99話 少女VSゼロっぽい
すみませんめっちゃ遅れました!
久しぶりのバトルシーンです
バトルできてるかなぁ……
「なぜお主がここにおる! 『鈴木優華』!!」
「スズキユウカ? 誰よそれ。私に言ってる?」
イザナミはゼロをこれでもかというほど睨み付ける。
しかし、ゼロ自身は少しめんどくさそうな表情のままイザナミともうひとりの少女を交互に見ていた。
「あなたといい、そこの小さい子といい……なんでそこまで私に似てるのよ……」
「やはり、妾のことも忘れておるか……。いいじゃろう、教えてやる」
イザナミは娘が突っかかろうとしているのを手で制し、わざとらしい苦笑いを浮かべ――――。
「妾がお主に似ているのではない。お主が妾に似ているのじゃよ」
「……は?」
「お主、自分が何故魔神になったのか……何のために神々と戦ったのか……覚えておるか?」
「……あなた、なんで私が魔神だってこと知ってるの?」
「それだけではない。お主……いや、『鈴木優華』と『小鳥遊強斎』それに『鈴木勇志』『洞爺澪』との関係も知っておるぞ?」
「何を言っているのかさっぱりわからないわ。ああ、何しにここに来たって質問の答えだっけ? 私はただ主人に頼まれて、そこの二人……えっと、人間とエルフを鍛えに来たのよ」
人間とエルフ……ヴェレスのベルクの顔は驚愕に満ちていた。
それもそうだろう。
全ての最終目標が目の前にいるのだから。
「お主……名前は?」
「『ゼロ・ヴァニタス』。それが私の名前であってそれ以外は存在しないわ」
「そうか……やはりお主が『ゼロ』だったのだな?」
「何よ」
ゼロは何故かイザナミの後ろで戦闘体制に入っている少女を警戒しながら、イザナミの疑問に質問で返した。
「知っておると思うが、妾は以前に強斎と顔を合わせておる。その時、妾に『ゼロ』と似ていると言ってきたのじゃ。あやつの反応からして知り合いだとは思っていたが……」
「知り合いとは失礼ね。私は主人の女よ?」
「そうか……。なら、お主の記憶にない遠い過去……。お主が人間だった頃の話を聞きたくないか?」
「いや、別に?」
あまりにも簡単に否定されたイザナミは一瞬だけ固まってしまった。
少しだけドヤ顔で話していたことも原因で、若干顔を引きつらせる。
「り、理由を話してもらえぬか?」
「私自身、そんな過去に興味なんてないだけ。そんなことに時間を使うなら、主人をどうやって驚かすのか考えたほうが有意義ね」
「お主が失った記憶、生きている理由、過去の真相。妾は全て知っておる。そして、お主はそれを知る権利を十分に持っておるんじゃ!」
「……私がそれを知ったとして、主人との関係は変わるの?」
イザナミは一瞬だけためらった後、ゆっくりと頷いた。
「変わるじゃろうな。あやつが今までのように接してくれるとは限らんほどに」
「じゃあやめとく。私は今が一番幸せなの。過去に何があったのかは知らないし、知ろうとも思わない」
「そんな理由で――――」
イザナミが何かを言いかけた途端、ものすごい威圧が一帯を支配した。
「さっきも言ったでしょう? 今のこの一瞬が私にとって最も大切な時間なの。何千万年という長い時をかけてようやく見つけた……ね」
「……わかった。これ以上は追及せん。だが、知りたくなったらいつでも妾のところに来るのじゃぞ」
イザナミの言葉はそれで終わりに思えた。
だが、時間差でゼロには聞こえない声量で一言加える――――。
「――――お主も、妾の娘のようなものだからな」
その一言は後ろの少女にしか聞こえていなかった。
そして、その少女はというと……。
「ババア、早くどけ」
もう、ゼロと戦う気満々である。
「お主、戦闘狂にも程があるぞ?」
「私は私より強い人と戦いたいだけ……。あそこの人はババァよりずっと強い……から」
「私は別にいいわよ」
ゼロのその一言で場の空気は決まったようなものだった。
「そこの人間とエルフ。今から戦う様をよく見ていなさい。これからあなたたちに戦闘訓練をする者の力のほんの一部を見せてあげるから」
「「……」」
ヴェレスとベルクは身震いする。
魔神になにをされるんだろう……と。
「ということよ。手加減してあげるから全力で殺しに来なさい。準備運動ぐらいにはなってよね?」
「いい……そういうの……好き……!」
「あ、おい!」
イザナミの静止も聞かずに、少女はゼロ目掛けて突っ込んでいった。
少女には武器がない。
だが、ゼロは先ほど一瞬だけ少女と戦ったからわかる。
この少女に武器など必要ないのだ。
「ふふっ」
考える間もなく少女がゼロの懐に潜り込んでくる。
ゼロは少しだけ目を見開くが、冷静に次の攻撃に備える。
だが、それがいけなかった。
「『光槍』」
「はぁ!?」
少女はあろう事か『光槍』を具現させてしまったのだ。
