「行くよ、リュウちゃん」
イマジンを目前に未来はベルトを装着し、赤、青、黄、紫の4つのボタンの内、紫のボタンを押した。
「変身!」
と、ライダーパスをセタッチする未来。
「Gun form」
未来は電王プラットフォームに変身し、アーマーを装着してガンフォームに移行する。
「お前、倒すけど良い?ねえ、良いよね?」
そう言って指を差し、「答えは聞いてないけど!」とイマジンに襲い掛かる電王。
イマジンはヒョイと避けて反撃する。
「うわあ!」
吹き飛ぶ電王。
イマジンは銃を手にし、落下する電王に弾丸を連発した。
「僕もう怒った!」
電王はデンガッシャーを組み立て、着地して反撃した。
だが、弾丸は一発も当たらない。
『一寸、ちゃんと狙ってよ!』
「狙ってるよ、五月蝿いな」
電王はそう言いながら連射するが、やはり当たらない。
「何処を狙っている?」
イマジンはそう言って銃を発砲した。
「うっ!」
蹌踉めく電王。
イマジンは再度発砲し、デンガッシャーを吹っ飛ばした。
「その程度か電王?」
『えいっ、俺がやる!』
と、モモタロスがリュウタロスを追い出して憑依し、赤いボタンを押してセタッチした。
「Sword form」
アーマーが一旦外れ、装着し直されてソードフォームに移行する。
「俺、参上!」
と、ファイティングポーズを取る電王。
「姿を変えたからとは言え、この俺に勝つ事は出来んぞ」
イマジンは銃を発砲した。
電王は素早く避け、デンガッシャーを拾って組み立て直した。
「へっ、行くぜ行くぜ行くぜ行くぜ!」
電王はイマジンに駆けながらデンガッシャーを振り回す。
「最初から最後までクライマックスだぜぇ!」
『クライマックスって、ただ闇雲に振り回してそれが偶々当たってるだけじゃん』
「五月蝿え!」
電王はイマジンを蹴り飛ばし、ライダーパスをセタッチする。
「Full charge」
と、電子音が鳴る。
「俺の必殺技、・・・えっと、何すっかな?」
電王が必殺技のバージョンで迷っていると、イマジンが「スキだらけだぞ」と銃を発砲した。
「ぐっ!」
弾丸を喰らう電王。
「痛えんだよ!」
電王はデンガッシャーの剣先を飛ばし、Part5を繰り出した。
「うわああああ!」
イマジンは悲鳴を上げながら爆裂霧散した。
「けっ、雑魚が」
と、電王は変身を解いてデンライナーに乗り込んだ。
その様子を上空から光りの球体が一つ、見下ろしていた。
その球体は、閉まり掛けたドアを通過し、未来の体に入り込んだ。
同時に未来の体から砂が零れ落ちる。
「モモタロスのバカ!」
未来が食堂に入った刹那、その声と共に椅子が飛んできた。
椅子はガンッと言う擬音と共に未来の額にクリティカルヒットして落ちた。
額から赤い液体がポタポタと床に滴り落ちる。
「未来!?」
「未来ちゃん!?」
と、心配そうな顔で未来を見つめるハナとナオミ。
未来はピキッと額に青筋を立てながら笑顔で問う。
「今のは誰がやったのかなぁ?」
「俺が戻ったらこいつがいきなり投げてきたんだよ」
と、モモタロスはリュウタロスを指差した。
「リュウちゃんは何で椅子を投げたのかなぁ?」
「だってモモタロスが僕を突き飛ばしたんだもん!」
その言葉に完全にぶちギレたのか、未来は拳をポキポキと鳴らしながら表情を崩さずにリュウタロスに歩み寄る。
「お、お姉ちゃん?ひょっとして怒ってるの?」
「いいえ、怒ってないわよ?」
モモタロスは未来を見つめながら「ありゃ怒ってるな」と呟いた。
ハナとナオミはそれに頷く。
「おいリュウタロス、今の内に謝っておいた方が良いぞ?」
危機的状況にいるリュウタロスを心配したのか、モモタロスはそう言った。
だが、時既に遅し。未来の一発目の拳がリュウタロスに迫っていた。
「未来、俺の睡眠を妨げないでくれへんか?」
そう言って腕を組んで座って寝ていたキンタロスが目を覚まして立ち上がり、未来を羽交い締めにしてリュウタロスから引き離した。
「なっ!?放せ熊公!」
未来は暴れるが、キンタロスは微動だにしない。
