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転職の神殿を開きました 作者:土鍋

転職の神殿を開きました

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考究

「カナメ君、僕は君という人間と知り合えたことを神に感謝するぞ! ……うむ、神に感謝するなんて、実に久しぶりだな!」

「そうか、それはよかった」

 古代都市にあるクルシス神殿の宿泊施設。その一室には、五つの人影があった。俺以外のメンバーは、クルネ、ミルティ、ルーシャ、そしてエディだ。
『名もなき神』への対策と、そして俺に起きている事象を解決するために臨んだ場ではあったが、『天才』エディの独特な思考とテンションに馴染むことは、慣れない皆には少し難しいようだった。

「神官、なの……?」

「オルファス神は意外と御心が広いのですね……」

 クルネとルーシャが呆気に取られたように呟く。聞きようによっては失礼な台詞だが、エディがそんなことを気にするはずがない。なんせ「教会派が一番質のいい資料を集められるから」という理由で所属宗派を決めるような奴だし。

 とは言え、そんなエディは王国教会が抱える優秀な人材の一人だ。普通ならわざわざ辺境に招聘できるようなものではないが、統督教会議の折に『名もなき神』を倒す方策を考えるためにエディを借りたいと頼むと、バルナーク大司教はあっさり許可をくれたのだった。

「カナメ君の話は理解したよ。……まさか、『名もなき神』の話を始める前から、あんな衝撃的な事実に遭遇するとは思わなかったがね」

「本当に……カナメ司祭の性格が変わっているように思えるのも、そう考えれば納得できます。神殿の迎撃システムへの適応が早かった理由が、そんなところにあったなんて……」

 二人が口々にそう話すのは、俺が『異世界』から来たという秘密を明かしたからだ。

 『名もなき神』への対応だけなら話す必要もなかったが、ここへ来て俺の中で起きている謎の事象を解き明かす必要も生じたため、意を決して話すことにしたのだった。

 エディもルーシャも半信半疑だったが、エディ曰く「それを真実だという前提にして考察するだけの話」とのことで、特に異世界という存在の真偽を論じる必要はなかった。

 なお、エディについては、例の真実についても話さなければ進まないということで、意を決して打ち明けたのだが……やはり信心のない彼には、大した衝撃をもたらさなかったようだった。

「他にも、ルーシャさんの存在などは非常に興味深いところではあるが、ひとまずそれは後にしておこう」

「ええと……」

 エディの言葉にルーシャが怯む。エディの固有職ジョブは『村人』でしかないし、ルーシャをどうにかすることは実質的に無理なのだが、どこかそれを成し遂げそうな雰囲気を感じたのだろう。

 固有職ジョブの封印のことを黙っていたことが気まずいのか、あれ以来あまり姿を現さなかったルーシャだが、久しぶりに現れたかと思えばこの展開だ。ちょっと彼女がかわいそうになるな。

「まずは、『名もなき神』を滅ぼす方法と、カナメさんの身に起きている事象の解明のどちらを先に進めるか、ね。私としては、カナメさんが心配だし、先にそちらを考えるべきだと思うのだけれど……」

 ミルティがそう切り出すと、クルネやルーシャもそれに同意する。

 クルシス神殿で自身の異常を自覚してからというもの、あの宇宙空間に閉じ込められたような感覚は日常的に発生するようになっていた。

 その間の俺は、説法を解くこともあれば、単に倒れている時もあるのだという。一応、俺は統督教の旗頭になっている身だ。人々の前で倒れるわけにはいかないため、人前に出るときは細心の注意を払っていた。

 そして、その間に分かったこともある。あの侵食――俺はそう呼んでいるのだが――は、固有職ジョブの解放のことを考えている時に頻繁に発生する傾向にあった。
 そのため、普段はできるだけ固有職ジョブのことは考えず、『名もなき神』の排除だけを考えるようにしていた。

「それは、カナメ君の別人格が発生すると言うやつかい? それも、クルシス神みたいなことを口走るそうだね」

「おかげで、クルシス信徒には大人気らしい」

 そう補足するとエディは愉快そうに笑った。そして、指を一本立てる。

「それについては、カナメ君の無意識がクルシス神、もしくはクルシス神の御使いを演じようとしている可能性がまず一つ」

「仕事熱心だからな」

 そんな俺の軽口に肩をすくめて、エディは二本目の指を立てる。

「そして、本当にクルシス神が憑依している可能性が一つ。……だが、僕の説からすると、神とはあくまで方向性を持ったエネルギー体のはずだ。神が人間に憑依して別人格を発現させるというのは、どうにも考えにくい」

「なんですか、それは……」

 エディの発言を聞いて、ルーシャが少しムッとした様子を見せる。クルシスの巫女として、クルシス神と意思を通わせていた身からすれば、その反応は当然と言えた。
 だが、事前にエディについての説明をしていたおかげか、彼に食ってかかるような行動に出るつもりはないようだった。

「けれど、『名もなき神』と『聖女』アムリアが一つの肉体に同居していたのは、たしかにこの目で見たわ。見た目も性別も変わっていたし、目撃者は大勢いるわよ?」

 だが、ルーシャの代わりにミルティが発言し、それを目の当たりにしていたクルネも深く頷いた。

「ふむ……本当に肉体の構成レベルで変化が生じていたのだとすれば、たしかに神の奇跡と呼称される類の希少な現象が発生しているのかもしれないが……」

 なおも、エディは納得いかないようだった。まあ、目の前で見た俺たち以外は、一笑に付しかねないレベルだからなぁ。
 そんなことを考えていると、エディは興味津々と言った様子で口を開く。

「実際に見てみたいな。……カナメ君、一度別人格と交代することは可能か?」

「えっ?」

「できれば避けたいところだな……言動以外は特に変化もないらしいし」

 クルネの驚いた言葉に続いて、俺も渋い顔を浮かべる。今のところはなんとかなっているが、いつ戻れなくなるともしれないし、あまり進んでやりたいものではなかった。

 すると、エディは少し考えてから、ルーシャのほうを向く。

「ふむ……ルーシャさんが別人格のカナメ君を確認済みだと言うのなら、別に構わないが……」

「私が?」

 聞き返すルーシャに、エディは悠然と頷く。

「ルーシャさんは神気を感じ取ることができるのだろう? ならば、別人格が発生している時のカナメ君から、通常時以上の神気を感じるかどうかを知りたい」

「なるほど……けれど、私はカナメ司祭の別人格というものを見たことはありません」

「それでは確認ができないぞ。……やはり、カナメ君に――」

 そして話が戻る。実際には、その気になればすぐに別人格を出す方法はあった。何度か実験したおかげで、今はまだ致命的なことにはならないだろうと、そう予測は立てている。
 どうせ、今も日に数度は()()状態に陥っているわけで、症状が重くならないうちに、原因を究明したほうがいいのだろうか。

 とは言え、そう簡単に思いきれるわけでなく、判断するまでには少し時間がかかった。だが、誰も俺を急かそうとはしない。それが少し嬉しかった。

「分かった。少し試してみようとは思うが……」

 そう言って、俺は申し訳なさを覚えながらクルネを見た。ミルティでも可能だが、彼女には魔法学者の観点で分析してもらう必要もあるだろう。

 俺の視線の意味を理解したのだろう、クルネは笑顔で頷いた。それは、俺への励ましと気遣いだ。あの後、何度か試しているとは言え、これはクルネにとっても負担を強いる話だ。それだけに、彼女には感謝するしかなかった。

