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92話 黒髪ロリっぽい

主人公視点になったと思えば直ぐに別視点になるという…

 ヴェレスは固まっていた。

 この場にいるのは目の前で悶絶しているベルクだけだと思っていたからだ。


(え、ちょっと……あの人たちは誰なんですか!?)


 見た目は勇志たちより若干大人びいている。

 だが、雰囲気からして歳が近いというわけでもなさそうだ。


 数秒考え込んだ末、ヴェレスは勇気を振り絞って口を開く。


「あの……すみません……何か、羽織るものありませんか?」


 そう口にした瞬間、女性の方がしっかりと頷いた。

 まるで、何かを託されたような決意に満ちた顔で――――。


「イザナギ! お主は見るんでない!!」

「――っ!?」


 イザナギと呼ばれた男は、ベルクと同じ末路を辿った。


………

……


「ははは、すまぬな。下着であやつベルクと話しておったから痴女かと思ってたわい」

「あの、これには深いわけがあって……」


 ヴェレスは可愛らしいワンピースを着せてもらって、イザナミと対峙するような形で椅子に腰掛けている。

 イザナミはゼロの姿でヴェレスと話していた。


「言わんでもわかる。どうせ、強斎がやらかしたことだろう?」

「あ、はい。……どうしてそれを?」


「そもそも、ここに人間を送り込むことなどあやつにしかできんからな。服だけ剥いで転移させるという変態的思考の持ち主だとは予想外だったがな」

「え? キョウサイさんだけ……?」


 ヴェレスはそこで強斎との念話を思い出した。


「……あの、一ついいですか?」

「なんじゃ?」


「まさか、ここって………………神界だったりします?」

「ん? 知っておったのか。そうじゃ、ここは妾たちが造りだした世界。まぁ、お主らのいう『神界』の一つじゃな」


「……へ?」

「ああ、そう言えば妾の自己紹介が遅れたな。妾の名は『イザナミ』階級は高位神に属するな。で、あそこでのびているのが『イザナギ』。一応妾の夫じゃ」


「……」

「おそらく強斎から聞いておるだろうが、妾の姿は――――って、なんで座ったまま気絶しておるんじゃ!?」


 イザナミはヴェレスの肩を軽く揺するが、全く起きる気配がしない。

 軽いため息をつき、周りを見渡した。


 気絶している少女。

 股間を抑えて呻き声をあげている男二人。

 そして、瞳の色以外は日本人にしか見えない女の子。


「……いつからおった」

「……さっき」


 イザナミの背後に立っている少女は眠そうに周りを見渡す。


 黒髪のロングストレートの少女は、一見して日本人の女の子にしか見えない。

 見た目は十歳にも満たないだろうが、誰もが将来を楽しみにするだろう美しい顔立ちと体型を持っていた。

 だが、瞳の色は真紅に染まっており、不気味な存在感を放っている。


 そんな少女はイザナミの顔を見て、ゆっくりと口を開く。


「……ねぇ、パパは?」

「お主の父ならそこで寝てるだろう」


 イザナミはイザナギを顎で指す。

 しかし、少女は首を横に振る。


「違う。あいつじゃない」

「違うって……。お主の親は妾と――――」

「うるせぇ、ババァ」


 少女はイザナミを軽く足払う。

 イザナミのステータスは既にE+で表される程の規模なのだが――――。


「ぐぁっ!」


 空中で2回転し、地面に叩きつけられた。


「……弱い」

「お主、またステータスが上がって……」


 少女はイザナミを見下し、踵を返した。

 そして、去り際に一言。


「……私より弱い人は。親じゃない」


 その瞬間、少女の気配が完全に消えた。



「はぁ……」


 イザナミは盛大なため息を吐きながらゆっくりと立ち上がった。

 いつの間にか復帰し、イザナミのそばにいたイザナギが困った顔で口を開く。


「困ったものだな……あいつ、また強くなってるぞ」

「そうじゃな……妾もあそこまで強くなるとは想定外じゃった」


 そう、先程の少女は二人の子供なのだ。

 子供は何人もいるが、皆両親には忠実だ。

 しかし、あの少女だけは例外だった。


「あそこまでのステータス……上位神でもそうそういないレベルだぞ」

「そうじゃな。既に妾たちよりははるかに強い……強い故に……ひねくれてしまったのだろうな」


 イザナギは少女が去っていった方向を見つめる。


「……やはり、あいつに任せるのが一番なんだろうな」

「そうじゃな……もう、妾たちじゃ暴走しても抑えることができん」


 少女が『パパ』と呼んだ人物。

 そして、少女が親と認めた人物。


「強斎に、任せるしかないじゃろうな」


 イザナミはそう呟いて、ヴェレスの様子を見に行った。


………

……

 ヴェレスは土下座していた。


「先程は申し訳ありませんでした! 神様とは知らずに羽織りものを要望してしまい――――」

「もういいから。その頭を上げな」


「しかし!」

「いいと言っておるだろう。妾も本題に入りたいんじゃ」


 ヴェレスは何を言われても謝罪する気であったが、イザナミが話したいと言うからにはそれに従わなくてはならない。

 ベルクは脚を組んでソファに座り、自宅にいる様な感じでくつろいでいる。

 相変わらず洋風の部屋だ。


「ベルクさん! 神様の前ですよ! もう少し礼儀という――――」

「いいんだよ、ヴェレスちゃん。神様がくつろげって言ってるんだからな」

「しかし……」

「ああ、本当に気にするでない。妾は礼儀とかそういうのが苦手でな。自然体でいてくれた方が助かるぐらいじゃ」


 ヴェレスはベルクを一瞥し、「では……」と言ってから若干背にもたれる。

 イザナミは小さく鼻で笑ってから、再度口を開いた。


「前置きはなしじゃ。過程を飛ばして簡潔に言うぞ」


 ヴェレスとベルクは同時に頷いた。


「今日からしばらくの間。お主らはここで生活してもらう」

「「……え?」」


 二人の戸惑いが同時に声に出た。


「ただ、生活といっても食って寝るだけの生活ではない。お主らを強くさせる生活じゃ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。やっぱり過程がないと意味わからん」


 ベルクがイザナミに本音を伝えた。


「ふむ……少々面倒じゃがしょうがない。……ヴェレスといったか?」

「は、はい!」


「お主、今歳はいくつじゃ」

「えっと、15です……」


「若いな。では、もう一つ質問をしよう」

「はい」




「――――『ラグナロク』という言葉を聞いたことあるか?」

黒髪ロングのロリっ子っていいよね!

それと、決してイザナミたちが弱いわけではありません。

イザナミのHPをちゃんとした数字で表すと

約127000000000000000000000です


あ、部屋が洋風なのは仕様です。

日本神なのに洋風っておかしいじゃねーかと思いますが。

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― 新着の感想 ―
[一言] ま、まさか強斎が子持ちに?! ラ、ラグナロクとは?! あと、ついでにベルク元気でよかった(棒よみ)
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