「あっ、お姉ちゃんの体から砂が!」
リュウタロスは言った。
「えっ?」
未来は自分の体から零れ落ちる砂を見た。
「ちょっ、これ誰の砂!?」
3体のイマジンは同時に首を傾げた。
「あんた達のじゃないって事はもしかして・・・?」
「あれ、気付いちゃった?」
その声と共に、亀の格好をした全身水色のイマジンが砂から出現した。
「あっ、亀さんだ!」
リュウタロスは飛び付いた、が、そのイマジンはヒョイと避けた。
リュウタロスは未来の胸にダイビング。
「キャ!」
未来は仰向けに倒れ、リュウタロスの下敷に成って頬を真っ赤にする。
「一寸リュウちゃん、大胆過ぎよ?ってそんな事より、あんた誰?」
未来はリュウタロスを退かし、立ち上がって言った。
「誰って、イマジンだよ」
「そんなの見りゃ判るから。で、何で私に憑いたの?」
「体」
「えっ?」
目を点にする未来。
「君の体が欲しくて憑いた」
「待て待て、未来の体は俺の物・・・おぶっ!」
未来はモモタロスの顔面に足をめり込ませた。
「お前本気で言ってんの?ぶっ殺すよ?」
モモタロスは仰向けに倒れた。
「あっ、気絶しちゃった」
まあ良いか──と、未来は足を降ろして亀イマジンの方に向き直る。
「あんたさ、知ってる?私が特異点だって事」
「知ってるよ。だから憑いたんだ。それに特異点で尚且電王の君に憑けば殺されないで済むしね」
「お前頭良いな」
と、関心する未来。
「それ程でも無いよ。兎に角そう言う訳だから、その体貰うよ」
イマジンはそう言って未来に憑依した。
「なっ!?」
刹那、未来の髪に青いメッシュが入る。
未来は北叟笑み、「じゃあ」とデンライナーを降りて去って行った。
「どうしようハナ!?僕のお姉ちゃんが盗まれちゃったよ!」
リュウタロスはそう言って真剣な眼差しでハナを見つめる。
「どうするって、未来を信じるしか無いわ。て言うか、未来はあんたのじゃないし」
と、呆れて溜め息を吐き、肩を落とすハナ。
一方、イマジンに体を乗っ取られた未来は、商店街でイケメン男子高生をナンパしていた。
「一寸そこのお兄さん?これから私とデートしない?」
だが男子高生はその行為に引いて、
「否、僕彼女いるから!」
と、慌てて去って行った。
(可笑しいな、何で一人も釣れないんだろ?)
未来はそう思いつつも、キョロキョロと辺りを見回して次の餌を捜す。
(ん?あれは・・・)
未来は一人の見窄らしい男を追い掛ける一つの球体を見付けた。
その球体は速度を上げ、男の体に入り込んだ。
男の体から砂が零れ落ちる。
『おい亀、あいつ追い掛けろ』
「あれ、起きちゃったの?」
『ずっと起きてたわよ。生憎、私はイマジンに乗っ取られて意識を失う程柔じゃありませんから。それより早く追えっつうの!』
「嫌だ、と言ったら?」
『追い出す』
「それは困るわね」
『だったら早く追え』
「はいはい。人使いの荒い器だな、全く」
未来はそう文句を垂れながら男を追った。
『あんた人じゃなくてイマジンでしょうが』
「そうだったわね」
『あっ、走った!』
未来は駆け出した。
男は十字路を左に曲がった。
続けて未来も曲がるが、
『いない!?』
未来が驚いて固まっていると、背後から声を掛けられた。
「僕に何か用?」
その問いに未来は恐る恐る振り向く。その先には先程の見窄らしい男がいた。
「イマジン?」
男はそう口にした。
『お前出ろ!』
未来は憑依しているイマジンを体外へ押し飛ばした。
「今私の中のイマジンを見抜いたみたいだが、お前何者だ?」
「うわあ!」
男は吃驚して腰を抜かし、尻餅を着いた。
「君、特異点なの?」
未来は男の胸倉を掴んだ。
「そんな事より何者だお前?」
男は怯えながら名乗った。
「の、野上 良太郎」
「野上 良太郎か。何故見抜けた?」
「み、見抜けたって、イマジンの事?」
「ああ」
「そ、それは僕の契約してるイマジンが・・・」
良太郎がそう言うと、その体からイマジンが出てきた。
「デネブと申します」
