※ 警告 ※
性的暴行描写がございます。
苦手な方はご遠慮ください。
十三日目◆傷
血相を変えて聖璃架が抱きかかえてきたのは子狸だった。怪我をして、森で倒れていたのを見つけたのだという。おまけに高熱も出しているようだ。
聖璃架が「研究所まで薬をもらいに行ってくる」と言い出して、まだ足が完全でないのにあんな長距離を歩かせる訳にはいかないだろう。勿論自分が行く事にした。
「歳朗さん、ごめんなさい」
「何言ってるんだ、放っとけねェだろ。急いで戻るが一人にさせるのは心配だ。真誠軍の所に行け。俺が迎えに行くまでそこにいろ。決して一人になるなよ、わかったな」
「はい」
頷いた聖璃架を抱きしめて、唇を重ねると歳朗は出ていった。
言われた通りに真誠軍の家に行こうと、聖璃架は子狸を抱いて出ようとした時――またも恐怖を味わう事になった。
ドアを開けてローレルが入ってきたのだ。一人のようだがタイミングが良すぎる。歳朗が家を出たのを見計らって来たとしか思えない。
「聖璃架ちゃ〜ん」
歩み寄ってくるローレルに、聖璃架は顔面蒼白で後退する。
「なんなんですか? どうしていつもあたしを」
「昨日途中で終わらされちまっていい気しねぇだろ? 続きしに来たんだよ」
「――そんなのッ」
「セックスしてくださいって頼んできたの誰だっけ?」
ローレルに言われて聖璃架の顔が赤くなる。
「も、もうけっこうですからッ」
「ふざけんじゃねぇよッ!」
乱暴に押し倒されて、聖璃架は後頭部を強く打った。がんがんする後頭部の痛みを堪えて、眩暈がする中で思ったのは、腕の中の子狸を護る事。
だが聖璃架の抱く子狸にローレルは目をやると乱暴に掴んで外へ蹴り飛ばした。
余りにも惨酷過ぎる行為に、聖璃架は大ショックを受けて涙が流れた。平然と戻ってくるこの男に激しい憎悪が込み上げて、後頭部の痛みも忘れて怒りで体が震えた。怒りで震えたのは生まれて初めてだった。
そんな事を聖璃架が感じているとは知らずに、ローレルはいやらしく笑うと徐に聖璃架に乗り掛かる。
「やだ!! やめて!!」
――冗談じゃない! こんな男に!
必死で聖璃架はローレルを叩いて抵抗する。
「うるせぇ、おとなしくしろって言ってんだよ」
ローレルは聖璃架の細い首を片手で絞めて、もう片手を浴衣に入れて乳房を揉む。
首から離した手で素早く浴衣の裾を捲って中に入れた。
「ヤッ」
せめてその部分は守ろうと聖璃架は固く足を閉じるが男の力には敵わなくて、ローレルの足で太ももを割られて奥に力強く触れられた。
その感触に聖璃架は体を竦ませる。ローレルの手が容赦なくまさぐってきて、全身に怖気が走った。
「お? ノーパンかよ。や〜らしい。旦那のためにいつでもご奉仕しますってか?」
ぐ、と無理矢理差し込まれた指にびり、と激痛が走った。
「あああッ」
乳房をしゃぶられながら荒々しく中を掻き回されて、聖璃架は思考が飛んでしまって只泣きながら喘ぐ事しか出来なかった。首筋と胸元には赤い痣を幾つも散らされて。
「なんだよ聖璃架ちゃん。嫌がってたわりに、このいっぱい溢れてきたものは何かな?」
指に付着した蜜を見せられて言葉も出ない聖璃架をローレルは鼻で笑って、指をしゃぶると聖璃架の足を高く上げて尻を持ち上げる。
もう抵抗する気力のない聖璃架は、歳朗には触れられなかった敏感な部分を粘着音を立てて舌で舐められて大きく跳ねる。思わず漏れてしまった甲高い喘ぎ声に自分で驚いて堪えようとするが、尻を持ち上げられて膝と肩が付きそうな体勢で、ローレルにいやらしい目で見つめられながら刺激し続けられて嫌でも漏れてしまって。
