第6話 胸の、高鳴り。side-アヤネ
あ、チャイムだ!
やっと授業終わったぁ・・・
・・・あんまり嬉しくないなぁ・・・
これからアオイくんに「一緒に帰ろう」って誘う訳だし・・・
うぅっ・・・緊張するなぁ・・・
あ・・・だんだん人が減っていく・・・
どうしようどうしよう!
まだアオイくんはいるけど、行っちゃうかも!
あっ!席立った!
いっ・・・言わないと!
でも・・・うぅ・・・
「アヤネ。」
「ふぇっ!?」
声を掛けられるとは思って無かったから変な声が出ちゃったよ・・・
うぅ・・・アオイくん、笑ってるぅ・・・
「あ、ごめんごめん。考え事してた?」
うん。おもいっきり。
・・・なんて言えないよ・・・
でも、どうしたんだろ?
「あ、いいの。・・・どうしたの?」
あ・・・アオイくんの顔がなんか歪んでる?
あ、いつもの顔だ。
「あ、いや、その・・・ね・・・」
「・・・?」
どうしたんだろう。
何かを言おうとしてるのは分かるけど・・・
「えっと、ね?・・・アヤネがよければ、これから、ゲーセンにでも・・・行かない?」
「・・・」
思考停止。
・・・え?アオイくんが・・・誘ってくれてる?
・・・きっかけ、見つけた!
「・・・いいの?」
「もちろん!オフコースだよ!」
うわっ!?
び、びっくりしたぁ・・・
でも、よろんでるのかな?
前髪に隠されたライトブルーの瞳が見え隠れ。
・・・綺麗だなぁ・・・
「じゃ、いこう!」
私とアオイくんは、一番近くにあるゲームセンターまでお話しながら歩いていった。
楽しい!アオイくんと一緒にいるだけで楽しい気持ちになれるんだ!
よぅし!
きっかけはできた。
今日こそ、言うんだ。
「さ、いこうか!」
アオイくんが先に歩いて、呼んでくれてる。
「うん!」
アオイくんについていく。
ふ、とアオイくんが立ち止まった。
「アヤネ!エアホッケーやらない!?」
楽しそう!やりたい!
「やるやるっ!」
機械がふぉぉぉぉぉんと音を出す。
あ、ボードの上から風が出てきた・・・
あ、始まった!
かこんかこんと壁に当たりながらも、穴に向かっていくディスク。
動体視力とかが弱い私は・・・やっぱ、負けた。
再び歩き出す。
ん?あれは・・・
弟があのゲーム、持ってた!
やったことあるから負けないぞ!
「アオイくん!あれ!あれやろ!今度は負けないんだから!」
いすに座る私。
よーし。・・・て、何これ?
ボタンが家にあるのと違う!
『ready・fight!』
渋いおじさんの声がスタートを告げる。
「負けないんだから!」
ボタンがわかんなくても、何とかなるよね!
始まった途端、彼は言った。
「くらえ!アヤネ!必殺・殺人コンボ!」
アオイくんの使うキャラクターが、何か残像を残しながら凄まじいスピードで動いてる。
私の使うキャラクターは、三秒と 経たず負けてしまった。
「うぅ・・・ひどいよぅ・・・」
う・・・目が霞む・・・
悔しくなんかないもん!
「ははっ!ごめんごめん。じゃ、次は、あれだ。」
目を向けると、そこにはUFOキャッチャー。
「あ・・・うん!」
アオイくんが挑戦するみたいだ。
アオイくんがコインをいれると、聞いたこともない音楽が流れ出す。
うぃーーん
・・・て動いてる。
あ!つかんだ!
がんばれー!
やがてぬいぐるみは穴の中にはいった。
「やった!とったよアヤネ!」
「すごい!うわぁ・・・尊敬しちゃうな・・・」
私はこう言うのが苦手な人。
すると、彼は言った。
「はい。これ。」
ぬいぐるみを差し出してくるアオイくん。
「え?くれるの?でも、せっかくアオイくんが取ったのに・・・」
「僕の部屋にこんなぬいぐるみを飾れないよ。だいたい、男がぬいぐるみ取ったら女の子にあげるのが定番でしょ?
「・・・うん!ありがとう!」
「じゃ、私、そろそろ行くね・・・」
あぁ・・・結局言えなかったなぁ・・・
きっかけがあっても、駄目なのかなぁ・・・
「・・・うん。」
今すぐ言えればいいのに・・・
彼に背を向けて歩き出す。
そして、声がした。
「アヤネ!待って!」
・・・どうしたんだろう。
私・・・忘れ物はしてないしな・・・
「・・・アヤネ。話が、・・・話があるんだ。」
なぜか、知らないけど、どくん、と胸が鳴ったのを、確に感じた。
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