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三兄弟の事件簿~この恋はミステリー~ 作者:愛田美月
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第二十七章 マスターの声変わり

 最後に解答を提出した倉橋が朝食を終えた時。
 突然辺りに声が響いた。
『ごきげんよう、朝食はお気に召していただけたかな?』
 バサバサっとどこかで音がなった。鳥が声に驚いて飛び去ったのだろう。参加者達が静まり返っていたので、より大きく聞こえたのかもしれない。
「この声、マスターなのか?」
 倉橋が太い眉を寄せ、誰にともなく疑問形で呟いた。
 おそらく、どこかに隠してあるスピーカーから流れているのであろう声が、昨夜のマスターの声よりも随分と年老いて聞こえたからだろう。
『さて、満腹の諸君らには運動が必要だろう。そこで、君たちにもう一つミステリーを用意しておいた。存分に楽しんでくれたまえ』
 楽し気な老人の声が、そこで途切れた。
 空は千鶴と顔を見合わせ、首をかしげあった。

「それでは、皆様。マスターから第二のミステリーその二が届いております」
 藤沢の声に、参加者達の視線が集まる。秀香が疑問を口にした。
「その二ですって? 何よそれ」
「それより、さっきのが、マスターだったのか? 昨日と声が違う気がするが」
 倉橋の問いに茂山が答えた。
「マスターは百の声色が使えるという設定です」
 設定って。
 と、参加者の誰もが思ったが、茂山につっこみを入れる者はいなかった。
 その間に、藤沢が宣言した。
「それでは、第二のミステリーその二の説明に移ります」
 彼は、一同を見回した。
「まずは、皆様。クラブハウスサンドに刺さっていた旗をご覧ください」
 藤沢は、空達が食べたクラブハウスサンドに刺さっていた旗と同じような旗をスーツのポケットから取り出して皆に見えるようにした。
「旗には一から十までの数字のどれかが書かれています。その数字は皆様が行うミッションの番号となります。つまり、皆様には一人一人別のミッションが与えられます」
 どうやら、今回は個人戦らしい。千鶴と一緒にはできないのだろうか。それはちょっと寂しい。
 空がくだらないことで考えている中、藤沢の説明は続いた。
「ミッションが成功すれば、その番号が、皆様のポイントとして与えられます。第二のミステリーその一が正解なら、その番号の数字の二倍の点数が加算されます。制限時間は正午ちょうど。それまでにミッションを達成してここに集まってください」
 藤沢の説明が終わり、茂山の手で、ミッションの書かれた紙が各人に配られた。
「ミッション達成に必要な道具は、あちらの受付に用意してあります。お一人様一つまで道具を使用できます」
 藤沢が受付の方を指さしたので見てみると、瀬戸が長机を両手で示していた。
長机の上には、長靴や、スコップ、ゴム手袋等色々な物が置かれている。
「それでは、第二のミステリーその二を開始いたします。どうぞお手元の紙を開いてミッションをご確認ください」
 藤沢の号令を受けて、空達は一斉に紙を開く。
 そして、参加者達の口から、それぞれに戸惑いの声が上がった。
 空の紙にはこう書かれていた。

『ミッション
砂浜にこれを二十枚並べろ。
緑の64
追伸:必ず証拠写真を忘れずに』

 これの意味するところは何なのだろうか。
「てか、緑のシックスティーフォーってなんだよ」
 何故か『ろくじゅうよん』と日本語で読まず、英語で呟いた空であった。



 緑のシックスティーフォーに頭を悩ませていた空の肩を海が叩いた。
「そーらっ。旗の番号何番やった?」
「え? えっと。六」
「六かええやん。俺なんか三やで」
 そう言って、海が振って見せた旗には確かに三という数字が見て取れる。
 第二のミステリーその一が正解で、その二を正解したとしても、海に与えられる点数は六点。空がもし同じように正解したなら十二点ももらえるのである。六点の差はそれなりに大きいと見ていいはずだ。案外いい数字を引き当てたようだ。
「さっき、倉橋さんと伊吹さんにも聞いたんやけど、倉橋さんは八で、伊吹さんは四やって」
「へぇ。てか、いつの間に」
 空が問題を見てうんうん唸っていた間に、海は参加者に旗の番号を聞いて回っていたのだろうか。まったく気づかなかった。
「ちなみに私市さんは、二。光は七やって」
「へぇ。ってか、聞いて回る時間あるなら、問題さっさと解けよ」
 空の言葉を聞いて、海は口の端を上げた。
「ふふん。もう解いたし」
 いやに、得意気だった。
「えぇ。問題ってどんなの?」
 空が尋ねると、海が問題用紙を差し出した。
 問題はこうだ。

『ミッション
 以下の場所へ行き証拠写真を撮れ
3↑5676→1←2→
追伸:写真には四人の成果を収めろ』

 空は盛大に顔をしかめた。
「何で、こんなんが分かるんだよ」
「まぁ、空は分からへんやろうな。これに関しては確実に」
 海はどこか楽し気な調子で続けた。
「それより、空。空の方はどうなん?」
「俺のはこれ」
「まあ、不思議なミッションですわ」
 おっとりとした声が空の耳に入る。
 空の背後から現れたのは千鶴だった。
 彼女は私市と光に砂浜の場所を案内していたはずだが、いつの間にか戻ってきていたようだ。
「先輩。お帰りなさい」
「ただいま戻りました。空さん」
 にっこりとほほ笑む千鶴にノックアウトされかける。やばい、新婚さんみたいだ。と、空の思考がぶっ飛んでいる隙に、海が千鶴に質問する。
「先輩、先輩。先輩の旗、何番でした?」
 千鶴はポケットから旗を取り出して二人に見せた。
「え」
「あー」
 二人の言葉が続かない。
 千鶴の持つ旗にはどこからどう見ても『1』と書かれていた。
 どんなに頑張っても最高二点。
 二点かぁ。
 千鶴の引きの悪さに苦笑するしかない二人であった。
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