イマジン・デネブはそう言って未来に飴を渡した。
「要らねえよ」
と、飴をデネブに投げ返す未来。
「これは失礼」
謝るデネブ。
「あんたの契約したイマジン、実体化してるけど何お願いしたの?」
「否、彼はこれに付いてたんだ」
良太郎はそう言ってベルトを出した。
「そんな事より、君は何で僕を付けて来たの?」
「イマジンだ。あんたの中に入ったからな」
「それは俺だ」
と、デネブ。
「ふうん。まあ良いや。イマジンなら早めに潰した方が良いわね」
未来は良太郎を放し、ベルトを出現させる。
「変身」
未来はすっくと立ち上がり、ライダーパスをセタッチ。電王プラットフォームに変身した。
「一寸待って!」
良太郎は立ち上がり、デネブの前で腕を広げて仁王立ちした。
「退け!」
電王は良太郎を蹴り飛ばした。
「野上!」
と、デネブが受け留める。
「野上、変身だ!」
「でもカード残り少ないし」
「奴は本気だ!」
「ゴチャゴチャ言ってんじゃねえよ!」
と、何時の間にかソードフォームに成っていた電王が二人に襲い掛かった。
デネブは良太郎を抱えて避けた。
「野上!」
「解ったよ、デネブ」
良太郎はそう言ってベルトを装着し、「変身!」とカードをバックルに差し込む。
「Altair form」
その電子音と共に、良太郎はゼロノス・アルタイルフォームに変身した。
「何だこいつ!?」
「僕はゼロノス。電王と同じく時の運行を守るのが使命」
「クロノスだか何だか知らねえが、電王は俺一人で充分だ!」
電王はそう言ってデンガッシャーを組み立てて振るう。
ゼロノスは飛び退く、が、着地に失敗して尻餅を着いた。
「野上、俺が代わろうか?」
「否、良いよ」
ゼロノスはそう言ってすっくと立ち上がり、ゼロガッシャーで電王に攻撃した。
しかし電王はヒョイと避けた。
「そんなノロマな攻撃じゃかすりもしねえよ」
電王はそう言ってゼロノスの背中を蹴り飛ばした。
「うわあ!」
腹這いに倒れるゼロノス。
「大丈夫か野上!」
と、心配して駆け寄るデネブ。
そんな二人を余所に電王は、ライダーパスをセタッチする。
「Full charge」
電王はライダーパスを放り投げ、
「俺の必殺技、Part1!」
と、オーラソードを切り離してデンガッシャーを振り回そうとすると、デネブが「させるか!」と左右それぞれ5本の指から弾丸を放った。
「うわああああ!」
吹っ飛ぶ電王。
モモタロスはデンライナーに強制送還され、電王は地面に落下してプラットフォームに戻ってしまった。
「ゴメン!」
デネブは頭を下げ、ゼロノスを抱えて去って行った。
「待て!」
電王は立ち上がって手を伸ばすが、一気に脱力して腹這いに倒れた。
そこへデンライナーが現れ、ハナが慌てて降りて来る。
「未来!」
「ハナ、丁度良い所に来た。私を車内に運んでくれない?」
ハナは電王のベルトを外し、変身が解けた未来を担いでデンライナーに乗り込んだ。
食堂車に入ると、例の亀イマジンがモモタロスに殴られていた。
「痛いわね!何すんのよ!?」
「何やってんだよ?モモタロス・・・」
「見て判んねえか?お仕置きだよ」
「リュウちゃん、モモタロス・・・止めてくれないかな・・・?」
リュウタロスは頷き、「解った」とモモタロスを羽交い締めにしてイマジンから離した。
「おいこら、放せ!」
「放しちゃ駄目よ!」
「だって?」
「ったく、何でお前は未来の言うなりなんだよ!?」
「それは何でも言う事聞いたら僕に体使わせてくれるってお姉ちゃんが言ったからだよ」
「未来、お前こいつにそんな事言ったのか!?」
未来はモモタロスの問いに頷いた。
「ずるいぞリュウタロスだけ!」
「って、モモタロスが言ってるけど、僕ってずるいの?」
未来は首を横に振った。
「そんな事よりオッサンは?」
そう未来が訊ねると、「オッサンでは、ありませーん」とオーナーが食堂車に入ってきた。
オーナーは横目で亀イマジンをチラ見し、未来にそのイマジンの事を聞く。
「未来さん、この娘は新しいイマジンですかな?」