 そして、俺はクルネを剣神に転職ジョブチェンジさせた。すると、だんだん意識が暗くなっていく。

 別人格を意識してからと言うもの、かつてのように思考が混ざることはなくなっていたが、その分、自分の意識を侵食されるような感覚が付いて回るようになっていたのだ。

 ちなみに、クルネに確認したところ、彼女のほうも程度の差はあれ、似たような思いをしているようだった。

 そして、俺は能力を使った反動で別人格にとって代わられ――。

「あれ?」

 俺はキョロキョロと辺りを見回す。どうやら、まだの俺のままらしい。前はこれくらいで入れ替わったはずなんだが……。俺自身も成長したんだろうか。そんなことを考えながら、俺は困ったようにミルティに視線をやる。

「まだカナメさんなのね? ……いいわ、私も転職ジョブチェンジさせて」

 察しのいいミルティは、そう告げると緊張した面持ちで転職ジョブチェンジの時を待つ。クルネの時と同じ申し訳なさを覚えながら、俺はミルティに『魔神』の固有職ジョブを宿した。

 剣神はともかく、魔神って響きはどうなんだろうなぁ。剣士系のクルネが剣神になったのなら、魔術師マジシャン系のミルティは魔神だろうと、そう言う理解でつけられた固有職ジョブ名だったが、なんだか悪役っぽい気がす――。

 そこまで考えた時、俺の意識は闇に沈んでいった。



 額に重みとぬくもりを感じる。その認識をきっかけに、俺の意識は覚醒した。

「よかった……カナメ、おかえりなさい」

 目を開けるなり、俺は優しい声色に出迎えられた。椅子に横たえられているところを見ると、今回は倒れるパターンだったのだろうか。だとしたら、エディの期待に応えられなかったかもしれないな。

「カナメ君、実にいいデータが取れたぞ。礼を言う」

 ……と思ったら、そうでもなかったようだ。エディは俺が起き上がるのも待たず、結果を説明する。

「結果から言おう。カナメくんの別人格がクルシス神の教義を説いていた時、ルーシャさんが言うところの『神気』は明らかに増大していた」

「そうか……」

 その報告を聞いて俺は声を落とした。こうなると、クルシス神憑依説が信憑性を帯びてくるな。神絡みよりは、二重人格のほうがまだ理解できるというものだ。

「その後、倒れてからの君の神気は、増減を繰り返していたそうだ。つまり、カナメ君と別人格が身体の主導権争いをしていた可能性がある」

 そして、エディはさらにもう一歩踏み込む。

「ちなみに、もう一つ興味深いことが分かったのだが……ルーシャさんの話では、カナメ君の神気とやらは、昔に比べて飛躍的に増大しているそうだ」

 その言葉には思い当たることがあった。と言っても、それは転職ジョブチェンジ能力の向上についてのものばかりだが……。

 そう説明すると、エディは興味深そうに身を乗り出す。

「と言うことは、神気と転職ジョブチェンジ能力には密接な関係があるわけだ。そして、それがクルシス神の神気と似ているのであれば、そこからの帰結は子供にだってできる。……だが」

 そう言ってエディは眉根を寄せた。

「僕には幾つか解せないことがある。まず、当たり前だが、なぜカナメ君に神気が宿っているのか。そして、どうしてそれがこの一年で増大したのか。
 また、エネルギーの集合体でしかないはずの神と、ルーシャさんたちが言う神のどちらが本物なのか」

