11.どうしよう
11.どうしよう・・・
「のぼる?」
「ん・・・」
僕は顔をあげることができなかった
ほのかに残る彼の唇の感触がまだ僕の唇を震わせる
声なんて出ない
彼の顔なんて見られない
その口づけは思いがけず
そして意外な程に自然に重なり合った唇を
お互いが強く求めているのを感じた
口づけは深くなり
強く吸われて息がつまり 思わず開いた隙間から
強い意志を感じる舌が差し入れられてきた
それは僕の舌を追い回し 絡み 吸い上げた
こぼれた唾液を追うように唇が顎を這い
角度を変えて唇を再び塞がれた
噛み付くように口づけられて
僕の意識に白い霧がかかる
頬に添えられた彼の掌の温かさを感じ
僕の頬はみるみる紅く染まっていくのが判る
強烈な欲求に負けて 細く目を開け彼を見た
そこに うっすらとその瞳を細め
僕の反応を確かめるように見つめる彼の視線があった
僕らは時折 お互いの顔を盗み見るように瞳を開き
それでも唇が離れる事はなかった
長い
長い口づけがどれだけ続いたのだろうか
僕には判らない
その唇から解放された時
僕の身体にはほとんど力が残っていなかった
何もかもが身体の芯から溶け出して
僕はそこにいる事すら信じられず
彼の顔を見る事ができない
優しく名を呼ばれても
視線をあげる事すらできない
「キスして下さい」 そう言ったのは僕だ
そして彼は僕にキスをした
深くて甘い 大人のキスだった
それは僕が少女と体験したキスとは違う
身体の芯を熱くする
もっともっとと求めてしまう
そんな 熱くて苦しい口づけだった
僕は何かを期待していた
期待してしまう何か
彼はそれに気づいただろうか
それとも 彼はもうとっくの昔にお見通しだったのだろうか
僕は 溶け出した自分のかけらが僕の頑なな殻だったと思う
僕は今 殻を失った無防備なひな鳥だ
目の前の大きな存在にその庇護を求め
そのぬくもりを求めてしまう
僕は 彼を求めてやまない自分の心に戸惑っていた
彼の顔を見ることが できなかった
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