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掌編小説集7 (301話~350話)

逆流

作者: 蹴沢缶九郎

博士はホワイトボードに図を描きながら説明する。


「例えばだ、ある川の流れがある。この川の流れを壁で塞き止めるとどうなる?」


聞かれた助手には、博士が突然何故そんな説明をし出したのか見当もつかないが「…溢れる」と、一応に答えた。


「うむ、まあほぼ正解だが、厳密には、行き場を失った川の流れは溢れ、逆流する…だ」


「逆流…ですか?」


博士は続ける。


「そうだ、実は、時流にこれと同じ現象が起こっているのがわかった。未来に向かうはずの時の流れが、何らかの巨大な障壁にぶつかり、それ以上先に進む事が出来ず、過去へと逆流し始めた…。つまり、我々は昨日に向かい生きているのだ…」


そこで、助手は少し考え、ふと思い付きを口にした。


「でもそれは、日々若返るという事ですよね? 良いじゃないですか、若返りなんて…。そのまま行けば赤ちゃんになっちゃうのかな? どうなるんですかね?」


楽観的に捉えた助手の言葉に、博士はため息混じりに言う。


「さあな、一日一日を若返り、確実に知識を失っていく私の頭でわかるものか…。ところで、このホワイトボードの図は私が描いたのか?」

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― 新着の感想 ―
[一言] 安心してください、時の流れは正常ですね。私はよくもの忘れします。ボ◎との闘いです^^;;
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