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10話:コミュニケーション

 レオの発言『覚悟をして来い』の意味はすぐに分かった。

 イタズラは、子供の仕事の一つだ。



 新しく入ったミアの仕事は、料理・洗濯・掃除など、屋敷内の管理だった。

 今までその仕事をしていたロイは、人手がなくて荒れてしまった庭の、整備の仕事に移るという。



 仕事一日目、ミアがロイから仕事の説明を受けていると、レオが忍び足で近づいてきた。

 何をするのかと思ったら、ミアの背中にそーっと紙を貼って、そーっと去っていく。

 何だろうと思って紙を見てみると、『ば〜〜〜〜か!』と書かれていた。

 ずいぶん古典的なイタズラだ。

 ミアは紙を少し眺め、おもむろにペンを取り出した。紙に『30点、言葉がありきたりです。もっとオリジナリティを出しましょう』と書き加える。

 そして、2日目の朝、仕事のため王城にむかうレオに、気配を殺して近づき、紙をそっと背中に貼った。

 夕方、ミアは紙に気付いたレオがどんな顔をして帰ってくるだろうと、ワクワクして待っていた。

 すると、帰ってきたレオは、なんと紙を貼り付けたままだった。

 どうやら仕事場の仲間は、誰も教えてくれなかったらしい。

 レオは部屋で着替える時、はじめて気づいたようで、紙をビリビリと破く音と、じたんだを踏む音が、廊下まで聞こえてきた。



 3日目、ミアが仕事から帰ってきたレオからマントを洗濯にあずかると、真中(まんなか)にどでかいケチャップのシミがある。

 外出するときに着るマントに、ケチャップがつくはずがない。嫌がらせで、わざと付けたのだろう。

 どのみち洗濯では、この汚れは落ちそうにない。

 しょうがないのでミアは、ピンクのハートと黄色いひよこの、でっかいアップリケを作った。それでマントのシミを隠す。

 うん。我ながらかわいい。上出来(じょうでき)だ。

 4日目の朝、仕事に向かうレオに、ミアはにっこり笑ってマントを手渡した。

 レオは早速着ようと、マントを広げて、黄色いひよこと目が合い、ピシリと固まる。

 しばらくマントを持って、ぶるぶると震えたかと思うと、「アホかーーーー!」とミアにマントを投げつけた。 


「オレを、誰だと思ってやがる! 魔法士団・団長だぞ! こんなマント着ていけるわけ、ないだろうがっ! 何を考えてやがるっ!」

「マントに、あんなでっかくケチャップを落とすお子様には、お似合いじゃ、のぅロイ?」

「はい。大変よくお似合いです」


 まさかロイがミアに味方するとは、思わなかったのだろう。レオはあせった。

 すぐに違うマントを出すように言っても、老人2人に言い負かされる。そして自分では、代わりのマントが家の何処にあるか、わからない。

 結局レオは、アップリケ付きマントを着て、肩を落とし、トボトボ家を出た。

 そして夕方、ぐったり疲れきって帰ってきた。

 どうやらマントは職場で大好評で、皆に可愛がられたようだ。

 ミアは黙って、肩をもんでやった。




 5日目、レオは仕事から帰ってくると、何やらたくらんだ顔で、「お土産だ」と、ミアに一つ箱をくれた。

 開けてみると、中にはセミ・イモムシ・クモなど、大量の虫が入っていて、元気よくガサガサ動いている。


「おお、すごいではないか! こんなに集めるのは大変だったじゃろう。ありがとう」

「なんで女が、虫を喜ぶんだよ・・・・」


 素直にお礼を言うミアに、レオは「ちっ」と舌打ちをする。

 しかし特には何も言わず、不機嫌そうにブツブツ言いながら去って行った。

 ミアは箱を手に、ふむと考える。

 せっかく生きのよいのをもらったのだし、これをを明日の夕食のおかずにしよう。


 そして6日目の夕食。ウキウキと夕食を待つレオの前に、ミアは腕をふるった虫料理を出した。

 イナゴは佃煮、イモ虫は塩焼き、セミは唐揚げと、種類も豊富だ。

 出された皿を前にして、レオはナイフとフォークを手に持ったまま固まる。

 何時までたっても動きださないレオに、ミアは声をかけた。


「心配せずとも、クモはデザートにとってあるぞ。生で」

「今すぐ捨てろ!」


 結局レオは虫料理を一口も食べられず、おなかをぐーぐー鳴らして、部屋に戻って行った。

 だが、成長期の子供に夕食抜きは良くない。ミアはおにぎりを2つ作り、夜、部屋にそっと入れてやる。

 7日目の朝には、ミアの部屋の前に、空になった皿が置いてあった。

 ちなみに、残った虫料理は、ロイが全部食べきった。


「たいへん、おいしゅうございました」


 ムムムっ、やるなぁ。




 8日目。夕方現在。レオはシャベルを持ち出し、庭に穴を掘っている。

 仕事で疲れていないのだろうか。レオは今日も元気だ。


「クソババア! 今に見てろ! 今に見てろ! 今に見てろおぉぉっ!」


 やる気を出している子供の、ジャマをしてはいけない。ミアはロイといっしょにお茶を飲みながら、主人の戻りを待つことにした。


「ザンティアは今日も、平和じゃのぅ」


 ミアの新生活は、順調だ。


 


背中に貼られた紙を採点して、貼り返したのは、実は小学生の時のと―りすがりです・・・・

あとクモがデザートなのは、生のクモはチョコの味がすると聞いたからです。食べたことはありませんが。


*連絡*

とーりすがりは9月から職場&住居が変わることになりました。

明日からしばらくは、パソコンにさわれそうもありません。なので小説の更新もできません。

こんな小説でも、わざわざ読んでくださっている皆様に申し訳ないです・・・・ まだ序章で、これからが本筋なのに。

どうか、と―りすがりを見捨てず、気長にお待ちいただけますよう、お願い致します。

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