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11話:休日1

連絡1:メールORコメント下さった皆さま、返信が遅れて申し訳ありません。全部読ませてもらっています。今日返信しました。


連絡2:10話で『生のクモはチョコの味がする〜』と書きましたが、間違いだとご指摘を頂きました。未確認の情報をネットに載せてしまったことを、お詫びいたします。教えて下さったラノベスキー様ありがとうございました。(勝手に名前を載せてしまって、よかったでしょうか?ダメならすぐに消しますのでご連絡ください。)

 仕事を始めて10日目。ミアは初めて、休みをもらった。

 今日は気持ちのよい快晴。せっかくなので、外出したい。しかしまだ何処に何があるか分からない。そこでロイに相談する。


「この街のガイドツアーに参加されてはいかがでしょう? 街門前広場から毎日出ておりますし、一日で有名どころを回れます。移動も馬車なので、楽ですよ」

 


◆◆◆

「みなさま〜、こちらが王城前広場でございます〜。この広場は崖の上に立つザンティア国の王城の王城を見上げるように作られており〜、1か月後の国王生誕祭では、ここで盛大なパレードが催されます〜」

「「「おおーー」」」

 小さな旗を持ち、ニコニコ笑顔で案内するガイド嬢を先頭に、ぞろぞろと20人ほどがついて歩く。

 ツアーに参加する人は、子供から老人までさまざま。全員がキョロキョロとして落ち着きがなく、おのぼりさん丸出し。服装も垢ぬけておらず、田舎者の集団だ。目立っている。


「この崖の高さは50mあり〜。入城するためには、巨大エレベーターか、特別な転移の陣を使わなければなりません〜。どちらも我がザンティアが誇る、魔法技術の粋を集めて作られたものです〜。王城は一般公開されておりませんので〜、今日は見るだけでガマンして下さいね〜」


 ガイド嬢の説明で、全員が首を痛いほど上げる。はるか頭上にそびえ立つ王城は、白を基調とした優美な姿だ。どうやって作ったのか崖の一部には滝があり、その大量の水しぶきが光を反射して、城全体が輝いて見える。


「この滝の水は川となって、ドゥミエの街中央を流れています〜。その水は上水道を通り、街全体の生活用水として使われております〜」

「ああ、なんて美しいのかしら」

「どうやって、こんなところに城を建てたんじゃ?」

「ねえねえ! あの水さわってもいい?」

(・・・・これなら、登れるか?)


 情景のあまりの素晴らしさに、はしゃぎまくる集団の一番後ろで、ミアは一人、冷静に考えていた。

(崖は確かに急だが、90°を超えるところはない。凹凸は少ないが、指をかけるぐらいのところはありそうだ。今の姿では無理だが、呪いをかけられる前なら・・・・イケる! イケるぞ!!)

 見ていると指がウズウズする。別に侵入して、何かしでかそうと考えているわけではない。

 山を前にした登山家と同じだ。目の前にあると登りたくなる。

 魔女のいたシャイランの王城は、こことは逆に、死の山脈カツカレフの崖を背に建っていた。

 崖の高さは300mあり侵入が難しく、革命軍リーダーとして、ミアは城の攻略に苦労させられたのだ。だから思わず侵入路を考えるのはクセだ。職業病と言えるかもしれない。

 この後も、一人だけズレたミアの観光は続いた。



「――これが、有名な彫刻家ルーデン作の大時計です〜。6時と12時にはカラクリが動き、ザンティア建国の人形劇が見られます〜」

(周りの建物に比べて、2倍以上高い。物見やぐらとして使えるな)


「――こちらは主神イシュタリアの神殿です〜。神殿前の噴水は、愛の泉とも呼ばれ、カップルで銅貨を投げ入れれば、一生を共にできると言われております〜」

(銅貨ばかりだが、量が多い。集めればひと財産できるな)


「――こちらが、国立博物館です〜。建国時に作られた石造りの建物で、国中のさまざまな美術品が集められております〜」

(地盤がしっかりしていて、天井も高い。避難場所に最適だ。それとも石造りなら涼しいから、穀物倉庫にした方が良いか?)


