寒い寒〜い冬にはホットコーヒーはかかせない。
私の大好きな先生の味。
寒くてたまらない時はホットコーヒーを口に運ぶの。
ホットコーヒーが私の中に入っていって…
ぽっと温かくなる。
寂しくて仕方ない時はホットコーヒーを口にする。
そんなことあるわけないけど…
先生に抱きしめられている気がするんだ。
会いたくて切ない時もホットコーヒーは私の味方。
「おはよう。」
「気をつけて帰りなね。」
先生の言葉はどれも温かい。
だけど深入りさせない。
私は先生と生徒の関係が壊れることを望んでいる。
悪い生徒だね。
でも近付きたい。
特別になりたい。
寒いよ、先生。
会いたいです先生。
だから私待っちゃった。
ごめんなさい先生。
「どうしたの!?こんな所で…」
神様、勇気下さい。
ホットコーヒー、見守ってて。
「…待ってたの。先生のこと。」
今夜は秋だというのにとっても寒むくて…
私たちの心も冷えきっていて…
先生は黙ったままだった。
「…先生のことが好き。」
空が哀しいほど綺麗で…
夕日の色が綺麗過ぎて…
なぜだかとっても泣けてきた。
空も一緒に泣いてくれてるのかな?
雨が一粒二粒、落ちてははじけて消えた。
「…雨降ってきちゃったね」
先生の上着が私を包んだ。
だけど私は寒くて寒くて涙が止まらなかった。
「ホットコーヒー…飲む?」
ホットコーヒー…
「買って来るね。」
ねぇ私早まったかな?
告白は卒業式の日までとっておくって決めてたのに。
恋する気持ちにはブレーキがきかない。
もう一緒にホットコーヒーを飲むことはなくなるかな。
仲良くお喋りすることも…
廊下ですれ違って声をかけられることも。
何かもなくなるの…?
自分で壊したんだよね。
「お待たせ」
やっぱり好き。
大好きだよ、先生。
「もう帰ろう。」
帰り道は二人の間に冷たい秋の風が吹き抜けて…
寒いなぁ…
涙が冷たい…
「寒いね。」
先生が私の手をとって寒いねって言って笑ったの。
笑ったんだよ。
「こうしたら温かいよ。」
先生の手は温かかった。
さっきまでホットコーヒーを握っていた先生の手が今は私の手を握ってくれているの。
そのあとも私たちの間に会話はなかったけど私はもう寒くなんてなかった。
「先生…好き。」
「さっきも聞いたよ。」
でも言い足りない。
せっかくのチャンス逃せない。
私の気持ち全部伝えなきゃ。
「もう全部伝わってます(笑)」
もうすぐ駅。
さよならの時。
「また明日ね。」
このまま帰れない。
ちゃんと伝えなきゃなんだもん。
でもなんて伝えれば良いのか分からなくて言葉がうまく出てこなくて…
「…ホットコーヒー。明日も飲みに来なよ。明日もあさってもしあさっても。いつでも来て良い。」
「それって…」
「毎日待ってるからさ。いつでもおいで。」
ホットコーヒーは私の大好きな先生の味。
望んでいた結果には程遠いけど。
それでも恋しい想いが少しずつまた一歩先生に近付いた気がした秋の帰り道。 |