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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

09 統一党決着篇

221/1503

09-06 謝罪

 18日に投稿ミスで2話更新してしまいました。
 前話 09-05 開かれた戦端 をお読みでない方はお気を付けください。







  
 蓬莱島に着いたラインハルトは、研究所の応接室で仁と向かい合う。
 彼はまず仁に向かって、持ってきていた荷物を差し出した。
「何だい、これ?」
「まあ開けてみてくれ」
 そう言われた仁は、テーブルの上に中身を出して並べていく。
「これは……」
 出てきたのは魔導大戦の記録を綴った2冊の書物。そして人形が1つ。ラインハルトの私物らしい包みが1つ。
「あの時は僕が預かったが、この記録はジンが持っていた方がいいと思うんだ、そしてこの人形はエルザに返してやらないとな」
 人形はノンであった。エルザが家出した時に残していき、エルザの兄フリッツがテーブルからはたき落としたのを仁が受け止め、ラインハルトが預かっていたのである。
「あとでエルザに渡してやろう。きっと喜ぶぞ」
「ああ。わざわざありがとうな。それとこの記録、解読できたら教えるよ」
「うん、よろしく頼む」
 そこで仁は人間型端末である老子を呼び、記録を手渡して解読するよう命じた。
「かしこまりました、御主人様(マイロード)
 老子はそう言って下がる。明日には解読が終わるであろう。

「さて、俺はこの前から各国に配下の自動人形(オートマタ)を送り込んでいるんだ。それによると、フランツ王国がクライン王国に対して宣戦布告した」
 ラインハルトは驚いた顔をする。
「うーむ、ついに、という気もするし、なぜ今、という気もするな」
「ラインハルトの意見が聞きたいんだ。それとこのままセルロア王国にいるとラインハルトの身が危ない気がしてな」
 仁は正直な心境を語った。
「うん、それは感謝する。護衛の2人もやられてしまったし、黒騎士(シュバルツリッター)も壊されてしまったからな」
 少し寂しそうなラインハルトである。
黒騎士(シュバルツリッター)は……残念だったな」
 仁もその気持ちはわかる。
「ああ。一番悔しいのは、その壊れた黒騎士(シュバルツリッター)をセルロア王国に接収された事なんだ」
「何だって?」
 ラインハルトの説明によれば、破壊された黒騎士(シュバルツリッター)はいつの間にかセルロア王国の兵士が持ち帰ったらしく、ステアリーナの別邸に残骸1つ残っていなかった。そしていくら文句を行っても返して貰えなかったということである。
「ふざけてるな……」
 聞いている仁もだんだんむかっ腹が立ってきた。だが。
「あれ? 黒騎士(シュバルツリッター)?」
 仁は思い出してみる。
「ラインハルトが誘拐されたと聞いて……、それからえーと、ラインハルトの魔力パターンを調べるために隠密機動部隊(SP)のコスモスとセージに……」
 思い出したようだ。
「あー、悪い、ラインハルト」
「え?」
黒騎士(シュバルツリッター)、俺の所にある」
 そう言って仁は、ラインハルトを捜し出すために黒騎士(シュバルツリッター)をファルコンに運び込んだことを説明した。
「そして研究所に運び込ませて、そのままになっている。すまん!」
 テーブルに付くほど頭を下げて謝る仁。
「ああ、いや、頭を上げてくれ。そ、そうか、ジンが回収してくれていたのか。助かったよ」
「お詫びに、ここで直してくれていいから! 資材も好きに使ってくれていいから!」
 とまで言う仁。その言葉にラインハルトは驚喜する。
「ほんとうかい! いやあ、それはすごい!」
 こうなると話どころではない。まずは工房へと向かう2人。似たもの同士なので不満も何も無い。
 政治の話より、国の話より、まずは工作なのだ。

 ラインハルトが案内された工房の台の上にはばらばらになった黒騎士(シュバルツリッター)が置かれていた。
黒騎士(シュバルツリッター)……」
 あらためて、黒騎士(シュバルツリッター)の惨状に顔を曇らすラインハルト。だが、
「今度こそ、誰にも負けないゴーレムにしてやるからな」
 と呟く。そして仁を振り返って、
「……レーコちゃんたちは除くけどな」