ゼロは警戒を上げながら危なげに体を捻る。
紙一重で少女の光槍がゼロの脇を通り抜けていった。
「凄い……反応できるんだ」
「びっくりしたわ……。あんた、なんで主人の技が使えるのよ?」
実はというと、少女の『光槍』だったらゼロが当たっても大した怪我にはならなかったのだ。
強斎のだったら――――それはまた、別の話になってしまう。
ゼロはその『強斎の光槍』を見てしまっているので、冷や汗が止まっていない。
「前に、パパに見せてもらった」
「パパって……?」
「キョウサイのパパ」
「……おい、そこの神」
ゼロは戦闘中にも構わず、イザナミに異常な殺意を向ける。
「わかってるんだろうな?」
「ち、違う! 誤解じゃ! 確かにそやつは妾の娘だが、妾のことなど母親と――――」
「黙れババァ」
「……まぁ、こんな感じじゃ……。ついでに父親はイザナギといってこの場にはおるが、空気化している奴じゃからな?」
何故かゼロの攻撃対象が少女からイザナミに変わろうとしていたが、少女の言葉によりそれはなかったものになった。
「私のママはババァじゃない……あなた」
「へ?」
少女がゼロを指さしながらそんなことを言いだしたのだ。
「私より強い人が私のパパとママ。だから、あなたならママになるかも」
「え? 本当に? ってことは私と主人との子供ってこと?」
少女は静かに頷く。
ゼロはそんな少女を見て物凄くニヤニヤしていた。
「ふふふ、そういうことならしょうがないわね。いくらでも相手してあげるわ!」
「あの、一応妾の娘――――」
「「うるさい」」
「……」
しばらくの間、イザナミは喋らなくなってしまった。
「じゃあ、行くよ……!」
少女は『光槍』をもう一本具現させ、ゼロに迫る。
先ほどの一撃で分かったのが、強斎みたいな『振った後の衝撃だけで致命傷』になるような槍ではなかったことだ。
それさえわかれば、ギリギリで避けるなり受け流すなり、急所を狙われない限り問題ない。
「そういえば……さ」
「?」
常人には無数の槍がゼロを襲っているように見えるが、ゼロ自身は余裕で対処していた。
その証拠に少女と会話をしようとしていた。
「さっき主人に『見せてもらった』って言ったけど、どういうこと?」
「そのまま……の! 意味……!」
攻撃している側の少女は余裕がないのか、途切れ途切れに言葉を発する。
それでも話そうとしているのは、ゼロに対してまだやれるというアピールのつもりだ。
「前に、ここ、来た時……! パパ、使ってた……から! それで、私……負けた……から」
「ふーん。……って、相手の技を見ただけで使えるの!?」
少女は一度ゼロから距離を取って、息を整える。
「……うん。二、三回見ればある程度は……」
(見ただけで技を習得するなんて……。主人という人がいなかったら化け物呼ばわりしてたかもね)
ゼロは内心で舌を巻いていた。
「でも、パパの『光槍』は何回見ても完璧にはできなかった。多分、私の魔力じゃ足りてないから……だと思う」
「あんなもの完璧にできたら私はとっくに負けてるわよ」
(流石に『神槍』は使っていないっぽいわね)
ゼロは強斎がこの少女に『神槍』を見せていないことに安堵する。
(あれは、存在してはならない武器……。主人はその武器を適当に投げてしまった……だから、あんなレベルに……)
「どうしたの?」
「これからどうやって準備運動しようか考えていたところよ」
ゼロは考え事を一旦やめて、少女に優しく微笑みかける。
「そういえば、まだあなたの名前を聞いていなかったわね。一応、名前はあるんでしょう?」
「うん、私の名前は――――ツクヨミ。ヨミって呼んでね」
#
ツクヨミ
LV1000000
HP 8.72408E+27/8.72408E+27
MP 2.00389E+28/2.00389E+28
STR 5.71231E+25
DEX 8.87142E+25
VIT 5.02937E+25
INT 2.98263E+26
AGI 9.10384E+25
MND 4.48732E+25
LUK 150
スキル
空間把握LV99
危機察知LV99
状態異常無効化
呪系統無効化
HP自動回復速度上昇LV99
MP自動回復速度上昇LV99
神波動
限界突破
超越者
覇者
属性
完全暗記(ユニーク)
上位神の加護(ユニーク)
#
少女――――ツクヨミはこの時、初めて柔らかい笑みを表に出した。
ツクヨミちゃんはレベルはイザナミやイザナギより低いです
ステータスがクソ高いです
適性魔術とか持ってないですがクソ強いです
容姿はルナやヴェレスより幼いって感じの黒髪ロングロリです!!
10月7日、大抵チートが出版します!
よろしくお願いします!
後日改めて活動報告で