三、遠い日の思い出 「飴玉」「公園」「かくれんぼ」
もういいか〜い? まぁだだよ〜
私の大好きな『かくれんぼ』が始まった。私はいつも公園のドラム缶の中に隠れることにしている。そこならなかなか見つからなかったし、小さな私がやっと入り込めるほどの場所だから、誰も隠れに来なかった。
みーつけた!
あっちこちで見つけだされた子たちのはしゃぎ声が聞こえてくる。一人、二人、三人。次々に見つけだされるけど、私の所には来ない。そのうち日が暮れて、薄暗いドラム缶の中がもっと暗くなる。私は段々恐くなってきて、早く見つけてくれないかなぁと思う。
みっちゃん、飴玉あげるよー!
やっと、私を呼ぶ声がいた。嬉しくて、私は「はーい!」と叫んでドラム缶から飛び出していく。
みっちゃん、みーつけた!
見つけられたことが嬉しくて、友達たちとキャッキャとはしゃぎ合う。楽しい。
でも、今日はいつものドラム缶がない。その代わりとても大きな青いドラム缶がある。私はその中に入ってじっと隠れた。
……誰も来ない。日が暮れて外は真っ暗になったのに。今日は誰も私のことを呼んでくれない。私は寂しくて悲しくなった。涙が流れそうになった時、私を呼ぶ声がした。
「こんな所にいたんですか! 随分探したんですよ。あれほど外に出ないでくださいと言っているのに……」
私の友達じゃなかった。冷たくて事務的な感情のない声。青いドラム缶の中から、私の手を引いて引っ張り出す。
「飴玉ちょうだい」
私が言うと、彼女はしぶしぶ袋から飴玉を取りだして、私の口に入れてくれる。
「おかあさん、来週からは施設に入所してもらいますよ。家ではとても面倒見きれませんから」
彼女は私の手を握って歩き出す。私はどこに行くんでしょう? よろよろと歩きながら、もう一度彼女の顔を見る。この人は誰なのでしょう?
見上げた空には星が出てた。星だけはあの日と変わりなく、優しく光っていた。
この話はちょっと現実的かもしれません…^^; 誰しもいつかは老いてきて、自分の名前さえ分からなくなってしまうこともあります。でも、どんなに惚けてきても、自分にとって楽しい思い出は忘れないものだと思います。
出来るなら幸せに老いたいですね〜
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