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太陽を越えて…
作:アクア☆



揺らぐ心


 綾音にしてみれば、このお店は苦い思い出でしかなかった。

 でも、今では苦い思いを超える場所になっていた。

 お店から見える景色。窓いっぱいに広がる海と太陽。

『マスター?』

『どうしたの?綾音ちゃん。』

『このお店、ホント良いお店ですね。綾音専用のお部屋にしよ!』

『いいよ!いつでもおいで。』

 マスターは、優しく微笑んだ。

 ココに来れば、楓もいるし裕也君もいる。マスターも良い人だし、キレイな景色、音楽。ずっといてもあきない場所。綾音は、お気に入りの場所になっていた。

 マスターからしてみれば、店に可愛い子がいれば客を呼んでくれる看板娘になるし、楓と裕也が頑張るから一石二鳥!

 賑やかになるし、雰囲気も良くなる。幸運を呼ぶ天使が来た気分だった。

 そんな和やかな雰囲気の時…

『いらっし……!早苗!』

 裕也は、思わず声が裏返った…。

『いらっしゃい。』

『マスターこんにちは。にっ!』

『あ〜!早苗ちゃんだ!こっちこっち!』

『綾音ちゃん!さっきはどうも!』

 早苗は、ヒョコヒョコと綾音のテーブルに向かう。

 窓際に座る二人。なんとも絵になる光景。

『早苗ちゃん?今日、どしたの?』

『ん?ココ来れば皆いるかなって思って。にっ!思わず来ちゃった!』

 キャッキャ賑やかな二人!

『よっ!早苗!』

『裕也君!ちゃんと仕事しないと〜!クスッ。』

『裕也!ちゃんと働けよ〜。』

 楓もそこに行きたいけど、裕也に先越されたため行きにくくなってしまった…。

『どうせ暇なんだから大丈夫だよ…。あ…!』

 と、言いつつ仕事に戻る裕也。

 マスターが見ていた…。


 時間がたつにつれ、お客さんの出入りも激しくなり…

『早苗ちゃん?そろそろお店でる?』

『そだね…。迷惑かけちゃ悪いもんね。』

『マスター!また、来ても良いですか?』

『いつでもおいで。』

『は〜い!』

 綾音と早苗は、マスター、裕也、楓と少し話してお店を後にした。

『暗くなっちゃったね…。』

 綾音は、夜の海を見ながら呟いた。

『そうだね…。』

 早苗も、綾音の後をついて行く。

 ショップにいた時とは違ってあまり喋る様子はなかった…。

『何でだろ…。頭の中ではいっぱい話してるのに…。』

 早苗は、気付いていたのだ。綾音の変化に…。すっと綾音の横に並び海を眺めていた。

 時間だけが過ぎていく…。

 何も言わず、ただ傍にいた。

『あ!流れ星だ。』

 と、綾音を見た時だった…

『どうしたの!?』

 ……。

 綾音の頬には涙が…。

 綾音は、優希の事を言おうか言うまいか悩んでいた。隠し事をして友達になるなんて…。最初から言えない事があるなんて…。

『あ…、ごめんね!少し、考え事しちゃって…。』

 急いで涙を拭う綾音。

『綾音ちゃん?まだ、会って間もないけど…早苗は…。』

『………ん?』

『なんかね?綾音ちゃんって、何て言ったらいいかな…、初めて会う感じしないって言うか…。だから、一緒にいたいなって。友達になりたいなって…。にっ。』

 早苗の笑顔はとても素敵な笑顔だった。作り笑顔じゃなく心のこもった笑顔だった。

『ありがとね…。綾音もね…、綾音も凄く友達になりたかったの…。絶対仲良くなってやるって…。』

 我慢しきれずこぼす涙…。優希の事もあり…。優希も早苗も大好きな綾音。でも、裏切れないし隠し事もしたくない…。でも…、やっぱり綾音からは言えなかった。辛い…。

 綾音は、声を殺しながら泣き続けた。

 早苗も、綾音の気持ちを察したのか、それ以上は何も言わず、傍にいた。


 顔だけでなく、性格まで似ている早苗。裕也だけじゃなく綾音までも揺らぐ気持ち。



 優希?いいかな…、早苗ちゃんと仲良くなっても…













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