 その言葉にまたルーシャが眉根を寄せるが、エディが気付いた様子はなかった。

「今のところ、ルーシャさんの証言が非常に大きな部分を占めている。そこで、僕はミルティさんの観測結果を聞きたい」

「ミルティさんですか? たしかに彼女は優れた魔導師ですが……」

 ルーシャが不思議そうに首を傾げる。すると、当のミルティが口を開いた。

「――実は、エディさんに頼まれて、私もカナメさんを確認していたの」

「え? ミルティって神気が視えるの?」

 そのクルネの言葉に、ミルティは首を横に振った。

「私に視えるのは、特殊な魔力よ。……あのマクシミリアン先生は『万有素子』と呼んでいたわ。覚えているかしら?」

「そう言えば……」

 俺は奴との邂逅を思い出した。なにやら腹が立った記憶しか出てこないが、色々と重要なことを話していたはずだ。

「マクシミリアン先生に存在を示唆されて、なおかつ上級魔法職になったことで、ようやく知覚できるようになったのだけれど……」

 そして、ミルティは重要な観測結果を告げる。

「ルーシャさんが言う『神気』と同じく、『万有素子』もまた、あの別人格が出現している間は活発な動きを見せていたわ」

「つまり、神気と万有素子は同一の存在だということか?」

 俺がそう尋ねると、エディは考え込みはじめた。

「だが、そうなるとエネルギーが人格を持つと言うことになってしまう」

 俺に答えると言うよりも、自分自身に説明するように呟く。そんなエディを見て、俺は思い付きを口にした。

「でも、神は方向性を持ったエネルギーなんだろう? その方向性というものには、人格は含まれないのか?」

「ふむ……!? そうか、その可能性もあるか!」

 エディは俺の言葉に大いに興味を示した。

「万有素子の方向性は、世界の法則や生き物の想念によって決定づけられるというのが、僕がマクシミリアン氏とともに至った結論だ。ならば、その中で共通化された認識が、エネルギー体の人格のようなものを形成した可能性があるな!」

 そう発言したエディは興奮気味だった。

「それに、これならカナメ君が神気を宿している理由や、最近増大した理由にも説明がつく」

「そうなのか?」

「これはマクシミリアン氏の説だが、『異世界から召喚された者は、世界の壁を越える時に構成要素が欠落し、万有素子が欠落部分を補う』らしい」

 ええと、そうだっけか。マクシミリアンの話は突拍子がなさすぎて、すべてを覚えているわけではないが……。

 助けを求めるようにミルティを見ると、彼女は心得ているとばかりに頷いた。

「たしかにそう言っていたわ。本来なら、超人的な力を宿すはずだったって……」

「あー……」

 言われてみれば、そんなことを言っていた気がするな。役立たずだとか、期待外れだとか、さんざん言われたような。

「現にカナメ君が万有素子を宿している以上、その説は有力だ。ただ、なぜ君が転職ジョブチェンジ能力に特化した万有素子で構成されているのかという謎は残るが……」

「それについては心当たりがあるな」

 この世界はクルシス神によって固有職ジョブを封印されているのだ。万有素子には世界の綻びを修正する性質がある、というマクシミリアンの言葉が本当なら、その歪みや反動を溜め込んだ万有素子が生じていた可能性は高い。

 そして、そんな万有素子が、世界の壁を越えて存在が希薄になった俺に融合した。それなら、俺の能力にも説明がつく気がした。

「それを前提にして考えることに異論はない。……となると、カナメ君の能力の増大についても、それ絡みだと言うことか」

「あの……つまり、カナメ司祭の身体は神と同じ組成だと言うのですか?」

 戸惑ったようにルーシャが尋ねる。

「そう言えるな。もちろん、カナメ君の身体の一部でしかないだろうが、剥落した構成情報を補うために、混ざりあっている可能性は高い。
 クルシス神と見られる人格が垣間見えるのも、もともとそれらの万有素子はクルシス神の力の一部……つまり、クルシス神の一部だった可能性が高いからではないか?」

「と言うことは、カナメ司祭の神気が増大している原因は……」

 なんとも複雑そうな表情で、ルーシャは俺を見る。

「人々がカナメ司祭を信仰しているから……? たしかに、神と同じ組成であれば、信仰が力となる可能性はありますが……」

「さすがに俺を信仰している人間はいないと思うんだが……せいぜいクルシス神のおこぼれに与っているだけだろう」

 こう言ってはなんだが、神聖さから程遠い人間だという自覚くらいはある。

「けれど、それならタイミング的には符号が合うわね。カナメさんが初めてクーちゃんを剣神に転職ジョブチェンジさせたのは、統督教が総力を挙げて転職ジョブチェンジの神子の宣伝を始めた頃だもの。
 それに、さっきクーちゃんと私をまとめて神級の固有職ジョブ転職ジョブチェンジさせるだけの余裕ができたのも、統督教の宣伝が一層派手になって、人々に認識されるようになったせいかも」

