閑話1 鈴と強斎 前編っぽい
なんだかんだ、鈴が気に入っている自分です。
ちょっと全体を少し修正しようと思います
鈴は中学生の頃、女子からは陰口等を受けていて、男子からは厭らしい目線を向けられていた。
高校生になったら変わる……。そう思ってずっと耐えてきた。
しかし――。
(変わらない……中学の時の最初もこんな感じだった……)
ヒソヒソと聞こえる声、男共のいらやしい目線。
殆ど変わっていなかった――。
………
……
…
鈴は指定のクラスに着き、入っていった。
やはり目線が集まるが、何か違った。
鈴は疑問に思いながらも、指定の席に座り、その時間を過ごした。
………
……
…
入学式などが終わり、自由の時間が与えられた。
鈴はさっさと家に帰りたかった。
そして、何となく周りを見る。
(あれ?)
男共の目線は、多数がこちらを向いていたが、自分だけじゃないような気がした。
鈴はその事が気になり、今まで向いていなかった後ろを振り向いた。
鈴は絶句した。
(なんで……)
そう、後ろの女性は、どれだけ視線を向けられても、堂々としていた。
視線を向けられるのが快感に思っている様子もない。
他の女子にも積極的に話しかけて、まるでイジメの怖さを知らないみたいに。
鈴は知りたかった。
どうして、そこまで堂々とできるのか。
勇気を出して、鈴はその女性に声をかけた。
「あ、あのっ……!」
その女性は少しビックリしていたが、すぐ笑顔になり……。
「どうしたの?」
「えっと……その……」
「?」
「なんで、そんなにも堂々としていられるの?」
その女性は、キョトンとして、全てを察したかのように、優しい目で鈴を見た。
「そっか……、貴女も苦労したんだね」
「えっ!?」
(貴女‘も’?ってことは……!)
「うん、私も昔いじめられてたから……。大体の事はわかっちゃうんだ」
その女性はてへへと可愛らしく笑った。
「あ、ご、ごめん……」
「いいの、もう大丈夫だから」
その女性は、どこか安心した雰囲気を出していた。
そこで、鈴は本題に戻そうとする。
「なんで、大丈夫なの?怖くないの?」
鈴は怖かった。
特に男共の目線が怖かった。
いつもいやらしい目線で見られていて、時には襲って来るんじゃないかと思う時もあった。
その答えが聞きたかった。
「うん、怖いよ。でも、大丈夫」
「え?」
(怖いけど……大丈夫?)
ますます、鈴はわからなかった。
「それって……」
どういう意味?と訊こうとした時、彼女に変化があった。
「守ってくれる人がいるから」
そう恥ずかしがりながら答えた。
「守ってくれる……人?」
「うん、守ってくれる人。ちょっと抜けて、何考えてるかわからないけど――」
彼女は自然とにやけていた。とても楽しそうにそして、恥ずかしがりながらこう言った。
「とってもかっこよくて、とっても優しくて……とっても強い人かな?」
鈴は思った。
そんな理想の人なんているのかと。
ただ、彼女に惚れただけの人じゃないかと。
だから訊いた。
「その人って男の子?」
「そうだよ」
「親戚とか?」
「違うよ。ってどうしたの?」
「その……大丈夫なの?血の繋がっていない男の子を、そんなに信用して……。いやらしい目で見られていないの?」
彼女はその時、ふふっと笑い出した。
「うん、確かにちょっとえっちかも」
「なら――」
「でもね」
彼女は、鈴の瞳をしっかりと捉えてこう言った。
「私は多分、世界で一番彼を信用してる。親よりも、自分と同じぐらい……彼をね」
自分と同様に信用できるなんて意味がわからなかった。
「意味が……わからないよ……」
「いつか、わかるよ」
鈴はそう思えなかった。
ここまで信用できる人など見つかるわけがない。
そして、彼女はこう言った。
「じゃぁ、わかるその時まで私があなたを守ってあげる」
「え……」
彼女はニコッと笑い話を続けた。
「私の名前は洞爺澪。あなたの名前は?」
突然だったが、鈴は何故か冷静になれた。
「羽田……鈴」
「じゃぁ、よろしくね。鈴」
(なんだか……安心できる……)
鈴はその感情に良い心地を感じながら、澪に返事を返した。
「うん、よろしく。澪」
こうして、鈴と澪は出会った。
………
……
…
鈴が高校生になって、もう2ヶ月が経った。
「もう……鈴、そろそろ友達作ったら?」
「友達いるし」
「って言っても数回喋った程度でしょうが」
「むー……もう、私先行くね!」
「あ、ちょっと!鈴!」
今日は移動教室で、先ほど授業が終わったところなのである。
「もう、仕方ないなぁ……」
走っていった鈴とは違い、澪はゆっくりとした足取りで教室に戻っていった。
………
……
…
(確かにさ、未だに友達と言える友達が、澪だけってのも何かアレだけどさ……。話しかけるって難しいんだよ……)
鈴は早歩きで教室に戻っていく途中だった。
そして、考え事をしていたため、人とぶつかってしまった。
「きゃっ!」
「おっと」
ドサドサと落ちる教科書。
しかし、鈴が地面につく事はなかった。
「あー……すまん考え事してたわ。大丈夫か?」
「あ、あ、え……」
(男の人……!)
