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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

22 新たな展開篇

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22-05 超巨大蟻

残酷描写があります
 遺跡から這い出てきたのは巨大な虫、よく見ると蟻の姿をしている。それがぞろぞろと出てくるのだ。
巨大蟻(メガアント)!?」
 それは鉱山でまれに見かける『巨大蟻(メガアント)』という魔物に似ていた。
 だが、大きさが桁違いである。
 巨大蟻(メガアント)はせいぜい体長30センチ。だがこの怪物は体長2メートル近くあるのだ。
「う、うわあああ!」
 悲鳴が上がる。パニックに襲われ、斬りかかったセルロア王国辺境兵団の兵士が、怪物から何かを吹き付けられたのである。
「ぐわああ、ああ! ああ!」
 のたうち回る兵士。その顔、手、身体から白煙が上がっている。
 酸のようなものを吹きかけられたらしい。持っていた剣も溶けかかっている。
「ゴーレム! 怪物を攻撃せよ!」
 エゲレアゴーレムよりもこちらの方が脅威と見たトリスト・クラロートは、指示を出し直した。そしてポウル・レイドも同様。
「怪物を攻撃! 騎士隊、30メートル後退せよ!」
 巨大蟻(メガアント)の吐く液体には抗すべくもないと判断したトリストは、人間の隊員たちを戦場から遠ざけることにした。

「ぐわああ! 痛え! 痛えよお!」
「ぎゃああ! 腕が、腕が!」
 だが、背後を急襲されたセルロア王国辺境兵団の兵士たちは逃げ遅れてしまった。
 巨大蟻(メガアント)の吐き出す液体を浴びたものは肉体を焼かれ、のたうち回っている。
 革鎧も金属の胸当てもその液体には抵抗できず、溶かされてしまう。
 そして倒れた兵士には、巨大蟻(メガアント)に食われる運命が待っていた。
 肉を抉られ、骨を砕かれながら食われていく兵士の断末魔。
 エゲレア王国の騎士たちも、先程まで敵対していた相手だというのに、憐れみを覚えてしまうほどであった。
「ゴーレム! なんとかしろ!」
 トリストの絶叫。
 そしてようやく、戦闘用ゴーレムが巨大蟻(メガアント)を1体倒すことに成功した。4体掛かりでようやくだ。
 更に驚いたことに、死んだ巨大蟻(メガアント)には巨大蟻(メガアント)が5、6体群がり、仲間の死体を食べて行くではないか。
「こいつら……共食いまでするのか……悪食だな」
 さすがのトリストも身震いした。

*   *   *

 一連の様子は、今回も『魔導監視装置(マギモニタ)』によって、エゲレア王国で監視されていた。
「500体のゴーレムはあの巨大蟻(メガアント)……いや、最早、超巨大蟻(ギガアント)だな。あの超巨大蟻(ギガアント)を封じていたのだろうか?」
 画面を見つめながら、魔法相ケリヒドーレは顔を歪めた。
「壊れたゴーレムが残っているのに超巨大蟻(ギガアント)の死骸がなかったのはあの悪食のためだろうな……」
 画面を見ながら考えをまとめていく。
「しかし、超巨大蟻(ギガアント)の発生する条件があるのか? 前回、我が調査隊が入った時は何事もなかったわけだし……」
 それについては情報が無さ過ぎてわからない。だが、その謎が解ければ、超巨大蟻(ギガアント)を撃退もしくは退散させられるかもしれないのだが。
「……一方通行の情報というのはもどかしいな」
 いずれにしても一大事である。
 ちょうどそこに宰相のボイド・ノルス・ガルエリ侯爵がやってきた。先程、セルロアゴーレムとの小競り合いが生じた時に呼んでいたのである。
「ケリヒドーレ、セルロア王国とのごたごたが起きたのだと?」
「……いや、今はもっととんでもないことが起こってしまった」
「何!?」
 ケリヒドーレは無言で魔導監視装置(マギモニタ)を指差した。
 前回、仁からもらった助言により、カメラにあたる魔結晶(マギクリスタル)の研磨精度を上げたところ、画質は大きく向上していた。
「ううむ、何だ、あの化け物は?」
 ケリヒドーレは、簡潔に説明と、己の推測を述べていった。
 宰相は黙って経緯を聞いていたが、聞き終わると、
「……救援を頼むしかなかろう」
 と、苦しそうな声で言う。
「救援と言っても、誰に!?」
 その言葉に驚くケリヒドーレ。宰相はそんな彼に、1人の人物の名を挙げた。
「『崑崙君』……ジン・ニドー卿にだよ」
「なるほど」
 宰相も魔法相も、あのゴーレム園遊会(パーティー)の時に示された礼子の力を忘れてはいなかった。いや、忘れられなかったのである。
「ちょうど今、新型飛行船のお披露目ということで、クライン王国に来ているとのことだ。明日にはこちらへ来るということだが、緊急時ということで繰り上げて来てもらうならそれほど非常識でもあるまい」
 非常識かどうかは置いておくとして、今の事態は見過ごせるものではない。
「定時連絡時間ではないが、非常時だ、『魔素通話機(マナフォン)』で連絡してみる」
 それだけ言い残すと、宰相は走って王宮へ向かったのである。