歳朗とは幸せだと思ったセックスが、好きでもない憎い男だとこんなに嫌なものに変わって、なのに抵抗出来ない自分が屈辱で。
与えられる快感はどんどん増していって、やがて大きな波が押し寄せて絶頂に達すると、聖璃架は一際甲高い吐息混じりの声を上げて、幾度か痙攣を起こした。それを感じてローレルは顔を上げる。
「イッたのか聖璃架ちゃん。なら今度は俺のをかわいがってもらおうか」
言ってローレルがかちゃかちゃと音を立てながらベルトを外して取り出したものは、歳朗のでさえ見た事もない男の証だった。
「誰だよこんなヒデーことしたのはッ!!」
ネイキッドが憤慨するのはそれもそのはず、大怪我をして熱を出して弱った子狸が布団で寝ているからだ。紛れもなく聖璃架が連れ帰って、ローレルに蹴り飛ばされた子狸だ。
こんな姿を見るのは、動物好きなネイキッドには辛かった。
「明らかに何者かにやられたケガだッ! まったくヒデーことする奴がいるもんだぜッ!」
「かわいそう……」
とガイアも眉をひそめて見ている。
「とにかく研究所まで傷薬と解熱剤もらいに行ってくらぁ。ガイア、見ててやってくれ」
「うん、わかった」
「どこ? どこにいるのー? 狸さん」
森で聖璃架は狸が倒れているであろう辺りを捜していたが、口を大きく開けて男の証を咥えさせられたせいで顎が痛くて辛かった。下腹部の痛みと違和感も増していて。
……今度こそ、もう歳朗さんには逢えない。
目に涙が溢れて頬を伝う。
「久しぶりやな、セリカはん」
座り込んで泣いていた聖璃架の耳に声が聞こえて竦む。
「どないして泣いとるんや」
顔を上げると幹に凭れてジムニィが居た。
涙で濡れた聖璃架の顔を見て、ジムニィは瞬きをする。
「なんやあんさん、随分雰囲気変わったんとちゃう?」
「ジムニィか」
また別の声が聞こえて、二人ははっとして振り向く。シーマだった。
「シーマ。なんや、なんか用か」
「こっちの台詞だ。その小娘になんの用だ」
「なんや泣いとるよーやったから。シーマ、おんどれが泣かしよったんか」
「心外だ。だが、これから泣かせるかもしれんがな」
薄く笑うシーマにジムニィはかっとなる。
「なんやて!」
「私とやる気か」
言われてジムニィは正直躊躇う。
シーマはヴァーミニオンの中でもハーレーの次の実力で買われている。攻撃型ではなく俊敏型の自分では到底敵う相手ではない。それに聖璃架を救う義理もないのだ。
「好きにしーや」
言ってジムニィが立ち去ると、シーマは震えている聖璃架の胸倉を掴んで持ち上げる。眼鏡の奥の目がきつく自分を見つめて、聖璃架は更に恐怖を感じて殺されると思った。
……でも、それでいい。こんな目に遭って、もう歳朗さんには逢えない。それなら死んで華蓮ちゃんの元へ行きたい。
死を覚悟して、聖璃架は目を閉じた。
シーマは聖璃架の浴衣の帯を解いて脱がせた。擦れた音がして浴衣が地面に落ちて、生まれたままの姿になった聖璃架を上から下まで舐めるように見る。
「……確かにローレルの言っていた通り綺麗な肌だ」
首筋から乳房まで撫でられて、聖璃架は目を閉じたまま竦んだ。
「ただ、ローレルの唇の痕が気に入らないがな」
山道を進むネイキッドは、先方から歳朗が走ってくるのが見えて足を止める。
「土浦」
「ネイキッドじゃねェか」
息を乱して荒く呼吸しながら歳朗が言った。余程急いでいたのだろう、顔は額から流れる汗で汗だくだ。
「なんでこんな所に、聖璃架さんは」
「真誠軍の元に預けてある」
