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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

24 魔導砦篇

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24-23 エルザ、ショックを受ける

 済みません、また投稿時間を13時にしてました orz
《敵もなかなかやりますね》
 レファが感心したような声を上げた。
 今しも、5つの岩塊と破城槌はじょうついとがほぼ同時に『対物結界』に炸裂したのである。
 その衝撃で、結界を発生している魔導機(マギマシン)が一瞬不安定になったのだ。
自由魔力素(エーテル)濃度が低いため、所期の出力が得られていません》
 砦内部の魔導機(マギマシン)は、全て魔導大戦時の自由魔力素(エーテル)濃度に合わせて作られていた。ゆえに、今の時代の自由魔力素(エーテル)濃度では出力が不安定だったのである。
 とはいえ、通常のレベルであれば、その技術力の高さは今の時代とは隔絶しており、砦は不可侵のはずであった。
《一定以上の負荷が掛かると危険ですね》
 そこでレファはオランジュに進言することにした。
《オランジュ様、こちらからも攻撃させましょう》
「ん? それには賛成だが、どうやるのだ?」
《はい、砦上から、ゴーレムに岩を投擲させるのです》
「ふむ、しかし結界は?」
《はい。投げたタイミングに合わせ、一瞬だけ結界を解除します》
 この説明にオランジュは満足した。
「ふむ、面白い。よし、やれ!」
《承りました》

*   *   *


 5回に渡り、5機のバリスタと破城槌はじょうついの同時攻撃が行われた。
「効いていますね。結界が少し不安定になっているようです」
 懐古党(ノスタルギア)の技術者、チハラッド・サウトは、その鋭い感覚を以て、結界の変化を感じ取っていた。
「あと2回か3回繰り返せば、おそらく破れるでしょう」
「うむ、そうあって欲しいものだ」
 カーター元帥が答えた、その時であった。
「砦上に敵ゴーレム!」
 兵士が叫んだ。
「何!?」
 見れば、砦屋上に、戦闘用ゴーレムが6体並んでおり、手には人の頭ほどの岩を持っていた。
「まさか、あれを投げてくるつもりか? 結界があるのにどうやって……」
 カーター元帥は訝しんだが、チハラッドはすぐに敵ゴーレムの意図を悟った。
「バリスタ! 破城槌はじょうつい! 急ぎ後退しろ!」
 だが、バリスタは岩の発射準備中で、すぐには後退できなかった。さりとて、発射するにはまだ1分ちょっとの時間が掛かる。
 破城槌はじょうついだけは後退を始めたが、その時。
 敵ゴーレムが屋上から岩を投げたのである。
「し……しまった!」
 チハラッドは、その瞬間だけ結界が解除されたことを知る。もし、あと一機、発射準備の整ったバリスタがあれば……と臍を噛んだがあとの祭り。
 敵ゴーレムの投げた岩は、バリスタ5機に命中したのである。破城槌はじょうついは被害を免れた。
 これにより、バリスタ1機が使用不能になり、2機が中度の破損、もう2機が軽微な破損を被ったのである。
「壊れたバリスタは放っておけ! 4機を下げるんだ!」
 敵ゴーレムがもう一度岩を投げようとしているのを見たカーター元帥は大声で叫んだ。
 そして再度の投擲。
 2機のバリスタはなんとか退避が間に合ったが、残る2機には再度岩が命中、使用不能になってしまったのである。
「ううぬ、あのような手があるとは」
 カーター元帥は悔しがったが、最早どうしようもない。
「こうなったら、こちらは残ったバリスタに長距離用の矢をつがえていつでも発射できるようにしておきましょう」
 チハラッドが提案した。
 射程ぎりぎりに近い、250メートルの距離を置き、矢をつがえたバリスタで砦に狙いを定める。
 砦のゴーレムが投石する際には結界が解除される、そのタイミングを読んで矢を発射するわけだ。
 バリスタ操作はゴーレムに任せることで、四六時中待機状態でいられる。

 だがこの作戦に、クロゥ砦側も気が付いたらしく、岩を持ったゴーレム2体を残し、4体のゴーレムは引っ込んでしまった。
 睨み合う両陣営。正に両すくみ状態といえよう。

*   *   *

『……と、いうのが現状です』
 老君が長い説明を終えると、仁は小さく溜め息をついた。
「ふう、まったく、次から次へと問題が起きるものだな……」
「お父さま、放っておいて宇宙船を造りましょう」
 仁の溜め息に呼応して礼子が提案した。
「え、宇宙船って、何?」
 それに反応するエルザ。
「いやな、宇宙に行ってみたいなあ、ってさ。ほら、この世界の月っていろいろと謎だし、近々長周期惑星も戻ってくるって言うし。『ウォッチャー』がちゃんと飛んでいるわけだから宇宙船もできるだろうな、ってさ」
 何となく奥さんに無断で趣味の物を買ってしまった旦那の構図に見えなくもない。
「……行ってみたい」
「え?」
 聞き違いだろうか、と仁は思った。
「行ってみたい、って。宇宙へ」
 何と、エルザも宇宙に憧れがあったのである。
「そうだよな! 行ってみたいよな! よし!」
 何が『よし』なのかわからないが、仁のテンションが一気に上がった。
御主人様(マイロード)、実は、新たな鉱山を開発済みです』
 そのタイミングで老君が意外なことを言いだしたのである。
「ほんと?」
 エルザも興味を惹かれたようだ。
『はい。先日来、海底資源を探査していたのはご存知かと思いますが。先頃、有望な海底鉱山を幾つか発見しまして』
 報告するタイミングを見計らっていたという。
「でかした!」
 手放しで仁は褒めた。
「それならエルザにも文句言われないな」
『はい。十分なストックがあります』
「……え?」
 この、老君と仁のやり取りを聞いていたエルザは頭を殴られた思いだった。
(……わ、わた、し? ……そんな、ふうに、思われ、て)
『採掘できているのは鉄、ニッケルがメインで、軽銀は少ないですが、それでも、昨年1年間に御主人様(マイロード)がお使いになった分以上の採掘ができています』
「おお、すごいじゃないか!」
『はい。マーメイド部隊を1000体体制にしまして効率化を図っています』
「なるほどな。よくやってくれた」
『宇宙船の試作を始めますか?』
「そうだな。まあ最初はゴーレムを乗員にして、安全性……居住性に関して十分に煮詰めることだろうな」
『わかりました』
「で、仕様だが……」
 仁が喜々として宇宙船の仕様を老君と詰めている。
 が、そばに居るエルザの耳には、何も入ってこなかった。いや、聞こえてはいるのだが、理解できない状態なのだ。
(私……わたし……そんな……)
 青ざめたエルザはその場に突っ伏してしまった。
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