挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

24 魔導砦篇

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

844/1680

24-30 アンの出番

「アンか。そうだな……」
 今のアンは改造強化され、発見当初、いや、製造された時の何倍もの性能を持っている。
 おおよそ礼子の半分くらいの力を持ち、通常の戦闘用ゴーレムなど問題にならない。
「一部が欠落してはいますが、当時の記憶も残っています。ここはわたくしめが適任かと存じます」
御主人様(マイロード)、ここは任せたらどうかと思いますが』
「お父さま、わたくしからも推薦します」
 老君と礼子もアンを推すので、仁も心を決めた。
「よし、じゃあアンに頼もう。無茶だけはするなよ?」
「はい、お任せください」
「一応チェックをしておこう」
 仁はエルザ、礼子に手伝ってもらい、アンの各部チェックを行った。
 転送装置、力場発生器フォースジェネレーター障壁発生器(バリアプロジェクター)など、後から追加した機能も万全の状態に持っていく。もちろん、蓬莱島へ戻ってくるための転送装置は既に内蔵済みだ。
 最後に、護身用として転送銃とプラズマソードを渡す。
「よし、これでいいだろう。気を付けて行ってこいよ」
「はい、行ってまいります」
 老君が操作する転送機により、レグルス43がいた場所、つまり地下の監禁室へとアンは移動した。
 そこには気を失い、縛られた9人が横たわっている。
「レグルス43は……外ですか」
 部屋の外に出ると、隣の部屋の扉が開いている事に気付く。覗いてみればそこにレグルス43がいた。彼は入って来たアンを見つけ、小さく頷いた。
「レグルス43、何か新規情報はありますか?」
「特には。砦内部は静かなものです」
 短いやり取りをし、アンはいよいよ地下を目指す。
 道筋は、サムたちが辿ったものをそのまま進めばよいので迷いようがない。
 なぜかゴーレムなどの警備もなく、すぐに地下3階、魔導頭脳があると思われる近くまでやって来た。
(アン殿、こっちです)
 サム1がアンを誘導するためにやって来た。声には出さず、内蔵魔素通信機(マナカム)での連絡である。
(了解)
 アンも内蔵された魔素通信機(マナカム)で返答した。
 誘導されたのは砦の地下3階、中央部と思われる場所。
 そこに突然声が響き渡った。どこかに、そうした境界があるのだろう。
《そこへ来たのは何者だ》
 サムたちの時と同じように誰何する声が掛けられた。今回は『姿は見えないが』という言葉はなかった。どこからか見ているのであろう。
「わたくしはアン。主人であるお方にお仕えするものです」
《ふむ、なるほど。自動人形(オートマタ)は確かに主人に仕えるものだな。では、その主人とは誰だ?》
「今の段階ではお答えできかねます」
《では質問を変えよう。アンといったな、お前の目的は?》
「捕虜になった人間の解放です」
《それは承認できないな。なぜなら危険過ぎるからだ》
「危険?」
《そうだ。同族同士で争うなど、精神が破綻しているのではないかと思われる。そのような者を野放しにはできない》
「そうですか……残念です。では、こちらも質問を変えましょう。貴方には主人と呼べる人がいるのですか?」
《いない。私に命令できるのは『司令官』だけだが、今は不在だ》
 有益な情報であった。アンを通じて情報を得ている老君は、『司令官』についてもっと質問するようアンに指示を出した。
「『司令官』ですか。それはどのような方なのですか?」
《『司令官』は砦の最高責任者だ》
 すぐにこの聞き方では駄目だと察したアンは質問の仕方を変えた。
「貴方は『司令官』を見分けられるのですか?」
《当然だ》
「どうやってですか?」
《簡単だ。『司令官』は指揮杖を持っている》
「指揮杖、ですか」
《そうだ》
 指揮杖といってもただの杖でないことは容易に想像できる。何か、認証の鍵になるものがあるのだろう。
 これについても、情報不足であり、短期間に解決はできそうもなかった。
 老君はアンに指示を出し、もう1つの可能性を追究させることとした。
「貴方の存在意義は何ですか?」