「言われてみれば……」

 ミルティの言葉に頷く。たしかに、転職ジョブチェンジ能力が強化されたタイミングって、何かしらで名前が売れた後が多いかもしれないな。能力が備わっていることにしばらく気付かなかったケースもあるのだろうが、けっこう説得力のある言葉だった。

「なんだか、カナメ君の存在が人から外れてきたな」

「どうせなら、戦闘能力も人外の域に達してくれればありがたいんだが……」

転職ジョブチェンジ能力の歪みを溜め込んだ万有素子が君の構成要素なら、それは期待しないほうがいいだろうな」

 俺の呟きを聞いて、エディがきっちり希望を潰してくれる。

「もし俺の身体の組成が神に近いなら、『名もなき神』を葬るアテができるかと思ったんだがなぁ……」

「今のところ、『名もなき神』を葬る方法は、神級の固有職ジョブによる攻撃で小さなダメージを与え続けることくらいね」

「古代クルシス神殿の装置も余剰エネルギーを全部使ってしまったし、他にないだろうな」

 ミルティとそんな話をしていると、クルネが思いついたように声を上げた。

「ねえ、神級の固有職ジョブの攻撃って、どうして『名もなき神』に通用するの?」

「たぶん……神級職が固有職ジョブの次元と神の次元に重なるようにして存在しているからじゃないかな」

 自分でも意識していなかった答えが、自分の口からすらすら出て来る。……これもアレかな、別人格の影響なんだろうか。

「じゃあ、カナメの攻撃も効くの?」

「そう言えば、カナメさんが『名もなき神』からクーちゃんを奪い返した時、そんなことを言っていたわね」

 クルネの言葉にミルティが同意する。たしかに、そんなことを言っていた気はするが……。

「それなら、なおさら戦闘能力が欲しかったなぁ……。俺が立ち向かったところで、あっさりあの呪いにやられる気がする」

 元からそうなのか、アムリアの器が関係しているのか分からないが、『名もなき神』はあまり体術に長けているようには思えないから、自己転職すれば優位に立ち回れるとは思うんだけど……十秒経った後が問題だよなぁ。
 そこから半日ほど神気が消滅してしまえば、完全なワンサイドゲームになるわけで。それはあまりにも危険な賭けだった。

「カナメ君が肉体的に強くなったとしても、それだけで『名もなき神』を倒せるかは怪しい。神の存在次元には届くだろうが、よっぽど強力な攻撃でなければ、神を打ち滅ぼすレベルには足りないんじゃないかな」

 エディは残念な言葉で結ぶと、さらなる宿題を俺に押しつける。

「……とは言え、神の存在次元に対する攻撃手段については、こちらで考える余地がある。だから、君には君の専門分野……固有職ジョブとなって逃亡する『名もなき神』への対策をメインで考えてもらいたいものだ」

「あー、それもあったな……」

 俺は思わず天を仰いだ。実を言えば、これについては一つ心当たりがあるんだけど、いざ実験しようとすると意識が吹っ飛ぶんだよなぁ。
 転職ジョブチェンジの神子の名が売れるにつれ、俺自身の転職ジョブチェンジ能力の器も広がっているようだし、なんとかしたいところだ。

 少なくとも、今の俺たちは『名もなき神』に対して手も足も出ない状態ではなくなっている。『名もなき神』を滅ぼして固有職ジョブを解放したいというのは俺のエゴだし、露骨に執着されている俺以外のみんなには、無理やり『名もなき神』と対峙する必要性はない。

 この戦いは、振りかかる火の粉を払うものではなく、自らの意思で能動的に仕掛ける戦いだ。わざわざ命を賭して……それも、仲間の命までをチップにして行うべきことなのか。もし戦うにしても、俺だけで戦いに赴くべきではないのか。

 そんな思いを抱きながら、俺は『名もなき神』を倒す方策を考えていた。

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