 ツアー参加者は家族連れやカップルばかり。一人で参加しているのはミアだけだ。

 そんな老人一人のミアを気にして、皆が話しかけ、おやつをくれる。

 ミアは両手いっぱいのおやつを食べながら、やたらハイテンションなツアーの一番後ろを歩いた。

 もちろん自分が考えている事は、誰にも言わなかった。



◆◆◆

「ここはドゥミエの街の台所、西の大市場です〜。露店の数は常に1000を超え、野菜から馬、宝石まで、ここで買えないものはないと言われております〜。みなさま、ここでお昼をお済ませ下さ〜い」


 ガイドの案内で、ツアーの一行は市場に到着する。

 といってもミアはこの市場に来るのは初めてではない。 ここだけは、食糧や生活雑貨の買い出しに、何度も訪れていた。

 市場には、ところせましと屋台が立ち並び、昼時の今、肉や魚を焼く良い香りがしてくる。

 さっそくツアー一行が、市場見物に繰り出そうとした。

 すると人ごみの中、子供が3人、何か光るものをキャッチボールしながら、走ってくる。

 そして子供たちは、何やら見覚えのある中年男性に追われていた。

 たしか市場で土産物屋の露店を出しているオヤジだ。


「コラーー! 返さんかーー!」

「「「嫌だよーーーー!!!」」」


 ミアはとっさに、横をすりぬけようとした少年の足を、引っ掛けた。少年はよけられず、転んで、でんぐり返りをする。すぐに少年の首根っこをつかんで、捕獲した。


「離せ! 離しやがれ! クソババア!!」

「ああ、ミアおばあちゃん。ありがとう。この子たち、うちの商品を勝手に持っていっちゃったんだよ。俺の足じゃ、追いつけなくてねぇ」


 暴れる少年を離さずにいると、土産物屋のオヤジと、先に逃げていた少年2人が走り寄ってくる。

 少年たちは、7・8才くらいだろうか? うちのレオより少し幼い。3人おそろいの服を着ている。

 少年たちがキャッチボールしていたのはガラス細工の小さな小鳥だ。

 ミアは小鳥を、走り寄ってきた土産物屋のオヤジに返す。


「代金を払わず物を持っていったのなら、ドロボウじゃな。警備隊に連れて行くぞ」


 子供をつかんだまま、すぐに歩き出したミアに、少年3人はギョッとした。

 だが驚いたのは、土産物屋のオヤジもだ。あわててミアを止めに入る。


「まってくれ!おばあちゃん。この子供たちは、そこの教会の孤児なんだよ。両親のいない、可愛そうな子なんだ。まだ幼いし、これは安い物だ。俺は商品さえ返してくれれば、別にかまわないから・・・・」

「ご主人。この子供たちが盗みを働くのは、初めてではないな?」

「・・・・・・・・」


 ミアの問いかけに、土産物屋の主人は無言で目をそらす。子供たちの事情をを知っているようなので見当を付けたのだが、あたっていたらしい。


「見たところ、十分温かそうな服を着ておるし、腹をすかせておるようでもない。これで何故、盗みを働く必要がある? 孤児だからなど、理由になるまいよ。ましてや常習犯なら、きっちり裁きを受けるべきじゃ」


 再び少年を引きずり、歩きだしたミアに、あわてて残った少年2人が、取りすがった。


「お願いだ! やめてくれよ!」

「謝る! 謝るから! もう2度と盗みはしない!」

「こんな事がばれたら、マザーが悲しむんだ! 何でもするから警備隊に行くのだけは、やめてくれ!!」


 少年たちはそれぞれ、ミアの両足に身体を巻きつけて抵抗した。

 襟首(えりくび)をつかまれた少年も、全体重をかけて踏ん張る。

 さすがに幼くても、3人に抵抗されては、今のおばあちゃんのミアでは動けない。

 結果、ミアと少年たちは引っ張り合いになり、ガイドとツアー客に加え、市場の買い物客にすっかり囲まれた。

 見せものでは、ないのだが。


「・・・・マザーとは、誰じゃ?」

「そこの教会の司祭様だよ。教会は孤児院を兼ねていて、孤児たちの面倒を見てるんだ。思いやりのある、すばらしい人だよ」


 だまりこんで答えない少年たちの代わりに、土産物屋のオヤジが説明する。少年たちは、歯を食いしばって今にも泣き出しそうだ。


「・・・・何でもするんじゃな?」

「「「するっ!!!」」」


 ミアはため息をついて、力を抜いた。急に力を抜かれ、力一杯抵抗していた少年たちは、3人そろって尻もちをつく。


「ガイドどの、申し訳ないが、わしはここでツアーを抜けさせてもらうぞ。店主どの、この3人わしが預かっても良いか?」


 不安げな顔で、心配そうになりゆきを見守る周囲に、ミアは宣言する。


「悪ガキのしつけは得意なんじゃ。ここは、わしにまかせてもらおう」




とーりすがりは今だ多忙です・・・

まだ新居にネットを引いていなくて、これもマンガ喫茶で書いてます。

この話、誤字脱字がいっぱいありそうだなぁ。

返信は遅れると思いますが、必ず読んで返信しますので、ご容赦ください。


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