「誕生日は!?」
「その髪綺麗だね?」
「あ、この筆箱可愛い~! どこで買ったの? 教えて!」
「付き合ってください!」
「ねえねえケータイの電話番号教えて!」
「結婚してください!」
「その制服可愛いね」
「スリーサイズを教えてください!」
「「テメエエロ山!何聞いてんだ!」」
「「江口山くん最低~!」」
ボカスカボカスカ!
ゲシゲシゲシッ!
……賑やかだなぁ。
ちなみにスリーサイズを教えてくれとか言って、男子に殴られ、女子には足蹴されている男子の名前は江口山と云うクラス一の変態だ。ちなみに愛称と云うか蔑称はたった今男子の何人かが言ったエロ山。今の言動ももうこのクラスの一つの名物になっているので誰もリンチじみたツッコミには突っ込まない。……と言うか付き合ってくださいとか結婚してくださいとかにツッコミは無しか? 付き合ってくださいとか言ったのは女子だし。
「うーん」
「気色悪いうなり声をあげてどうした。久月」
「いや、あの子のスリーサイズは上からはち」
ガシャン。
ドサッ。
ズルズル、
ポイ。
久月が変な事を言おうとしたので椅子を蹴って床に落とし、襟首を掴んで引きずり、リンチ集団の中に突っ込ませた。
「ぎゃあああああああああ!! ちょ、ちょっとみんなストップ! 可愛そうなイケメンの男子を巻き添えにしてまご!? 誰だ!? 今「死ねやコラ」とか言って俺の尻蹴った奴!? あ、そこの胸と尻がボインな委員長ヘルプって、あ、しまったこれ禁句だったって委員長!? なんか凄い爽やかな笑顔ですが何故か物凄い殺気が漏れ出てますよ!? もうその青鬼が血をぶちまけて赤鬼になるくらいの殺気が! すいませんすいませんもう胸が大きいとか尻がでかいとか言いませんからその殺気を引っ込めてくれると大変嬉しいなって何故に!? 何故委員長の殺気が数倍に膨れ上がってらっしゃるんでせうか!?」
……あ、リンチ集団の中に爽やかな笑顔と物凄い殺気を引き連れた委員長が突撃した。
狙いは久月だな。
直後、凄い悲鳴が響いた。
ちなみに何故こんな騒いでるのに誰も来ないかと言うと、全員このクラスに関わりたく無いからである。うむ、賢明な判断だ。
暫し馬鹿騒ぎの光景を見ていると、
「何なんだ? この馬鹿騒ぎはよ」
後ろからかったるそうな声がした。
振り返り、言葉の主を見る。
「……夜守覇木。お前来てたのか?」
先程まで空白だった席に金髪の女が居た。
「ああ。ついさっきな。んで、この騒ぎはなんだ?」
「転校生が来たんだよ」
「転校生? ……ハッ! そんな下らねえ事でこんな騒ぎかよ。ホント下らねえ」
俺がそう言うと、夜守覇木は嘲笑した。
「……」
夜守覇木 魔獄。
通称、このクラス最恐の不良。
俺がどう返答しようか迷っていると、
「下らない? いやいやあなたの存在の方が遥かに下らないと私は思いますがねぇ」
隣から声がした。見ると麻琴だ。
「んだと? テメエ今なんて言いやがった?」
「おやおや頭が悪いのにその上耳も悪いとは。最悪ですね。病院に行った方が良いんじゃありませんか?通報してあげましょうか? 黄色い救急車に」
「舐めてんのかテメエ! ぶっ殺すぞ!」
「どうぞどうぞ~。ヘナチョコなチキンちゃんに出来るんならね~」
「このアマ……!」
怒りに顔を赤く染め、立ち上がる夜守覇木。その手にはカッターナイフが握られている。
(不味い!)
夜守覇木は脅すつもりは無い。本気だ。本気と書いてマジだ。だが一般人の俺にはなすすべも無い。チキチキとカッターナイフの刃が出、夜守覇木がそれで麻琴を刺そうとしたその時。
「ストップ。そこまでだ魔獄」
「五稜……!」
頭を角刈りにした精悍な顔つきの大柄な男が二人の間に入った。
西園寺 五稜。
このクラス最強と呼ばれる男。
「退け! オレはそこのアマを殺したいんだ! だから退け! このうすのろ!」
「うすのろとは非道いな。だが良いのか魔獄? おれが止めなくてもお前は止められてたぞ」
ちらりと西園寺は前の方に目を向ける。
俺もそっちを見て、納得した。
先生が椅子に座りながら鋭い目でこっちを見ていたのだ。その手には書類、否、書類に挟まれた薄い鉄板。
西園寺が止めなければあの鉄板が夜守覇木の頭を攻撃しただろう。
「……チッ」
夜守覇木もそれに気付いたのか舌打ちし、カッターナイフをポケットに入れ、椅子に座った。
前の方ではそんな騒ぎに気が付いたのか、クラスメイトの気を逸らす為に道化を演じている久月が居た。久月にしてはナイスだ。後でなんか奢ってやろう。
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