「そうなるのかな」
「そうですか。所で、何故そんなに傷だらけなんでしょうか?」
「ああ、これは先刻ゼロノスとか言う奴と対峙した時に・・・」
「ぜ、ゼロノス!?」
オーナーが驚きの表情を作る。
「知ってるのか?」
「存知あげております。未来さん、そのゼロノスですが、桜井 侑斗と言うお方ではありませんでしたか?」
「否、野上 良太郎って言ってたけど・・・てか桜井 侑斗って?」
するとオーナーは一枚の写真を懐から取り出した。
未来はオーナーの写真を拝見した。
(こいつ、何処かで・・・)
「どうかしましたか?」
「否、知り合いにそっくりだなぁって思って。で、この人は何なの」
「彼はある時間にゼロライナーと共に消えたのです」
「き、消えた?」
「はい。しかし、消えた筈のゼロノスが一体何故?」
「そう言えば、誰かに貰ったみたいな事言ってたな」
オーナーは席に着いた。
「ナオミさん、チャーハンを頂けませんか?お腹が空きました」
「はーい」
ナオミは可愛らしく返事をすると、チャーハンを作ってオーナーの前に置いた。勿論、爪楊枝の旗付きである。
「あ、そうだオッサン」
「オッサンではありません」
「どうでも良いだろ。それより寄りたい時間があるんだけど」
「良いでしょう。但し、歴史の改変は、してはいけませんよ?で、どの時間に行きたいのですか?」
「先刻倒したイマジンが過去に飛ぶ少し前。奴の所為で折角のデートが台無しに成っちゃったからな」
「青春ですねぇ」
オーナーの言葉に未来は頬を真っ赤にした。
イマジンが過去に飛ぶ少し前の時間。
とある公園の噴水の前に、未来の彼氏である島田 拓也はいた。
その拓也の前に、デンライナーが現れて未来が降りて来た。
「ごめん、待った?」
「うん、30分くらい」
未来は拓也の頭に拳骨を落とした。
「痛!何で打つんだよ!?」
「バーカ。こう言う時男は嘘でも今来た所って言うんだよ」
「えっ、そうなの?俺今まで女の子と付き合った事無いから知らなかった」
「無知だなお前。それより、今日は何処行くんだ?」
「何処行こうか?」
「ぶっ飛ばして良いかな?」
未来はそう言って拓也をぶっ飛ばした。
宙を舞い、地面に落下して転がる拓也。
「人をデートに誘っておいて何もプランが無いってどう言う事なのかなぁ?ねえ、拓也くん?」
未来はそう言って不適に微笑した。
「そう言えば先月もこんな感じだったっけ?これはもうお仕置きしか無いね」
未来は徐に拓也へ歩み寄り、拳をゴリゴリ鳴らした。
「一寸待って!」
拓也は両手を前に出してストップの合図をする。
「解った。1分だけ待つ」
拓也は安堵の溜め息を吐いた。
「あのさぁ、未来は今何処に行きたい?」
「私が決めて良いの?」
その問い返しに拓也は頷いた。
「じゃあお前ん家」
拓也は「えっ?」と目を点にする。
「だからお前ん家だよ。私さ、一度行ってみたいと思ってたんだよね」
「俺ん家来んの?」
未来は「うん」と頷いた。
「ホントに来んの?」
「・・・行っちゃいけないって言うの?」
「否、別にそうは言ってないけど・・・」
けど何?──そう言いたげな顔で見つめる未来。
「家狭いし、ゴミだらけだし、とてもじゃないけどいられないよ」
その一言で未来の頭には文字通りゴミ屋敷が浮かんだ。
「じゃあ私がゴミの片付け手伝ってあげる」
「えっ?良いよ別に」
「遠慮しないで良いから。ほら立って」
と、手を差し出す未来。
拓也は「一人で立てるよ」と、すっくと立ち上がった。
「ねえ拓也?何で人が折角手を差し出したってのに使わないの?」
「えっ?だって、立ち上がるのに女の子に手を貸して貰ってたら恥ずかしいじゃん」
拓也はお尻の砂を払いながら言った。
未来の額に青筋が立つ。
「・・・・・・つく・・・」
拓也は「えっ?」と疑問符を浮かべる。
「ムカつくって言ったんだよ!」
未来はそう言って拓也の腹に強力な拳をお見舞いした。
「ウォエッ!」
拓也が胃液と胃の内容物を吐き出し、それが未来の肩にクリティカルヒットする。