*   *   *

「僕も骨格を持つゴーレムにするとしよう」
 何度か仁のゴーレムを見てきたラインハルトはそう呟く。そんなラインハルトに仁は、
「ラインハルト、俺もラインハルトに頼みがあるんだ」
 と言った。
「何だい?」
「ラインハルトに見せて貰った水中用ゴーレム、確か『ローレライ』って言ったかな? あの構造を教えてもらいたいんだ。どうかな?」
「なんだ、そんなことか。いいとも。僕もジンのゴーレムを参考にさせて貰うんだからな」
 快く肯いたラインハルトは、とりあえずローレライの構造と、そのキーテクノロジーを説明していく。自分も後で仁に聞きたい事があるから、気前よく全部喋ってしまったようだ。
「……といったところかな」
「なるほど、尾ヒレの動かし方にそんなコツがあるなんてな」
 仁もちょっとしたコツが聞けて満足している。
「でも、ジンも水中ゴーレム作るのかい?」
 そう尋ねたラインハルトに仁は頷く。
「ああ。蓬莱島は島だからな。海の守りを固めるためとか、海中の開発とかには有効だろうと思って」
「そうか、確かにな。で、今度は僕がちょっと教えて貰いたい点があるんだが」
「うん、何だ?」
「筋肉の付け方なんだが、前にジンは場所によって斜めに付けていただろう?あれはどういう意味があるんだい?」
「ああ、あれか。あれは人間の筋肉の付き方を模倣していて、少し斜めに付けることで腕や脚を捻ることが出来るようになるんだよ」
 そう言うとラインハルトは目を輝かせ、
「そう、そうだったのか! それこそがあの自然な動きをさせる秘密なんだな!」
 人間の腕や脚は単純に曲げたり伸ばしたりではなく、捻ることも出来、普段の動作にはそれらの組み合わせで動いている。
 故に仁の作るゴーレムやオートマタはより人間に近い動きが出来るのだ。
「よーし、そうとなったら……」
 ラインハルトが気合いを入れたその時。
「お父さま、ラインハルトさん、もう夜更けです。続きは明日にして下さい」
 礼子が注意を入れたのである。
「あー、もうそんな時間か。ラインハルト、明日にしよう」
 仁は素直に言うことを聞く。ラインハルトも渋々ながらそれに従った。

 2人は研究所から出て館に行き、軽く温泉で汗を流してから床についたのである。

*   *   *

「今のところセルロア王国が優勢です」
「さもあろう」
「クライン王国もなかなか奮闘していますが、フランツ王国にじりじりと押されています」
「ふん、当然の成り行きだな」
「それで、これからはどのように?」
「うむ、予定通りにせよ」
「はっ。時期を見てゴーレム部隊投入、でよろしいですか?」
「ああ。そして例の新兵器も、だ」
「あ、あれをですか? あれを実戦に?」
「そうだ。馬鹿な国共、腰を抜かすだろう」
「仰る通りです」
「ふふふ、いよいよ我等が大陸に覇を唱える時が来たのだ」
 ラインハルト、外交官よりやっぱり魔法工作士(マギクラフトマン)ですね……

 お読みいただきありがとうございます。

 20130919 19時43分  誤記修正
(旧)「ラインハルトが誘拐されたと聞いて、彼の魔力パターンを調べるために隠密機動部隊(SP)のコスモスとセージに……」
(新)「ラインハルトが誘拐されたと聞いて……、それからえーと、ラインハルトの魔力パターンを調べるために隠密機動部隊(SP)のコスモスとセージに……」

 台詞として「彼の」というのはおかしいので、「ラインハルトの」に変更。その際、不自然さを減らすために若干の台詞追加しました。

 20160510 修正
(誤)そ、そうか、仁が回収してくれていたのか。
(正)そ、そうか、ジンが回収してくれていたのか。
(誤)僕も仁のゴーレムを参考にさせて貰うんだからな」
(正)僕もジンのゴーレムを参考にさせて貰うんだからな」
(誤)「でも、仁も水中ゴーレム作るのかい?」
(正)「でも、ジンも水中ゴーレム作るのかい?」
(誤)「筋肉の付け方なんだが、前に仁は場所によって
(正)「筋肉の付け方なんだが、前にジンは場所によって
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