第8話 気になること
「新一・・・何してるかな・・」
蘭は、両手でしっかり抱えた箱を見て少し微笑む。
小さく鼻歌を歌ってみた。
工藤邸の前にきたのはいいものの・・・どういう理由をつけようか・・・
『ケーキ作ったの。一緒に食べよ?』
『え?マジ?やった!』
蘭は想像して溜息をついた。
わざわざケーキ作るなんて不自然かぁ・・・
そう思いながら戸惑っていると、玄関のドアが開いた。
・・・あ!新一かな・・・!?
反射的に電信柱の後ろに隠れた。
顔だけヒョコっとだしてのぞいてみる。
・・・・・・哀ちゃん・・?
中から出てきたのは哀だった。
新一と哀ちゃん・・・こんな朝早くから、何してんだろ・・・・?
朝早くと言っても、9時を回っているが、朝から哀と新一が会っているというのは・・どうも不自然だった。
まあトニカク、ケーキおいて来よう!
深呼吸をして思い直すと、哀が阿笠邸に入っていくのを見届けてから、工藤邸のインターホンを鳴らした。
―――ピーンポーン
『はい』
インターホンから、新一の声が聞こえてきた。
「あ、新一?私」
『おう、蘭か。ちょっと待ってろ』
数秒してドアが開いた。
「らーんちゃんっ♪」
「黒羽君!?」
中から出てきたのは快斗だった。その後ろに新一もいる。
「お前さー。さっさと帰れよ」
「冷たーい、新ちゃん」
「だから・・・やめろって!“新ちゃん”って何だよ」
小声でぶつぶつ言い始めた新一。
快斗もいると思うと、蘭は渡しにくくなった。
「ん・・それで?どしたんだ、蘭」
「ああ、え・・っと・・」
なんとかはぐらかそうとするが、快斗に気づかれてしまう。
「あ!その箱・・・ケーキでしょ!」
「あ、うん・・作ったの。一緒に食べよ?」
言えた・・・かえって、快斗がいてくれたほうがいいのかも知れない。
第三者がいたほうが。
「おう、入れよ」
「うん」
・・・・・
「おいしーー」
「そう?ありがとう」
嬉しそうに頬を染め、快斗を見る蘭。
新一はそれが気に入らないようで、フォークをくわえたまま快斗を睨んでいる。
「新一ィ、ケーキ食べないの??」
いただき!と言って新一のケーキにトッピングされたイチゴをフォークで刺す。
「あ・・・」
「あ〜ん」
見事に快斗の胃袋に収まった。
「・・・く・ろ・ば!?」
「あはは〜・・・ちょっと」・・まずかったかな・・」
うっすら冷汗が滲んできた快斗。
新一の怒りゲージはMAXに達した・・・
「黒羽―――!!!」
「ひえ〜〜」
フォークを持ったまま、新一はものすごい形相で快斗を追いかけまわした。
ごめんよ〜と快斗は逃げまくる。
「帰れーー!!」
「うわっ」
持ってきていたカバンを持ち、快斗は「ご馳走様、蘭ちゃん」と言って出て行った。
「ふう・・・やっと帰った・・」
玄関まで追いかけていた新一は、ドアを閉めようとして、ふと、幼い背中を見つけた。
・・・灰原・・・?
見ていれば、哀は快斗と合流して話しているではないか・・・
新一は気になって、走りだした。
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