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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

27 月の謎と宇宙船竣工篇

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27-17 サキの誕生日

 更新ミスのようです。
 次話の更新が少し遅れるかもしれません(11日に更新はします)が、このままお楽しみください。
『イカロス2』の試験飛行から数日間、仁は宇宙船用の装備製作で忙しかった。
 一番苦心したのは制御頭脳である。
『老君』『小老君』『庚申』などを作った経験を活かして製作。
 直径2メートルの球状で、司令室の中央に据え付けられる。
「名前は……そうだな、『大聖たいせい』だ」
 斉天大聖(せいてんたいせい=天と同格な聖人)から採った名称である。

 斉天大聖は、『西遊記』のヒーロー、孫悟空の別名で、悟空がまだ仏教に帰依する以前に自称し、次いで天帝が了承した称号である。
 觔斗雲きんとうんに乗り、十万八千里を一跳びにするところから、宇宙船の頭脳名に選んだのだ。

 この『大聖』は、老君が持つ知識のうちで、宇宙船制御に役立つと思われるもの全てが収められており、地上の『老君』と魔素通信機(マナカム)でやり取りもできる。
御主人様(マイロード)、よろしくお願いいたします』
「ああ『大聖』、こっちこそよろしくな」
『大聖』は、宇宙船建造時にも稼働し続け、内部構造を全て把握させる。
 こうして、仁の旗艦は着々と完成に近付いていくのであった。

*   *   *

 5月20日、サキ、22歳の誕生日である。
「くふ、照れくさいね……」
「サキ、誕生日おめでとう」
「おめでとうございます」
 今回、サキの誕生日を主催したのは実父トアと、継母ステアリーナである。
「サキさん、お誕生日おめでとうございます」
 今回は、仁の進言により、ミーネからの贈り物であるケーキが真っ先に並べられた。立てられた蝋燭は中くらいの太さ2本と細いものが2本。
 それに火をつけた仁がサキを促す。
「さあ、吹き消してくれ」
「う、うん」
 ふう、と、サキが一息に火を吹き消すと、列席者全員が拍手をした。
『誕生日おめでとう』、と、全員が唱和する。
「みんな、ありがとう」
 少し頬が赤いのは照れているのだろうか。
「おめでとう、サキ」
「ジン、ありがとう」
 仁の贈り物は当然懐中時計。サキのものは、瞳の色に合わせた薄紫色だ。
「時計か……やっぱりうれしいね」
「サキ、それを手にしたんだから、時間にだらしない生活は少しは謹んでくれよ」
「うう、耳が痛いよ……」

「サキ姉、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう、エルザ」
 エルザからの贈り物は、薄紫色のオルゴールだった。
「大事なものをしまっておくことにするよ」

「サキ、誕生日おめでとう」
「ラインハルト、ありがとう」
 ラインハルトからの贈り物は、ベルチェと2人で選んだというドレス一式だった。
「こ、こんなのいつ着ればいいんだい?」
「こういうパーティーで着ればいいのさ」
「サキ様、着替えられてはいかがですか?」
「おお、それはいいな。着て見せてくれよ」
 アアルの提案に、ラインハルトが乗った。
「……今日だけだよ?」
 着替えるため、仕方なく奥に引っ込むサキ。
 サキが着替えてくる間、ラインハルトはもう1つの贈り物を用意した。掌に乗るくらいの小さな箱である。
「それは?」
 仁が尋ね、ラインハルトは全員に向かって説明した。
「サキの祖父、テオデリック侯爵からの贈り物さ。先日、僕の手から渡してくれという手紙と共に届けられたんだ」
「ふうん」

 そんな会話をしていると、サキが戻って来た。アアルの着せ替えスキルは高いようだ。
「サキ……」
「サキ姉」
 サキが着ていたのは純白のドレス。仁などは、『ウェディングドレスか!?』と思ってしまうようなデザイン。
 だが、この国に、結婚式の服装は白が至高、という考えはない。白が好まれているのは確かであるが。
 未婚の女性は、白を基調とした淡い色のドレス、という慣習ともいえない慣習があるだけである。
「綺麗だ。見違えたよ」
 真っ先にそんな言葉を掛けたのはラインハルトだった。
「……照れるね。似合わないと言ってくれていいんだよ?」
「いや、正直な感想さ。見立てたのはベルチェだからね。否定するのは家内のセンスを否定することにもなる」
 ラインハルトの言葉に、サキも微笑む。
「あは、そうかも。なら、素直に受け止めておくことにするよ」
「それからこれは、テオデリック侯爵からの贈り物だ」
「え、お祖父様からの?」
 エルザを強引に娶ろうとしていると勘違いしていた頃には『爺さん』と言ってはばからなかったサキだが、和解が成った今は、祖父と認めていた。
 箱を受け取り、開けてみれば、それはブローチであった。
 銀作りで、ところどころに金を使い、上品に仕上げてある。
 サキは早速、ドレスの胸元にそれを着けた。
「おお、似合ってるじゃないか」
 白いドレスの最大の長所は、どんな色のアクセサリーでも合う、ということだとラインハルトは思っていた。
 そして、侯爵からの贈り物であるブローチも、サキが着る白いドレスによく映えていたのである。
「……ありがとう」
 ラインハルトからの賛辞に、頬をほんのり染めて俯くサキ。
「サキ姉、可愛い」
「……なっ」
 思っても見なかった、エルザからの言葉に、サキはますます顔を赤らめた。

 ヴィヴィアンからの贈り物は、彼女が描いた絵であった。
「これは、もしかしてボクかい?」
「そうよ?」
 白いドレスを着たサキの肖像画である。
「こんなドレスを着た覚えはないんだけど」
 今着ているドレスとも異なるデザインのドレスであった。
「そこはそれ、想像で補ったのよ」
「……凄い才能だね」

 そして最後は、あまり面識はないものの、マルシアとロドリゴからの贈り物。
「サキさん、おめでとうございます」
「ありがとう」
 それは、船の模型……というか、置物である。モデルはショウロ皇国の『ベルンシュタイン』であろうか。
「精密だね」
「最近、ポトロック……いえ、エリアス王国で流行っているんですよ」
 船を愛好するエリアス王国らしい趣味である。
「応接間に飾らせてもらうよ」
 こうして、サキの誕生日は和やかに終始したのであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20151011 修正
(旧)作った経験を生かして作った
(新)作った経験を活かして製作
+注意+
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