「ならいーけど、なるべく聖璃架さんから離れないでくれねーか。側にいてやれるのは、アンタだけなんだ」
ネイキッドに言われて歳朗はかっとなる。言われるまでもない事で頭に来た。
「んなことわかってるッ!! 俺だって側にいてェんだよッ!! ただ今は怪我した狸の薬をもらいに行ってきた」
「――なんだって? ケガした狸? オレんとこにもいるぜ。今薬をもらいに行こーと」
「そりゃ偶然だな。とにかく急いでるからもう行くぜ。薬なら俺の分けてやるからオメェも来い」
「あ、どーも」
それは助かると思って、ネイキッドは歳朗に続いて走り出した。
「もっと動け」
シーマの眼鏡の奥の冷ややかな目が言う。
涙を流した聖璃架は草の上に仰向けに横たわるシーマの腰に跨っている状態で、乳房を強く揉みしだかれながら啜り泣きのような喘ぎ声を上げて、腰を揺らした。その度に腰の下の繋がった部分から卑猥な水音が響いて、聖璃架を戒めた。
「間違いねェ、聖璃架が連れてきた狸だ」
ネイキッドとガイアの家で、歳朗が狸を見て愕然として言った。
「マジか。この狸、森で倒れてたんだぜ。明らかに何者かから負わされたケガだ」
「…………」
今ので歳朗は聖璃架の身に何らかがあった事が嫌という程解った。やっと汗が引いたと思ったら、今度は冷や汗が額に滲み出る。
「……薬は預ける。狸を任せていいか」
「――……ぼくもつれてって」
「え?」
歳朗がガイアを見た。その表情は深刻で、とても子供のものとは思えなくてネイキッドは疑問を持つ。
「どーしたガイア」
「早く! お姉さんが!」
と言うガイアはとても焦っているようだった。
…………あたしは、汚い。
汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い汚い――――
家に駆け込むと包丁を取り上げて手首に突き付ける。――普段の聖璃架からは想像も出来ない勢いで。
汚れた体でいたくない――今の聖璃架の頭の中はそれだけで、他には何も考えられなくて。――歳朗の事すら、なかった。
息を荒げて肩で呼吸しながら包丁を引く。迷いはない。痛みも感じなかった。だが手首に赤い筋が入ったと思うと激痛が走って、鮮血が噴き出した。
自分が魔女ではなくなった証の真っ赤な血――なんて綺麗なのだろうと思いながら、聖璃架は倒れた。
「――!!」
家のドアを開けた歳朗は、倒れている聖璃架を見て血相を変えて駆け寄る。落ちていた包丁を見てすぐ状況が把握出来た。
「聖璃架ッ!!」
抱き起こして血で真っ赤に染まった手首を見る。
「……なんて馬鹿な真似を」
「お姉さん」
駆け寄ってきたガイアが聖璃架の手を握る。ガイアの体が一瞬黄金に輝いて、聖璃架の手首の傷を塞いだ。聖璃架の首筋や胸元に散らされた痣も消えて。それは歳朗だけでなく、ネイキッドも驚かせた。
「ガイア、オマエ……」
すると聖璃架はゆっくり目を開けて、歳朗はほっと安心した。
「聖璃架」
「……歳朗さん」
涙を流した歳朗に抱きしめられて、聖璃架はまた心配かけてしまったんだと思ったが、自分が何をしたのか思い出せなかった。
「もう絶対におまえから離れねェ。二度と一人にはさせねェ」
二人を微笑んで見ていたガイアはネイキッドに言う。
「帰ろうお兄ちゃん」
「あ、ああ。そーだな」
「バイバイ、お姉さん。歳朗さん」
「あ、バイバイ」
手を振って帰っていくガイアを見つめて、聖璃架は不思議な感覚を覚えた。
【十三日目◆終】
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