*   *   *

「いやいや、ジン、畏れ入ったぞ!」
 クライン王国では、仁の新型飛行船『コンロン2』に乗って、リースヒェン王女が大はしゃぎしていた。
 青空に浮かぶ『コンロン2』。両側面には丸に二つ引き、仁の家紋がよく目立つ。
「揺れが少ない。これは嬉しいのう」
 そういう王女の手には、先日仁が贈った地図の写しが。
『遠見の魔眼』を持つ王女は、地図を片手に、空から自分の故郷を眺めてみたく思い、仁に頼み込んでこの空の旅となったのである。
「いやしかし、この地図の正確さにも畏れ入る。(わらわ)の目をもってしてもこれだけ詳しく、微に渡り細を穿つような地図は作れそうもない」
 脱帽じゃ、と言ってリースヒェン王女は笑った。
「殿下、そろそろお戻りになりませんか?」
 護衛として付いてきた近衛女性騎士隊隊長、ジェシカ・ノートンが言った。
「ジェシカ、まだいいじゃろう? 日はまだ高い」
「はあ……」
 リースヒェン王女が小さい頃から護衛を続けてきたジェシカは、彼女に甘い。上目遣いに懇願されると弱いのである。
「のうジン、レナード王国上空は飛べんのか?」
「飛べますが……叱られますよ?」
 後ろで難しい顔をしているジェシカを見ながら仁が答えた。
「むう……致し方あるまいのう」
「そろそろ降りますよ。また乗せてあげますから」
 仁は苦笑しながら言って、『コンロン2』を王城に向けた。
「むう、約束じゃぞ」
 リースヒェン王女は少し膨れながらも頷いた。そしてその目で王城を見つめ、驚いた顔をする。
「ジン! 何かあったらしいぞ!」
「え?」
「城で騒ぎが起こっておる。急いで帰った方がよさそうじゃ」
 切羽詰まったようなリースの物言いに、仁は『コンロン2』の速度を上げるべく、礼子に指示を出した。
「礼子、急いで王城へ戻るぞ」
「わかりました、お父さま」
 高速を出す時は、反応速度の高い礼子の方が適任である。『コンロン2』は、通常最高速度の時速100キロで王城を目指した。
「は、速いのう」
「……速いですね」
 行きは時速50キロほどであったが、帰りはその倍。
 気密式キャビンゆえに風は当たらないが、ぐんぐん近付いてくる王城を見て、ぶつかるのではないかと、2人とも若干不安を覚えていたのである。

 5分ほどで仁たちは王城中庭に着陸した。そこへ伝令の騎士が駆け寄ってくる。
「騎士を伝令に使うとは、何か大事おおごとじゃな?」
 緊迫した顔つきでリースが言った。
 そして、息を切らし駆け寄ってきた騎士が大声で叫んだ。
「『崑崙君』、ジン・ニドー卿に救援要請です!」
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20150305 修正
(誤)細にわたり微を穿つような地図は作れそうもない
(正)微に渡り細を穿つような地図は作れそうもない
 orz

 20160523 修正
(旧)「崑崙君、ジン・ニドー卿に救援要請です!」
(新)「『崑崙君』、ジン・ニドー卿に救援要請です!」
+注意+
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