第2話 彼に、恋して。side-アヤネ
小学生のころ。
私は何故か、男の子にいじめられたり、女の子にいじめられたりすることが多かった。
理由が分からなかった。
だって、何もしていないのに。
私は、泣いた。
理不尽な、暴力に対して。
私を、救ってくれないこの世界に対して。
泣いたって、何にも変わらない事は、分かっていたのに。
涙は、溢れてくる。
止まる事を知らず。
ただ、溢れてくる。
男の子たちに囲まれ、さげすみの言葉をかけられ、暴力を振られる。
そんな時、彼は、来てくれた。
初めは、どうしてか分からなかった。
私と何の接点も無かった彼が、どうして私を助けてくれるのか。
彼の目は、強い眼光を放ち、男の子達を見据えていた。
男の子達は、一瞬怯んだものの、人数で勝ってる上に、弱そうだと思ったのか、今度は彼を囲んで、暴力を振るっていた。
私は、卑怯だ。
男の子達が離れたのを見て、そこから逃げ出したのだから。
自分を第一に考える自分が、嫌になった。
自己嫌悪に潰されそうになった。
私は、彼に聞いた。
「何で、助けてくれたの?」
と。
彼は、こう答えた。
「助けたかったからだよ。ははっ。カッコ悪い所、見せちゃったね」
そんなことない!かっこよかった!
そう、言いたかった。
でも、言えなかった。
喉の奥に絡まって巧く声がでなかったから。
私は思った。
あぁ。きっと、私は彼の事が好きなんだ。
あの、青と黒の瞳を持つ彼の事が。
でも、私は言えない。
言う資格なんか無いんだ。
あそこから逃げ出した私には。
卑怯な、私には。
臆病な、私には。
それから、五年がたった。
私は彼と同じ高校に進学した。彼と一緒にいたいから。
いや、見ているだけでもいい。
同じ空間で、同じ時を過ごせるなら。
私は、毎日朝早く学校に来る。誰よりも早く来て、誰よりも最初に彼を見たいから。
今では、仲良くなって、毎日話せている。
嬉しい。何でもない毎日が、充実しているのを実感できる。
いつになったら、私はこの想いを伝えれるのだろうかーーー
でも、心の中で、まだこのままでいい、と思っている私がいる。
臆病な、私。
でも、いつかーーー
そう、いつか、絶対に伝えてみせる。
私の中のなにかが、これだけは、諦めちゃいけない、これだけは、精一杯やろう、と叫んでいる気がする。
だから、私はーーー
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