鈴はそのぶつかった男性に抱えられていた。
「す、すみません!」
鈴はさっと離れて、急いで教科書を拾い、そそくさと自分の教室に戻った。
「俺、なにかしたか?……ん?あ、さっきのやつの忘れ物か……」
………
……
…
「あれ?どうしたの鈴?」
「うー……さっき、男の人とぶつかった……」
「そう言えば、鈴って男の人と喋ってるとこ見たことないわね……で、どうだったのその人は?」
「あんまり、顔覚えてない……すぐ逃げてきたし」
「あちゃー……そういう出会いを大切にしなきゃ。あ、私ちょっと用事あるから行ってくるね」
「いってらっしゃーい」
澪が出て行った後、鈴は考え事をしていた。
(出会いね……男の人が苦手なのに、そんな人出てくるのかな?)
そんなことを考えていると、珍しく女子から声をかけられた。
男子はナンパでよく声をかけられている。
「えっと……羽田さん」
「……」
「羽田さん?」
「え?わ、私?」
「このクラスに羽田さんは1人しかいないよ。それより、羽田さん呼び出されてるよ」
そう言って、その方を見ると、メガネをかけた男子生徒が立っていた。
「あー…わかった……」
そう言って、鈴は男子生徒によって行く。
本当は適当に断ってもらいたいのだが、そんなことが頼める澪はこの場にいない。
「なんのようですか?」
「え、えっと……羽田さん!これ!」
そう言って、男子生徒は鈴に手紙を渡した。
「じゃあ、これで!」
そう言って、メガネ(男子生徒)はささっと出て行った。
さっきのメガネもやはり、鈴の胸に釘付けだった。
(はぁ……。また、こんな人か……。しかも文通って……)
そうして、鈴は手紙を捨てようとした時に、数人の女子生徒が騒がしかった。
また、私のことかな?と、思っていた矢先、声をかけられた。
「ここに羽田鈴って奴はいるか?」
教室の外から、男子生徒に。
「え?」
また、この手の人か?と思った鈴だが、その人の顔を見て、そうではないと思った。
(ぶつかった人だ……)
そう、先ほど鈴とぶつかった男子生徒であった。
「っと、いたいた」
彼は鈴を見つけた途端、鈴に寄り、とあるものを渡した。
「さっきは済まなかったな。教科書の忘れ物だ」
「え、あ、ありがとう……」
「ふっ、これで借りは返した」
そう言って、男子生徒は教室から出て行った。
(さっきの人……ずっと私の目を見てた……)
鈴は、同年代の男子と話す時に、初めて胸への視線を感じなかったのだ。
そんなことを考えながら、自分の席に戻ると、さっきの女子生徒が少し慌てた声で、鈴に話しかけた。
「は、羽田さん!」
「ど、どうしたの?」
「た、小鳥遊君から何もらったの!?」
「小鳥遊?メガネの?」
「メガネ?あ、最初のメガネじゃなくて、次の人!」
「え、それは……」
と、そこで答えようとした時、他にも女子生徒が寄ってきた。
「ねぇ、羽田さん!小鳥遊君とどんな関係なの!?」
「関係も何も、廊下で……」
「「「廊下で?」」」
「助けてもらった人?」
「ううー…いいわねー!」
「私なんて喋ったこともないのに…」
「この胸か!この胸のおかげなのか!」
そう言って、女子生徒が鈴の胸を揉み始めた。
「やっ!ちょっと!く、くすぐったいって!」
「このっ!このっ!小鳥遊君はね、男子生徒ランキング5位の人気者なのよ!」
「ちょ、なによそれ!」
鈴は強引に手を引き剥がす。
「いいわ、教えてあげる!小鳥遊君は容姿、勉強、運動が全て上位なのに、ちょっと子供ぽかったり、意外に大人だったりとギャップがあって、母性本能をくすぐられる男子なの!そして、幾度もの女子生徒を振っているのよ!小鳥遊君から話しかけられるなんて……」
「ちょっとわけわかんない!話が噛み合ってないから!
「このやろー!こうしてやる!」
「私、女だからね!?後、胸揉まないで!」
こうして、鈴は新しい友達を作ったのであった。
「あ!澪!助けて!」
「ん?鈴、お友達できたんだね~」
「何か澪が幸せな顔してる!あ、ちょ……いやーーーーーーー!!」
自分はもう、ロリコンでいいや…
本来なら、澪を先に書かなければならないのに、鈴のストーリーを思いついてしまった…
それと、皆さんにお詫びです。
自分の都合により、更新速度が落ちます。すみません。
感想待ってます