キミが、そこにいて。(7/9)縦書き表示RDF


キミが、そこにいて。
作:光瑠



第7話 夕暮れの紅に染まる雫。side-アオイ


「・・・アヤネ。話が、・・・話があるんだ。」



思わず呼び止めてしまった・・・
いいのか?僕。
ここで何もかも言ってしまえば、今まで築き上げてきたモノが、全て崩れさってしまうかもしれないんだぞ?
もう、話はおろか、顔を会わせる事すらなくなってしまうかもしれない。


アヤネが、ゆっくりとこちらを振り向く。

血が凄まじいスピードで巡って、全身が痛いように感じる。
その中心にある心臓なんかは、既に破裂しそうだ。

今、自分がどこに立っているのかさえ分からなくなってくる。

夕暮れ、人通りの少なくなった道路の一角に、アヤネの声が響く。


「・・・どうかした、の?」


アヤネ自身、なんで呼び止められたのか分かっていないようだ。

分かられても困るんだけど。



そして僕は言う。
今までの、そしてこれからの、僕とアヤネの、全ての関係を変えてしまう、その言葉を。






「アヤネ・・・。僕は、君の事が好きなんだ。・・・ずっと、昔から・・・」




時が、止まる。


いや、そう感じただけかもしれないけど、僕は確に、感じたんだ。


言うべき言葉を言ったという達成感。
これからどうなるか分からないという、不安感。



僕は、アヤネからの言葉を待った。








長い、永い。

どのくらいたったのだろうか。
数十秒か、数分か、数十分か。



やがて、アヤネの表情を見ようと顔をあげるとーーー






涙を流している、アヤネの姿。



「ふっ・・・うぅっ・・・うぁぁ・・・あぁっ・・・ふぇぇ・・・」


「アヤネっ!?どうしたの?どこか怪我した!?」


普通に考えれば、怪我なんかしてない事はすぐ分かるのだけど、僕はその涙を見て、今まで生きてきた中で一番動揺した。



「ちっ・・・ちがうの・・・私っ・・・嬉しくてっ・・・」


嬉しい?

どういう事なんだ?







とんっ







アヤネの顔が、僕ね肩にもたれかかる。


あぁ、アヤネって、こんなに小さかったんだ・・・

165という低身長よりも更に低いアヤネが、僕に抱きついてくる。





「あのね?・・・私もっ・・・私も、アオイくんの事が、・・・好きっ・・・」


アヤネのその言葉を聞いた瞬間、今まで僕の中に渦巻いていた不安感は、溢れんばかりの幸福感に変わっていた。



「ありがとう・・・アヤネ。ありがとう・・・」




今、僕に言える精一杯の、「ありがとう」。

彼女に、届いたのかな?


きっと、届いたよ。

いま、触れ合っている身体を通して・・・





夕陽が、僕らを紅い空気で包む。





アヤネの瞳からこぼれ落ちるその雫は、夕暮れの紅に染まって、美しく輝き、弾け飛ぶ。




アヤネを抱き締めたその時に、二つの鼓動がちゃんと胸の両側で鳴るのが感じられる。



左は僕ので、右は君の。


左は君ので、右は僕の。





とくん、とくん、と、この鼓動をいつまでも感じていたい。


それを言葉に表そうとして、アヤネの顔を見ると、目が会う。


・・・なんか照れくさい。


アヤネは微笑んで、僕を見る。






そして、僕らは同時に口にした。












「「これから、ずっと、ずっと、一緒に居ようね。」」


昨日は寝てしまい、更新が出来ず、申し訳ありません。
本日はもう一話更新したいと思っています。











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう