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ウォーターボーイズ
作:tensuke



5.初恋はいつですか


5.初恋はいつですか

あの日 彼の目が妖怪メデューサで 石にでもされてしまったみたいに
僕が 彼を見つめたまま固まってしまったあの日
帰宅した母が鳴らした玄関チャイムがラウンド終了のゴングだった
見つめ合って ただバカみたいに固まっていた僕らは
チャイムの音で一斉にベッドから飛び降りた 
そして 顔を見合わせてなぜか大笑いしていた
母は部屋のドアをノックしながら「何?楽しそうね?」と顔をだした
佐藤コーチの姿を見ると とても嬉しそうに笑っていた
母がとても可愛く見えた

僕とコーチは母に連れられて寿司屋へ行った
母は終始ご機嫌で「沢山食べてね」と太っ腹だった
他愛のない世間話と僕の受験の話をして
寿司をたらふく食べて コーチは帰っていった

夜遅く帰宅した父がまたしても佐藤君との晩ご飯を逃したと悔しがった
この夫婦は 僕よりも出来のいい長男の話でもするように
佐藤コーチの話を嬉しそうにする
僕も まんざらそんな両親がイヤじゃなかった
コーチが本当に兄貴だったら
・・・・あれ?・・・兄貴だったらいいのに・・って・・
僕も思ってなかったっけ??
微妙に・・・ほんの少し 僕の心は「兄貴じゃなくてぇ・・・」と
秘かな反論を訴えていた

じゃぁ何なんだ・・・・・
15歳の僕には それが「恋」というものなんだということすら
判っていなかった
そう 思春期のごくごく初期の段階には 男の子も女の子も
同性相手に恋をしてしまうこと よくあるっていうじゃないか・・・
別に珍しい事じゃないんだ・・・
それは 本当の恋愛をするための予行練習みたいなものだって
何かの本で読んだことがある
だから・・・きっと これが「恋」でも・・・かまわないんだ

僕は 自分のココロと折り合いをつけようと必死だった
風邪が治るまで という言い訳で
僕はしばらくプールへ行かなかった
本当は 佐藤コーチに会いたくなかった
いや とても会いたかった 顔を見たかった 話をしたかった
でも 会いたくなかった
ややこしい・・・・なんだかとっても自分の気持ちがややこしい
もどかしくて 苛立って たまらなく切なくもなったりして

クラスに もの凄い美少女の転校生とかやってこないかなぁ・・・
なんて 真剣に思ったりもした そして僕と恋に落ちてくれないかしら・・・
なんとか このもやもやとした もてあまして仕方のない気持ちに
見切りをつけたかった 
悩める受験生 こんな時に恋なんて・・・試練の時だった












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