にーい
どこにでもあるような普通のじょうろに水を入れます、冷蔵庫でひんやり冷えた六甲のおいしい水をじょうろに入れます。こぼれそうです、持つ時は気を付けてね! ゆっくりだよ! あぁ、言ってるそばからこぼしてるしー。
「はやく咲きましょう〜、ルンルンルン」
鼻歌を歌いながら水をそそぐさとみちゃん。歌のタイトルは、咲きましょルンルンで。ちなみに二番があるのかはワカリマセン。
蕾はお礼を言いましたが気分上々のさとみちゃんには聞こえません。楽しかったら夢中になってしまって、誰の声も聞こえなくなる時ってあやらますよね。
じょうろの水がなくなりました。植木鉢の土が湿っています、下から水が流れ近くに置いてあったパパからのプレゼントであるウサギがキュートなハンカチが濡れました。
「もっとお水をあげるよ、ルンルンルン」
そんなにお水をあげたら逆に育ちませんが、そんな事知らないので誰かが教えてないとー。お花好きなのに知らないのはダメダメ、もっと興味を持たないと。
わわわ、あふれるぐらいの水がじょうろに。やめてさとみちゃん! もうお腹いっぱいで飲めないと思うからさ! デザートを食べる時みたいに別腹とかないしこれ以上はいらないよ! 腹八分目が丁度良いからもうヤメテ!!!!
「さとみ、庭にあるお花さん達がお腹空かしていたよ。早くお水をあげなくちゃ枯れちゃうかも」
パパは小皿が割れてしまうぐらいの力を入れて、スポンジで食器を洗っています。小皿さようなら、真っ二つになったのでゴミ箱に捨てます。
「そうなの? 待っててお花さん達」
じょうろと六甲のおいしい水を持って部屋を出たさとみちゃん。ドアは開きっぱなしです、開けたら閉めると教えられてないのでしょうか。
リビングに聞こえる音は水の音とパリッという音だけになりました。また真っ二つになったのでゴミ箱へ、小皿アンニョンヒカセヨ(韓国語でさようなら)。
「じーっと」
ゴミ箱をじーっと見ているのはおばあちゃん。何かするんでしょうか? パパはおばあちゃんが何するか気になってお水を出しっぱなしにしながら見ています、じーっと。
地球のためにお水の出しっぱなしはやめましょう! 電気つけっぱもついでにやめましょう! よい子ならできますよね、お菓子とかあげなくてもできますよね。
場面変わります、さとみちゃんがいる庭に。
「あついなー」
庭にいるさとみちゃんが言いました。確かにあついです、ソーラーパネルを付けちゃってる家は電力売れますね、このお天気なら。ちなみにさとみちゃんの家にはソーラーパネル付いてないのです。
お花さん達がいっぱいの庭はお花畑のようなお花屋さんのような。とにかく、大家族のお花さんが庭にはいるのです。皆仲良しです、ケンカなんてしません、泣いてる子(お花さん)もいません、さくらちゃんのようにとびっきりの笑顔なのです。
「みなさーん、お待ちかねのごはんですよ」
じょうろうから水が出てます、当たり前です、出なかったらじょうろうじゃないですから。たまたまそこに咲いていたタンポポにお水をあげてます。
六甲のおいしい水はあとちょっとでなくなります、冷蔵庫にはこの一本しかなかったのであとは残念ながら水道水でガマンしてもらうしかないのです。お花さん達はおいしい水が飲みたくて必死にアピールしますよ、
「僕にちょうだい!」
「私はおいしいお水飲みたいなー」
「俺にくれ! お腹ぺこぺこだ」
「わたくしは水道水なんて飲めませんわ」
さとみちゃんは困った顔をします。なんとなく聞こえたのでしょう、お花さん達の声が。さてどの子(お花さん)にお水をあげるのかな? 迷うよね、皆にあげたいけどそんなにないし。どうするのかな?
「ん〜、あついからノドかわいたな。コレ飲んじゃおう、おいしいって書いてるし」
ゴクゴク、真っ赤な太陽が空でニッコニコしている下で、ゴクゴク。お花さん達は驚いてます、僕達・私達にくれるんじゃないのかよ! とツッコミ。
「大丈夫よ、皆にもちゃんとあげるから!」
蛇口をひねるとホースから水がでました。寝転がっているホースを持って、お花さん達に向けます。
「いきかえるー」
「つめたい! 水道水もっとちょうだい!」
「まだまだ飲める」
「おいしい水の方が良かったけどさ」
ニコニコ、さとみちゃんお花さんを見て、ニコニコ。花びらをやさしくさわっています、やさしくなくさわったら千切れますしね。
「もっとキレイになってね、おねがいよ」
さとみちゃんはお花に話すのです。今日あった事とか、おもしろかった事とか、悲しい事とか、ツライ事とか、もう色々です。
「ママよりキレイになれると思うよ」
その様子をさっきから見ていたのは真っ赤な太陽。あたたかい目で見てましたよ、汗流しながら。 |