「吐くな汚え!」
未来は下がり、拓也の腹にもう片方の拳をお見舞いした。
「ウォエッ!」
拓也の胃液を再び浴びる。
「何で吐くのよ!?濡れちゃったじゃないの!」
「あ、あなたが殴るからじゃないですか」
「殴られる様な態度を取るあんたが悪いのよ。それより、早く家まで案内して頂戴」
「解ったよ」
付いて来て!──と、拓也は未来の手を取り、付近の住宅街へ駆ける。
「ちょっ、何で走るんだよ!?」
「気にしない気にしない」
二人は公園を出、国道を抜けて住宅街へと入った。
「此処が俺の住んでるアパートさ」
拓也はそう言って、目の前にある今にも崩れそうなボロアパートを指した。
側面には<葛鈴荘>とある。「まんまだな」
「そう言わないでくれ」
拓也はそう言ってそのアパートの階段を昇って2階に行き、自分の部屋の前に立った。
後から未来も来た。
拓也は鍵を取り出してノブに差し、ロックを解除した。
ドアを開ける拓也。
「わっ、酷いよこれ!」
未来はそう言って中に入った。
中はゴミの山と成っており、床が見えない。
「さ、掃除始めるわよ!」
てな訳で、未来は部屋の大掃除を始めた。
そして半日を費やし、全てのゴミが一つにまとまった。
袋の数は燃えるゴミ、そうでないゴミ共に20袋。
「ゴミ袋、後で処理しといて頂戴。それとお風呂借りるよ」
そう言って脱衣所に向かう未来。
「待って!」
その声に未来は足を止め、踵を返した。
「用があるなら早く済ませなさい?こっちはあんたの胃液被って臭くてしょうがないんだから」
「お風呂・・・壊れてるんだ」
「えっ?」
未来は目を点にした。
「ごめん・・・。悪いけど我慢して」
「・・・しょうがないわねぇ。それじゃあ、タオルとバケツに水を汲んで頂戴。それから代えの洋服も」
「解った。洋服は俺ので良いかな?」
「・・・・・・」
重く為る空気。
未来はこのままじゃマズイと思ったのか、「あんたのでも誰のでも良いから貸して」と答えた。
「解った」
拓也はそう言って、タオルと水を汲んだバケツ、そして洋服を用意した。
未来はその3つを持ってリビングからベッドが置かれた寝室らしき部屋に入った。かなり狭い。
「良い!?絶対見ないでよ!もし見たら殺すから!」
未来は力強く言うと、力強く戸を閉めた。
だかしかし、ここは男。拓也は恐る恐る戸に手を掛け、そっと隙間を作って中を覗いた。
未来が上半身裸に成り、タオルで一所懸命に体を拭いていた。
「(おお!)」
と、その時、未来がこちらに気付いてニヤリと笑いながら近付き、勢い良く戸を開けた。
「貴様、見るなと言った筈だぞ!?」
未来はそう言って拓也を張っ倒し、顔の上に足を乗せた。
プーンと足の裏の匂いがする。
「く、臭い・・・」
「い、今何て?」
「臭えって言ったんだよ!」
未来は顔から足を上げ、その足で拓也の腹を踏み付けた。
「うっ!」
と、呻く拓也。
「どうやらマジで死にてえ様だな。だったら望み通りにしてやるよ」
未来はそう言って足を上げて再度踏み付け様としたが、いきなり拓也から砂が噴き出して未来を吹っ飛ばした。
『未来、イマジンだ!』
と、モモタロス。
「俺の契約者に危害を加えないで貰おうか?」
その言葉と共に、サイをモチーフにしたイマジン─ライノスイマジン─が姿を現した。
「うん!?貴様、電王か!ならば殺してやる!」
ライノスイマジンはそう言うと、頭の角を未来に向けて突進した。
未来は咄嗟に避けた。
ライノスイマジンは壁にぶつかり、角が突き刺さった。
「お前こいつに何お願いしたんだ?」
「強く為りたいって」
「バカ。そう言うのは私に言いなさい。何時でも鍛えてあげるから」
「鍛えるって、未来は一方的に虐めるだけじゃん」
「何か言った!?」
未来は拓也を睨んだ。
「いえっ、何も言って無いです!」
「まあ良いわ。キンタロス、お願い」
『任しときや!』
キンタロスは未来に憑依した。
すると未来の髪がチョンマゲに成って黄色のメッシュが入った。
