はじまりはじまり
1からやり直してみました。ワンダーワールドという、連載ですが1話完結で少しずつ構成していく物語。変な世界観をお楽しみください!
テクニカルシティの朝は早い。毎日多くの住人が早起きし、自分達の仕事にかかってる。ここで開発されたアンドロイドのれなたちの父、博士も同じだ。
他の研究所へ向かい、研究の成果を出しあっている。
寝坊したれなとその妹のれみ。れなは緑の瞳に黄色のツインテールの美少女、れみはれなと似ているが二つ編みの小さな少女だ。一見すると人間にしか見えない。
これは彼女らのある物語だ。
彼女らの部屋は二階にあり、下に降りると博士の作った目玉焼きとシシャモが置かれてあった。
二人は椅子に座り、向かい合って申し訳なさそうに眉を八の字に寄せた。
「…お姉ちゃん、何か申し訳ないね。毎日忙しそうだし」
「そうだね。研究もこれと言って良い成果が出てないらしいしね」
二人は下を向いてため息をつくと同時に同じ事を同時に呟いた。
「…まさか、このままの研究じゃ破産するんじゃ」
顔をあげる二人。同時に立ち上がり、急いで着替える。昔からどこか抜けている二人。このままでは破産すると大袈裟に判断し、新発見をしようと慌ただしく研究所から抜け、近くの森へ飛んでいく。
歩道の上をアンドロイドならではの空中飛行でジェット機のように飛んでいき、森へと突入する二人。木の葉が飛び散り、道路に紙のように落ちていく。
森はいつも通り平和で、小鳥のさえずりや草木が揺れる音、わずかな花の匂いで平和な雰囲気を醸し出している。そんな平和な森の中、二人の騒がしい少女二人が飛び出してきたがために森の生き物たちが逃げていく。葉っぱが雪のように降り注ぎ、一面が緑に染まった。
「…あー勢いで森に来たけど…なんにもないね」
二人は顔を見合わせ、お互いに頷く。適当に歩いていく二人。茂みに囲まれる道を歩き、歩き慣れた森をゆっくり進んでいく。
それを、何者かが監視していた。
奥へ行っても特に何もなく、花の香りが近づいてきたくらいだった。
「何もないね…新発見なし。帰ろうか」
二人は振り返り、帰ろうとした…しかしそれを阻む者が茂みからとびだしてきた!
それは頭から木を生やし、鋭い爪を生やした丸い怪物だった。凄まじい眼光でれなたちを睨み、白い爪を向ける。
「貴様らぁ!森で何を騒いどる!この森の主様が許さんぞ!!」
森の主はれなたちがうるさくしたことに怒り、爪を降り下ろす。突然のことに驚いたが、二人は同時に謝る。
「ご、ごめんなさい!許して!」
しかし森の主の怒りはおさまらず、周囲の物を破壊しながら爪を振り回している。花の匂いは腕を振り回した際の風で激しくその場を包み、平和な匂いのなか、激闘が繰り広げられる。
れなとれみは両方から森の主を挟み撃ちにし、両腕を掴むがすぐに、振りほどかれてしまう。
「森の主!いつもならすぐ許してくれるのにどうして!?」
森の主を知っているれなたちはいつもと違う様子に驚く。全く聞くようすもなく暴れ狂う森の主はもはや森の怪物だ。次々に木をなぎ倒し、れなたちはたまらず飛んで距離を離す。
「…あ!」
れなたちは茂みに潜む怪しい存在に気づいた。そこには黒く、四角い頭に青い長方形の目、細い体に鋭い爪を持つ手…明らかに人間ではない者が潜んでいた。
(まさかあいつが森の主を…?)
根拠のない疑いを頭によぎらせる二人だが確かに怪しかった。背後から迫る森の主。
「れみ、離れて!」
れなは振り返り、森の主に右手を突き出す。いわゆる必殺技を浴びせようとしているのだ。
必殺技を知っているれみはあわてて木の裏に逃げ込む。
「…オメガキャノン!!」
片手から放たれた青い光線は水流のような勢いと光を放っていた。光線は森の主を直撃し、吹き飛ばす。
森は荒れてしまった。周囲の草花は吹き飛び、焦げ茶色の地面が剥き出しになっている。
逃げていた回りの動物たちが茂みから頭を出す。目の前には転倒した森の主。
「…お姉ちゃん大丈夫?」
れみが髪を直しながら現れた。だが今度はあの黒い者が拍手をしながら現れたのだ。
「お見事ですね。陰から見させてもらいましたがあの森の主を一撃で。ふふふ、いつか拳を交える日が来るかもしれませんね」
二人は突然現れた得たいのしれないその者を見て、鉄の肌に冷や汗を流す。怪しさに思わず構える二人だが相手は余裕を保っている。
「名前だけ教えておきます。私の名はジャーク。また近いうちにお会いしましょう。では、さらば」
ジャークと名乗るその男は手を振り、体に黒いオーラを纏ってその場から消えてしまった。不穏な空気を残して…。
作中でも載ってますがれなたちは飛べます