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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

02 ブルーランド篇

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02-22 閑話2 内緒で訪問、カイナ村

 ちょっと投稿時間がずれました。
「蓬莱島も大分充実してきたな」
 拠点に帰った仁は、数日のんびりと過ごしていた。
「お父さま、ゴンとゲンにも役割を振ってやって下さい」
 ある日、礼子にそう言われて仁は、
「そうだなあ。……カイナ村のみんな、どうしているだろう」
 国王の命令もあって、無実と公布されていることを仁自身は知る由もない。
「そういえば、作業場の地下に転移門(ワープゲート)があるんだよな」
 土で埋めてしまってはあるが。
「あれって使えないだろうか?」
 いきなり行ってみたら土に埋もれて身動き取れないとか嫌すぎる。
「そうですね、それでは、遠隔操作で転移門(ワープゲート)の作動範囲に乗っている土をこちらへ送ったらいいかと思います」
「おお、そういう手があったな」
 研究所内にある転移門(ワープゲート)は全てマスター側、対応する転移門(ワープゲート)にこちら側からいろいろと操作可能だ。
「まず、選別機能を解除」
 仁の魔力と同波形の魔力を持つ者だけが使えるという機能を一時的に解除する。
「そして逆転送……おおっ!?」
 いきなり土の塊が出て来たので驚く仁。
「うまくいったようですね」
 土を配下のソレイユに命じて排除させながら礼子が笑った。
「では、まず私が行って、こっそり様子を見てきます」
 転移門(ワープゲート)の周りの土は無くなったであろうが、まだ地下室は土で埋もれているはずなので、礼子が行ってどかせるつもりである。
「あー、それなんだが礼子」
「はい?」
「実は、村はずれに、俺が造ったシェルターがあるはずなんだ。8割方完成している。入り口には簡単な結界しか施してないから、礼子ならすぐ分かるはずだ」
「はい」
「それで、どうせならそこに転移門(ワープゲート)を設置したいと思うんだ」
「そうですね、それでしたら、地下室の転移門(ワープゲート)を分解して再組み立てしましょう」
「そうしてくれるか?」
「はい、おまかせ下さい」
 一連の作業を礼子に任せることした。
 そして一応真夜中に、礼子は作業を始める。
 まずは転移。
「やっぱり土で埋まってますね」
 転移門(ワープゲート)の周りは土でいっぱいだ。
「周囲に人の気配はありませんね」
 魔力探知、生命探知で確認し、作業に取りかかる。土を動かし、外に出る穴を掘った。この辺は、仁と共に礼子も作業したのであるから、どのあたりに元々の出入り口があったかわかっているのだ。
 そして礼子は1ヵ月ぶりに、仁が使っていた作業場に顔を出した。真っ暗であるが、今の礼子にはまったく問題はない。
「お父さまの仕事場」
 懐かしそうな視線を送った後、礼子は転移門(ワープゲート)の分解に取りかかる。慣れた作業、それは10分ほどで終了。全ての資材を運び出し、穴を完全に埋め戻すのに5分。
「シェルターはどこでしょうか」
 魔力探知を村はずれまで広げてみる。
「歪みが感じられます、多分ここでしょう」
 見当を付けた礼子は、転移門(ワープゲート)の資材を抱えて暗闇の中を歩き出した。
 すぐにシェルターの場所は分かった。結界を解除し、中へ。
「広いですね、床も壁も硬化処理済みですか、さすがお父さまです」
 手早く転移門(ワープゲート)を組み立て、設置。
「では、試験運転を」
 蓬莱島へ戻る礼子。そこには仁がゴーレムのゴンとゲンを連れて立っていた。2体の外観が変わったな、と思ったが、仁が説明してくれるまでは黙っていようと礼子は思った。
「お帰り、礼子。上手くいったようだな?」
「ただ今戻りました、お父さま。はい、問題なく転移門(ワープゲート)の設置は終わりました」
 すると仁は、
「よし、さっそく行ってみよう」
 そう言って、ゴンとゲンを引き連れ、転移門(ワープゲート)へ。礼子もそれに続いた。
 シェルターの中に出た仁は、
「……何も見えん」
 そう呟いて、
明かり(ライト)
 魔法で光を灯した。掌から出る光があたりを照らす。
「あー、久しぶりにここへ来たな」
 礼子がまだ仁と合流していなかった時、山から逃げてくる獣を見て、何か魔物が来るのではないかと、仁は村人待避用のシェルターを作ったのである。
「外は……まだ暗いか。月の位置から見て、蓬莱とここは時差2時間くらいか?」
 満月が懸かっているが、地球の物よりずっと小さく、明かりにはならない。ようやく、何かがあるのが分かる、位の明るさでしかない。
「お父さま、私につかまっていて下さい」
 闇夜でも平気な礼子がいれば、躓くことなく歩ける。仁は素直にそうすることにした。
 少し歩けばカイナ村である。
「あー、懐かしいな」
 1ヵ月しか経っていないが、随分久しぶりな感じがする。
「何かあった様子は……無いな。良かった」
 おとがめ無しということを知らない仁は変わらない村の様子を見て安堵した。
「マーサさんの家……ハンナ、元気かなあ」
 思わず目頭を熱くする仁であった。

「懐かしがるのもこれくらいにして」
 連れてきたゴンとゲンを見返ると、
「ゴン、ゲン、お前達はこの村の守護神(ガーディアン)として、密かに見守るように。そして何かあったらすぐに知らせろ。シェルターは拠点に使え」
「わかりました」
「おや? 2体の話し方が流暢になりましたね」
 礼子が気づく。
「ああ。礼子が転移門(ワープゲート)でいろいろやってくれている間に改造したんだ。会話能力他、自律性を上げて、構造をアダマンタイトで強化して、外見も紛らわしくないようにしたんだ」
「外見は気づいていましたが、そんなにいろいろ改造していたのですか」
 以前、納税の時に襲ってきたゴーレムと間違えられたので、今度は絶対に間違われないようにと根本的に外観を変えたのである。その際に構造も強化したわけだ。ほとんど別物である。
「島のゴーレムメイドと同様、人間っぽくなりましたね」
「ああ。被覆こそしていないが、男性形である以外は基本的に同じだ」
 因みに、被覆して人間に近い外観になると、ゴーレムではなく自動人形(オートマタ)という括りになる。そのへんの境界線は曖昧だが。
 そして仁は、
「名残惜しいけど、みんなの顔を見るのはもう少しほとぼりを冷ましてからだな」
 そう呟くと、シェルターに向けて歩き出した。もちろん礼子の先導で。
「みんな、元気でな」
 小さい声であったが、すぐそばにいた礼子には聞こえていた。
 シェルター入り口に、念入りに結界を施し、
「よし、これで余程の魔力が無い限り、中には入れないだろう」
 しかも仁や礼子が一緒の場合は大丈夫という特殊仕様。もちろん仁の作ったゴーレムであるゴンとゲンは平気である。これは魔力の波形で区別、認識するという先代の技術である。
「それじゃあ、ゴン、ゲン、あとは任せた」
「はい、おまかせ下さい」
 そして仁と礼子は蓬莱島へと戻ったのである。
 蓬莱島を開発する段階でゴンとゲンのことすっかり忘れていたのはここだけの秘密です。
 ハンナ再登場はもう少しお待ち下さい。
 さて次回から新章開始です。
 お読みいただきありがとうございます。

 20170227 修正
(旧)1箇月
(新)1ヵ月
 2箇所修正。
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