
「はぁぁ!!??」
もう、何が何だかわからなくなっていた鈴だった。
澪はピュアなイメージがあったが、強斎のことになると理性が持たないらしい。
それでも、人前ではその姿を見せないので、犯罪まではいかなかったみたいだ。
「中学の時は、キャンプで寝込みを襲う計画を立ててたねー……で、実行したらそこで緋凪と出会ったわけ」
「……」
「勿論、夜這いは無理だったわ……」
「あ、はい」
もう、澪と言う存在が、わからなくなってきた鈴である。
「それにね、携帯で盗撮も何十回……あれ? 何百回かな? それぐらいして、強斎専用のメモリも買ったんだから」
「……」
もう、ドン引きである。
しかし、そんな鈴の様子に気がつかずに、澪はドンドンヒートアップする。
「それでね! 私の家と強斎の家って近くてね……。それで、家の用事で中学の時、泊まったこともあるの!」
キャー!と両手で顔を隠す澪。
「その時はね、強斎がおっきい方の用でトイレを使った時、私も直ぐに使っちゃったんだ! 勿論洋式だから……その……ね? もう、お尻に当たる生温かさとか、トイレに充満する強斎の匂いとか……色々興奮を抑えられなくて……その……しちゃったんだ……自慰行為……強斎の家で……」
顔を真っ赤にさせ、俯く澪。
鈴はもう、無言を貫き通している。
そして、澪はガバッと赤い顔を上げると、これが本命と言わんばかりで言葉を続けた。
「でねでね! 私、強斎がお風呂入っているのを狙って、覗き見しちゃったんだ……! でも、強斎のたくましい体を見れたのは良かったんだけど、覗きがバレちゃって……。嫌われると思ったんだけど……。その時、強斎はなんて言ったと思う?」
「え? あ……え?」
もう、何が何だかわからない鈴は、混乱状態だった。
「一緒に入るか? って言ってくれたんだよ!! もう、今にも飛び込みたかったけど……その……下が濡れちゃってて……ね? 恥ずかしかったから、脳内撮影して、直ぐに立ち去ったんだけど……私、濡れてるだけじゃなくて、鼻血まで出してたの……! もう、危なかったわ~……見られたら恥ずかしさで死んじゃうところだったよ」
そこで、話が一段落したので、続きが来る前に、フリーズした思考を戻した鈴が話し始めた。
「はぁー……もういいわ、澪がどれだけ強斎を好きなのか。私じゃ相手にならないほどに、強斎を愛しているのね」
「え?」
そう、その言い方はまるで――――。
「…………まさか、鈴も……なの?」
「ええ、そうよ。私も強斎が好き」
「でも、鈴は大地を……」
「大地も好き。でも、強斎も同じぐらい好き。友達としてじゃなくて、一人の男としてね」
鈴の目は本気だった。
そして、言葉を続けた。
「まぁ、強斎の好きは大地とは少し違うかな。今なら何となく……うん、多分、私は強斎に憧れていたのかも。でも、今はそんなの関係ない。澪、あなたの大好きな強斎は、落ち込んでる澪を好きになれるかしら?」
「え?」
「だから、強斎は、落ち込んで自分を責めるような人を好きになると思う!?」
「……思わない」
「そう、だから落ち込まない! 次に泣くときは強斎の胸で泣きなさい」
「鈴……。ありがとう」
「私は昔話を聞かされただけよ?」
「うん、それでも。私、もう一度自信を持てるようになったよ。改めて強斎に対する想いを振り返って」
「そう、なら良かったわね。あ、そうだ――」
鈴はにやりと笑い、鈴にとある言葉を言った。
「この世界は一人の女性が何人もの男性と結婚するのも、その逆も認められているから。……クヨクヨしていると、私が強斎を奪っちゃうね」
「なっ!!」
「んじゃ、お休み、澪」
「ちょっと!どういうことよ!」
「ZZZ……」
「あー……もう!」
その時、日が顔を出した。
そして、その日を見て、澪は決意する。
(強斎に会うまで、私は泣かない。次に泣くときは強斎の胸で泣く。そして、想いを伝える)
そう、思いながら澪も二度寝を開始した。
ね、眠い…
澪の強斎に対する想いを書いてみましたが……
『これ、ヤンデレ化するんじゃね?』
と思いながら書いていました、はい
ヤンデレ予定は入れていません。
リクエストが多ければ新しいヒロイン追加しましょう。
自分の書きたいヒロインは一通り揃ったので。
そう言えば、作中の中で地形とかわかりにくい話ありました?
あったら感想で言ってください。できるだけ頑張って直します
それと、ルビ確認ができるようになったので、それも追々直していきたいです
感想待ってます!
うおお……舌がダルイですわ…
小説書いている時にドタ☆バタ紅魔館歌ってましたから…