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キミが、そこにいて。
作:光瑠



第1話 今はまだ、このままで。side-アオイ


ジリリリ、と、耳障りな金属音が部屋に響く。その音の発生源が何処なのか、理解するまでに数瞬を要した。

「・・・あぁ、これか・・・」

まだ完全には覚醒していない、しかし、この耳障りな音を止めるには充分な意識を、そこにあるレトロな目覚まし時計に向け、それを止める。

「ふぅ・・・っん〜・・・」

思いきって伸びをする。起き抜けで、喉が渇いている、と思い、目覚まし時計が置いてある台の下にあるペットボトルに入ったミネラルウォーターを手に取り、一気に飲み干す。

「・・・っぷは。」

今は何時だろうか。さっき止めた目覚まし時計を見る。七時半。丁度いい時間帯だ。朝ごはんは出来ているかな?なんて事を、まだ、寝惚けた頭で考える。
下へ行こうか、と思い、ドアを開けようとした、その時、

「アオイ?ご飯出来てるわよ?」

母さんの声がした。わざわざ起こしに来てくれる優しい母親に感謝しなきゃね。

「ありがとう。すぐ行くよ。」

ドア越しに短い返答をしておく。いろいろ用意しておかなきゃ。そう考え、鞄の中を確認する。筆記用具、生徒手帳、何か得体の知れないプリント。こんなものか。

着替えるのは、ご飯を食べてからでいいや・・・と思いながら、ドアを開け、階段を降る。


・・・最後の一段を踏み外した。





「・・・母さん。」

「ん〜?」

何とも間の抜けた返事だ。この性格はどうにかならないのかな?・・・まぁ、それが母さんだから仕方が無いけど。

「僕が納豆とキノコ嫌いな事は知ってるだろ?」

「知ってるわよ?」

なにその、それがどうかしましたか?みたいな顔は。

「じゃあ何でわざわざ出すんだい?」

僕の目の前にある白いパックに入った、かつて大豆だった筈の、発酵した「何か」。そして、菌で繁殖する、カビの一種、「傘状の何か」。有り得ない。何で人類はこんな危険な物質を産み出したのだろう。これは、そう。食物の核兵器。僕の口内に入った瞬間、僕に破滅をもたらすと言う、僕の天敵。

「ここは思いきって、挑戦してくれないかな、って思って。」

「母さん。勇猛と無謀は全く別次元のものだと思うよ。」

「どうしても無理だったら残してもいいからー」

そう言って母さんは奥に消えていった。

「これを食べたら、僕は発狂するよ。」

呟きながら、台所のゴミ箱に「それら」を棄てる僕。
他の物は食べたし、歯を洗ってこよう。





鏡に映る僕。

髪がはねてしまっている。
前髪を掻き上げると、両の目の色が違う僕がいた。

右目は日本人にたがわず、くすんだ茶色。
もう片方の左目は、ライトブルーをしていた。

母親は、れっきとした日本人。
父親は、なんとまぁ、イギリス人。

どこでどう知り合ったのかは分からないが、その間に生まれた僕は、片方の目がライトブルーになっていた。

それだけじゃない。背は母親の遺伝か、165センチと、さほど高くはなく、顔も母親の遺伝か、自他共に認める女顔。父親の遺伝なのは、片目と、肌の白さだけ。

・・・昔は、これが原因でイジメにあった事もある。それ以来、この左目の部分だけ前髪を長くして、隠すようにしている。

遥か昔の記憶を思い出していたら、まだ歯も磨いていない事に気付いた。

・・・急ごう。





制服に着替え、財布、携帯、鞄を持ち、家を出る。ここから僕の通う高校まで、だいたい20分位。
充分間に合う。こんな時間計算してしまうのもA型の性かも知れないね。

そんな事を考えながら歩いていたら、僕にとって唯一の親友が反対側の道路から歩いて来た。

「よ。アオイ。」

「やぁ。ケント。いつもながらヤンキーみたいな服装だね。完全に僕とはミスマッチだね。」

「それでも、俺は俺だし、アオイはアオイ。で、俺らは親友。これは変わんねぇだろ?」
「そうだね。・・・そうだった。うん。・・・行こうか。」

「ん。サボりてぇけどな。」

「それはマズイよ。」
僕らは笑いながら歩き出す。
いつもの様に。





二年の教室は三階。一年が四階、三年は二階。一階は職員室だか、なんか色々。

僕は二年だから、三階に向かう。

「ケント。毎回思うんだけど、階段はどうしてこうも体力を消費するのかな?」

「さぁ・・・な・・・」

そこまで長い階段では無いんだけど、結構つらい。

やっと教室までたどり着いた。

まだ授業が始まる時間帯ではない。それどころか、生徒もまだ来てはいないだろう。

しかし、この時間に来て、席に座っている人を僕は知っている。



いや、僕は、その人に会うために早く来ているかも知れない。ケントは、そんな僕の事情を知っていて、わざわざ時間を合わせて一緒に来てくれている。
僕一人じゃ話しかけれないからね。


ドアに手をかけ、ゆっくり開ける。彼女は、・・・いつもの様に、そこにいた。





「おはよう。アヤネ。今日も早いね」

「あ、アオイくん!おはよう!最近アオイくんも早いよね!」

さすがに、アヤネと話す為だなんて言えない。今すぐ伝えたい衝動に駆られる。
でも、僕は、怖い。
伝えてしまったら、今のこの関係が崩れ去ってしまいそうで。

「最近はどうも早く目が覚めるから。」

勿論嘘。

「そうなんだ!そうそう!聞いて?昨日のテレビでねーーー」



いつもの、心地よい刻。



今は、まだこのままで。


まだ、このままでいたいからーーー


突発的に、このお話が浮かんでしまいました。どうも。hikaruと申します。これは、いい感じに行けるんじゃないかな?と自惚れてしまっている事は重々承知です。まだまだ文章も稚拙なのに、こんなん書いてんじゃねぇよ、と憤りを感じる方もいるかと思いますが、どうか、お許しを。ではでは。hikaruでしたー











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