同時にライノスイマジンは壁から角を抜き、K未来に襲い掛かる。
K未来はライノスイマジンの角を掴んで止め、窓に向かって投げ飛ばした。
パリーン!──窓ガラスが割れ、ライノスイマジンは外に飛び出した。
K未来はベルトを出現させ、黄色いボタンを押してライダーパスをセタッチした。
「Ax form」
と、K未来はアックスフォームに変身。窓から外に飛び下りた。
「俺の強さにお前が泣いた!涙はこれで拭いとき!」
刹那、空中に数十枚の懐紙が漂った。
『あんた邪魔よ!』
と、例の亀イマジンがキンタロスを追い出して電王に憑依した。
電王は青いボタンを押してパスをセタッチした。
「Rod form」
と、電子音の発声と共に、電王はロッドフォームにフォームチェンジした。
「お前、私に釣られてみる?」
電王はそう言って決めポーズを取る。
『一寸あんた!何勝手に入ってんだよ!?』
「だから言ったでしょ?この体は私の物だって。私の体を私がどう使おうと、私の勝手じゃない」
『誰がてめえのだって決めたんだよ!?』
「私・・・否、あんたかな」
『はぁ?何訳の解んない事?』
「ゴチャゴチャ五月蝿えんだよ!」
ライノスイマジンは電王に襲い掛かった。
「その内解るわよ」
電王はそう言ってライノスイマジンを足で止め、デンガッシャーをロッド状に組み立てた。
「悪いけど、長引かせたくないんで」
電王はライダーパスをセタッチした。
「Full charge」
電王はライノスイマジンを押し飛ばし、ロッドを投げた。
グサッ!──ロッドがライノスイマジンに突き刺さり、的が出来る。
電王は飛び上がり、ライダーキックを放った。
ライノスイマジンは爆裂霧散。完全に消滅した。
「弱すぎね」
電王はそう言って変身解除。未来の体から亀イマジンが抜けた。
「一寸、何あれ?」
と、通行人が口にしながら去って行った。
未来は体を確認した。
「げっ!」
未来は慌てて拓也の部屋に戻り、服を着用した。
「あたしもう帰る!制服洗っといて!」
未来はそう言って玄関に駆け、ドアを開けて停車中のデンライナーに乗り込んだ。
「あいつは!?」
と、未来が食堂車に駆け込むと、
「あ、お帰り」
と、亀イマジンが出迎えた。
「モモタロス達は?」
亀イマジンは車両の片隅を指差した。その先には、3体のイマジンが気絶して転がっていた。
「あんたが、やったのか?」
「そうだけど?」
「ナオミ、何があったんだよ?」
しかし、ナオミの返事は無かった。
「ナオミなら買い出し行ったよ」
と、亀イマジン。
「ハナは?」
「オッサンとコックピット」
「あっそう。それより先刻言ってた”その内解るわよ”って何?」
「内緒。まあ、何れ解るわよ」
「もったいぶらずに教えろよ!」
未来は立ち上がり様に椅子を倒して睨み付けた。
「やれやれ、しょうがない。特別に教えてあげる」
亀イマジンはそう言って一呼吸置くと口を開いた。
「私は、未来からイマジンと成ってやって来たあなた自信よ」
と、未来を指差す亀イマジン。
未来は腹を押さえて爆笑した。
「何で未来の私がイマジンとしてこの時代に来る訳!?何が目的で!?」
「目的なんて無いよ。選ばれたから来てしまっただけ」
「選ばれた?誰に?」
「知らない。気が付いたらこっちにいたんだよ。で、色んな事が頭に入ってくるの。電王を倒せだとか願いを叶えて過去に飛べだとか。けどそんなの私には関係無い」
亀イマジンはそう言うと、未来の体内に飛び込んだ。
「なっ!?」
刹那、髪に青いメッシュが入り、眼鏡が出現する。
『ちょっ、何勝手に入ってんだよ!?』
「別に良いでしょ?自分の体なんだから」
『否、仮にあんたが未来から来た私だったとしても、この体はこの時代にいる私のだから』
「うるさいなぁ。少し寝てなさい」
『うっ!』
未来の意識は心の奥底まで落ちて行った。
To be continued...
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