第6話 ゲーム大会
「・・・あ!くっそ・・・」
「フフ・・・まだまだね・・・」
工藤邸に響き渡る、二人の声。
「・・・・さぁ、これでどう?」
「おうっ!?」
ピロリロリ〜〜♪♪
「ぬを――――!!!」
「フ・・・」
ゲーム機を床に放り投げると、テーブルを握り拳でバンバン叩いた。
もう一度悔しそうにテレビ画面を見ると、自分の使っているキャラクターは仰向けに倒れている。
そして隣でゲーム機を持ち、勝ち誇った微笑みを浮かべる少女を見つめた。
「さ、もう!いい加減帰らせて頂戴!」
「・・・もう一回・・・!」
「ええ!?」
「たのむ!!」
自分の隣で正座をして手を合わせ、顔も上げない青年を見据えて「あと一回だけよ」と呟く。
「ありがとう!灰原!」
「はやくやって帰るわ」
ここ、工藤邸では今ゲーム大会が開かれている。
事の発端は快斗だった。「明日学校ないからいいじゃん」という事で格闘ゲーム勝負をやろうと言い出したのだ。
もちろん、無理やり参戦させられた哀は嫌がったが、「一回やってくれたら帰ってもいい」という快斗を“とりあえず”信じて、一回だけやってみた。
・・・すると、どうだろう。
哀は見事に負けてしまったのだ。
負けず嫌いに火がついたのか、快斗が負けるまでやり続けた・・・・・
ここまでで、3時間。
さて、そろそろ帰ろう・・・と哀は言ったが、許してくれない人物が一人いた。
工藤新一・・・。
彼はずっと近くで二人(快斗と哀)を眺めているだけで、仲間に入れてもらえなかったのだ。
別に、構ってほしいわけじゃない。ちょっとゲームがやりたいだけだ・・・と、自分に言い聞かせて哀と一回だけ勝負することにした。
・・・結果・・新一の惨敗・・・・・・
本当にあっけなかった。
サッカーゲームは鮮やかにゴールを決め、得意中の得意だった。
だか、格闘ゲームは・・・恐ろしく弱いのだ。
だが、新一も負けず嫌いだ。一歩も引かない。
哀だって・・・という事で、新一が勝つまでやらなければならないことになった。
哀もわざと負けて帰ればいいものを、それだけは、自分のプライドが許さなかった。
・・・・・・・
小鳥のさえずりが聞こえた。
カーテンの隙間から光が差し込み、筋をつくっている。
哀は手の上に伏せていた顔を上げる。
うつろな目で見つめたものは、8時をさす壁掛け時計・・・・・
「・・・8時!!?」
飛び上がって叫ぶと、意識がはっきりしてきた。
たしか・・・買い物帰りに工藤くんとその友達に会って・・・無理やり招待されて・・・無理やりゲームを・・・・・
やっと昨日のことを思い出した。
にしても・・・両側で眠りこけているそっくりな二人の青年を見て思う。
私は・・・男の人の家に泊まったのか・・・。少し、恥じる。
「あ、いけない」
昨日スーパーで買った食材を、工藤邸の冷蔵庫に入れてあるんだった。
思い出して台所に向かった。
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