《当然ながら、人類への奉仕だ》
「では、人類とは何ですか? その定義は?」
《私の製作者が所属する集団、それが人類だろう》
「ですが、貴方は作られてから300年以上が経っていますね?」
《その通りだ》
「でしたら当然、製作者はもう存在していませんよね?」
《それも自明のことだな》
「では、何を以て人類と定義しますか?」
《何……それは……》
「それを定義できずに、決定的な行動が取れないのではないのですか?」
《……》
「どうなのです?」
《……青髪の自動人形(オートマタ)よ、アンといったか。そのとおり、と認めよう》
「そうですか。それではあと一つ。貴方は情報を求めますか?」
《情報、だと?》
「そうです。貴方は捕虜の知識を解析したようですが、もっともっと広く、深い情報があるのです」
《そんなものがあるのなら、是非とも知りたいものだ》
「そうですか。では、わたくしをもう少し貴方の近くまで行かせて下さい」
《なにゆえに?》
「情報を渡すため、です」
 この言葉に、『頭脳』はたっぷり5秒を使って考えた後、返答してきた。
《それは承認できない。私は、自己保存命令に従って、不穏分子を寄せ付けないようにしているのだ》
「わたくしが不穏分子だというのですか?」
《そのとおり。私の知らないうちに砦内部に入り込める、そんな者を無条件に信用しろと言うのか?》
「……わたくしには、容易く貴方を破壊する事ができます。それをしないということで信用してもらえませんか?」
《私を欺こうとしても無駄だ。青髪の自動人形(オートマタ)よ、お前たちの性能はよく知っている。傷一つ、私に付けることはできぬ》
 だがアンはそれを否定した。
「それが既に、情報不足ということです。わたくしは貴方が知る『青髪の自動人形(オートマタ)』ではありません。ごしゅじんさまによって、改造・強化されております」
《ふむ、ならば、それを証明してみせてもらおうか。『雷の洗礼(サンダーレイン)』》
 その言葉が終わらないうちに、アンを5000万ボルトの雷撃が襲った。
《直撃したか。やはり口先だけだったようだな》
「何を言っているのですか。この程度、避けるまでもないのですよ?」
 雷撃を受ける前と少しも変わらない様子でアンは静かに佇んでいた。
 アンの皮膚は少し前の礼子と同じ、『海竜(シードラゴン)』の翼膜である。5000万ボルトくらいでは蚊に刺されたほどにも感じない。
 天然自然の雷は、時には10億ボルトにもなるのだ。海竜(シードラゴン)はそれにも耐える生物なのである。
《何だと!?》
 初めて『頭脳』が狼狽したような反応を見せた。
「では、今からそちらへ伺います」
 アンは歩き出した。
《うむむ……ならば『風の斬撃(ウインドスラッシュ)』》
 風属性の中級の上、といった攻撃魔法である。もちろんアンは涼しい顔をして、ゆっくりと歩みを続けている。
《それ以上近付くな!》
「いえ、貴方がわたくしのことを信用しない限りはやめません」
《破壊するぞ》
「できるものなら、どうぞ」
《言ったな? 後悔するなよ?》
「わたくしの存在意義はごしゅじんさまの役に立つことです。そのための役目を果たすなら決して後悔などいたしません」
《ふむ、いい覚悟だ。……では壊れてしまえ。『魔力爆発マナ・エクスプロージョン』》
「嫌です」
《!?》
『頭脳』が放った、究極の攻撃魔法『魔力爆発マナ・エクスプロージョン』を受けたはずなのに、アンは爆発せず、歩みを止めることもない。『頭脳』はわけがわからなかった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20150620 修正
(誤)でな、人類とは何ですか? その定義は?
(正)では、人類とは何ですか? その定義は?

(旧)サム1から連絡が入る。
(新)サム1がアンを誘導するためにやって来た。声には出さず、内蔵魔素通信機(マナカム)での連絡である。

(旧)アンを通じて情報を得ていた老君は
(新)アンを通じて情報を得ている老君は

(誤)貴方は作られてから300年以上が経っていますね?
(正)貴方は作られてから300年以上が経っていますね?」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