反逆者と偽りの街(9/19)縦書き表示RDF


また更新遅れました
反逆者と偽りの街
作:碧空



01 第七話:再び


あれから、3日が過ぎたがアパートには誰一人来なかった。
来たとしても新聞配達がぐらいだった。
正直ホッとしている。関わらないと決めても、奴らには現場に居合わせたという理由だけで殺されそうな気がしていた。
けど、この3日間の間にまた一人消えた。いや、殺されただろう。
あの殺人鬼集団に囲まれて、なんの抵抗も出来ないまま死んでいったのだろう。
わけが分からないまま殺される。
失踪事件と言われているのだから、遺体も戻ってこないのだろう。
警察に届けても無駄なのだろうか?

手に持っていたジュースを一気に飲み、ゴミ箱に向かって思いっきり投げた。
吸い込まれるように消えうせ、カランと音を立てた。

わからない。警察はなんで動かないのだろう。
警察は事件にならないと動かないとよく言われるが、これは立派な事件じゃないのだろうか
関わらないと決めたものの納得のいかない部分はやはりある。
あの部屋も気になるし、菊池とあいつらの関係もしりたい。
俺はいったい何がしたいのだろう




大学が始まるまではまだ時間がある。
遊ぶ相手もいないし、ずっとバイトすることになるのだろうか。
それも嫌だな。せっかくの休みを全てバイトにあてるとは。
趣味にでも時間を割こうか。けど、趣味と言っても所詮は読書だ。
永遠と本を読んでいても仕方が無い。

「はぁ、自分の趣味の無さに泣けてくる」

イスから立ち上がり公園を出た。
何をしよう。そう思ったとき一瞬あの部屋のことが脳裏をよぎった。
菊池が失踪事件と関わりがあるのは分かった。そうなると、あの部屋に入るということは事件に首を突っ込むことになる。
第一ピッキングができないのだから意味が無い。

とりあえずアパートに戻って昼食を食べるか。

「直人くんは明日は午後からバイトだね。」
綾さんがスケジュール帳にシフトを書き込みながら話しかけてきた。
スケジュール帳にバイトの時間をメモしているらしいのだが、人のやつまでメモる必要があるのだろうか。
コップを置きテレビのチャンネルを変えた。
結局、今日も何もしないで終わった。
アパートに戻ってから永遠とテレビを見続けていた。
菊池は部屋から一歩も出ず、調べものをしているらしい。
昨日から様子がおかしく、壁を殴りつける音がたまに聞こえてくる。
何やってんだか。

「菊池さん何やってるんですか?」
「調べもの」
「そんなこと知ってますよ。なんで調べものをしているのに壁を殴ってるんですか?」
「さぁ? 菊池さん本人に聞いてみないと」
そのとき、ドアが蹴りあけられたような音がした。
壁の次はドアかよ。
菊池は部屋に入ってくると、こちらに見向きもせず冷蔵庫に入っているビールを飲み始めた。
髪はボサボサであいかわらずのパジャマ姿である。
「噂をすればなんとやら」
「くだらないことはいい。酒を買ってこい。」
「未成年にそんなことを…」
「いいから買って来い!」
なんで俺がそんなことしなくちゃいけないんだよ。
イライラしているときに酒を飲むのはよくないよ。
菊池から金を受け取り部屋を出た。

目は充血してたし、手はかなり腫れ上がっていた。
そうとう強く殴ってたんだろうな。
なにやってんだか、あいつは

ドアをあけアパートから出ると、目の前に男が一人立っていた。
こんな時間になにやってるんだ?9時過ぎだぞ。
「いいタイミングで出てきてくれたな。」
男が口を開いた。低く冷たい声が耳に流れ込んできた。
あれ、この声は聞いたことがある。


男の顔を見た。こちらを見ながらニヤニヤと笑っている。
寒気がした。知らない顔だったが、どこかで聞いたことのある声ではあった。


「こんばんわとでも言っておくか、宮崎直人」
そういうと残酷な笑みを浮かべた。口が裂けそうなくらいに広がっていく残酷な笑顔。
俺は聞いたことがある。こいつの笑い声を聞いたことがある。
ちっぽけな人間を殺していくこいつを知っている。3日前に聞いた声だ。
血しぶきの音に混じって聞こえる笑い声。あの世に逝く者が最後に聞く声。

目の前に殺人鬼がいる。あのときの殺人鬼が。
何でこいつがいるんだ?

まさか…

俺を殺しに来たのか…?












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう