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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

08 統一党暗躍篇

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08-35 反省

 20131022 11時38分
 そろそろ頃合いなので、旧バージョンは消去し、正式バージョンだけにします。
「ショウロ皇国外交官のラインハルトを拉致した犯人グループだからな、ラインハルトに処分は任せるよ。……っと、そうそう」
 仁は思い出したように強化服のポケットから魔結晶(マギクリスタル)を取り出すと、気絶している統一党(ユニファイラー)党員達に近づき、中で最も偉そうな感じの男に対して知識転写(トランスインフォ)を使った。
「これで少しはましな情報が手に入るだろう」
 前回読み込んだ第8支部支部長、パーセルはろくな情報を持っていなかったのである。
 そしてそれを強化服の胸ポケットにしまった時。
 暗闇から飛び出してきた影が仁を殴り飛ばしたのである。仁の身体は宙に浮き、5メートルほども飛ばされてしまった。
「ジン!」
「お父さま!」

 仁を殴り飛ばしたのはインタクトと共に川に沈んだ万能ゴーレムであった。右脚を礼子のレールガンで破壊されているため、川から上がるのに時間がかかった。
 当然、命令通り支えていたインタクトは溺れてしまっており、既にこの世の者ではない。
 だが万能ゴーレムは、仁のゴーレムほどではないにせよ自律性があり、インタクトが死んでいることを確認すると、その指揮権が次席である副支部長、マルチェロに移ることを知っていた。
 そしてそのマルチェロが気絶して縛り上げられているのを見た時、その一番そばに立っている敵、すなわち仁を攻撃したのである。

 打撃で5メートルほども飛ばされた仁は地面に横たわり、身動き1つしない。
「よくも……お父さまを!!」
 その言葉と同時に礼子が万能ゴーレムに一撃を加えた。手にしていたレールガンを振りかぶり、大上段からの一撃である。
 それはアダマンタイト製のレールガンの銃身さえも曲がってしまうほどの力、文字通り礼子の全力で。
 どういう力が働いたのか土にめり込むことなく、万能ゴーレムはまるでトラックに踏みつけられた空き缶のようにぺちゃんこになったのである。
「ジン! しっかりしろ!」
 一方ラインハルトは仁に駆け寄り、介抱する。
「う……うう?」
「ジン! 気が付いたか!? 良かった!」
「お父さま!」
 万能ゴーレムを倒した礼子も即座に仁の元へ駆け寄った。
「申し訳ございません! どうか私を罰して下さい!!」
 意識を取り戻した仁の前で土下座する礼子。だが仁はそんな礼子に優しく声を掛ける。
「礼子、俺は大丈夫だ。だから顔を上げろ」
「ジ、ジン、本当に大丈夫なのか? ゴーレムに殴られて5メートルは吹き飛んだんだぞ?」
 だが仁は笑って答える。
「ああ、この強化服が打撃を防いでくれた。なんか気絶してたみたいだけど、それはただ5メートル飛ばされて地面にぶつかったショックでらしい」
 立ち上がった仁は両手を振り、足を踏みならして無事をアピールする。
「ああ、本当に良かった。生きた心地がしなかったよ」
「お父さま……」
 礼子の顔はくしゃくしゃだ。泣けるものなら滂沱の涙を流していたことだろう。
 そして周囲には礼子に倣って土下座する隠密機動部隊(SP)のゴーレムたち。何ともシュールである。
「みんな、もういいから。俺は何ともないから」
 海竜(シードラゴン)素材の強化服は、右脚を破壊されていたとはいえ万能ゴーレムの一撃にも耐えた。あまり嬉しくはないが、実戦での検証も出来たわけである。
「ジン、助けに来てくれたのは素直に嬉しい。だが君はもう少し自分を大事にした方がいいぞ」
「え?」
「レーコちゃんをはじめ、君の子供であるゴーレム達。ジンに何かあったらみんな悲しむ。それをわかってやれ」
 ラインハルトも、仁の作ったゴーレムや自動人形(オートマタ)が豊かな感情を持つことを知り、そんな忠告をしたのである。
「そもそも君は現場で指揮するのには向いていないと思う」
 その歯に衣着せぬラインハルトの忠告を仁はありがたく受け止めた。
「そう……だな。わかった、気をつけるよ。ありがとう、ラインハルト」
「うん」
 そうして、仁とラインハルトは相談の上、捕まえた統一党(ユニファイラー)党員をランド58、59、60に護送させ、ダリの街へ連れて行き、ショウロ皇国の駐留軍を通じてセルロア王国に引き渡すことにした。ラインハルトは外交官として、個人的な怨みを優先させることは出来なかったのである。
 そっちは徒歩で行かせるとして、ラインハルトと、まだ気絶から醒めないステアリーナをどうするか仁は考える。
 結局、まだ夜中であるから、ハイドロ5でダリの街近くまで送ることにした。

「おおお! これがジンの作った船か!」
 ハイドロ5を見て興奮するラインハルト。
「ゴーレム駆動じゃないんだな!」
 面倒なので後で全部説明するから、とラインハルトを宥め、船に乗せる。
 一応定員4名なので、操縦のマリン5、仁、ラインハルト、ステアリーナで満席である。だが礼子は、
「お父さまのそばを離れません」
 と言って譲らない。仕方なく仁の膝に乗せて行くこととする。曲がったレールガンは荷物スペースへ。これでも搭載重量的には余裕である。
「では出発します」
 マリン5はそう言ってハイドロ5をスタートさせた。川の流れに乗ってなので、4人乗っているものの、時速50キロ以上を出す。
 統一党(ユニファイラー)党員を護送するランド58、59、60以外の陸軍(アーミー)ゴーレムはファルコン2が回収した。確保した敵ゴーレムの破片も一緒である。
「ラインハルト、一応話しておくが、セルロア王国の警備兵はやる気無しだぞ? ラインハルトとステアリーナさんが誘拐されたというのに動き出そうともしていなかった」
「まあ、な。なんとなくわかるよ」
「それに執事の、クロードだっけ? 彼だって現場からシャットアウトされていたそうだ」
 隠密機動部隊(SP)のセージとコスモスが情報収集のため現場に留まっていた際に見聞きした内容を仁は説明した。
「うーん、そこまで腐っているか」 
 そんな話をしていると、ダリの街が見えてきた。30分弱だ。あまり近づいてもまずいのでハイドロ5は岸辺に寄る。ここで問題が浮上した。
 ダリの街はアスール川の左岸、捕虜達がいるのは右岸である。
「仕方ない。こっち側、たしかジロンの街といったと思うが、ジロンの街にも駐留兵がいるはずだ。そっちに引き渡そう」
 ラインハルトがそう言ったので右岸へと渡り直すハイドロ5であった。
「悪いが俺の事は上手く誤魔化しておいてくれ。それとステアリーナさんによろしく」
 今、セルロア王国やショウロ皇国の兵にいろいろ質問されるのは時間の無駄だし何より面倒臭い。
 ということで、悪いとは思ったが仁は後始末をラインハルトに丸投げした。
「やれやれ、仕方ないか。その代わり、後で埋め合わせして貰うぞ?」
 と悪戯っぽく笑うラインハルト。
 仁も、
「何だ、助けてやったじゃないか」
 と笑って言う。するとラインハルトは、
「はは、冗談さ。まあ、外交処理は任せとけ」
 そう言って引き受けたのだった。
 それにしてもまだ目覚めないステアリーナが気がかりなので、仁は後で回復薬を届ける、と言い置いてラインハルトを上陸させた。
 そこにはラインハルト専用護衛、セージとコスモスが既に待っており、意識のないステアリーナを引き受けてくれた。
 魔素通信機(マナカム)でランド58達と連絡を取ると、あと4時間半ほどかかるそうである。
「それじゃあラインハルト、本当に済まん。あとは頼む!」
 仁はそう言い残し、ハイドロ5を再びアスール川上流へ向けた。

 ダリの街が見えなくなったところでファルコン1と3が降下してきた。ファルコン3はハイドロ5を懸架するため川の上で静止。あたりには水飛沫が上がる。
 そして仁と礼子はファルコン1に乗り込む。その際、備え付けの救急薬から回復薬のアンプルを1本出し、礼子に急いでラインハルトに届けてくれるよう頼んだ。
「わかりました、でもお父さま、ファルコンから決して出ないで下さいね?」
 と念を押す礼子。仁は苦笑しつつ肯く。
「それでは急いで行ってまいります」
 そう言って礼子は姿を消した。
 およそ3キロの距離を礼子は約1分で踏破。時速200キロ近くである。
「ラインハルトさん」
「お、おお、レーコちゃん、どうした?」
「これが回復薬です。よく効きますので、半分ずつ2回に分けて服用させて下さい」
 礼子はそう言って回復薬のアンプルを差し出した。
「ああ、これがそうか。わざわざありがとう」
 礼を言ってラインハルトはそれを受け取った。
「では、私はこれで」
 礼子はそう言うが早いか身を翻し、風のように去っていった。
「お父さま! ご無事ですか!」
「お、礼子か、早かったな」
「……良かった、ご無事でしたね」
「あたりまえだ。お前は俺を何だと思っているんだ」
 だが礼子はそれには答えず、
「さあ、早く、早く帰りましょう」
 と言った。仁は礼子の心情を汲み、操縦するスカイ11に帰還するよう指示を出した。
 そしてファルコン1と3は夜明けの空へと舞い上がったのである。
 ハイドロ5を吊り下げているファルコン3だがファルコン1と同等の速度を出している。これは風魔法の応用で、機体周りの空気の流れをコントロールしているからである。
 これは『ペリカン』も同様。胴体の太い機種には皆同じ機能を付けてある。

 蓬莱島への帰還途中、仁はエルザに魔素通信機(マナカム)でラインハルトを救出した経緯を説明した。
 魔素通信機(マナカム)の向こうでエルザは安堵の溜め息を吐いていた。自分が攫われた時のことを思い出していたのかもしれない。
 そしてそれが済むと、短い時間だが仁は仮眠を取る。礼子はそんな仁の寝顔をじっと見つめていた。
 ファルコン1は水平線から昇る朝日の方角、蓬莱島目指して飛んでいった。
 もし仁が死んでいたら礼子は暴走していたかもですね。
「お父さまのいらっしゃないこんな世界に価値はありません。滅ぼしてしまいましょう」

 お読みいただきありがとうございます。


 20130914 11時41分  本文訂正
 訂正箇所が多いので、(新)(旧)としました。
 修正箇所は、

1) ラインハルトが仁に後始末を丸投げされて、「後で埋め合わせして貰うぞ」というところ。友人同士の軽口のつもりで書いたのですが、これだけだと恩知らず的な印象があるので、仁とのやり取りを追加。
2) ダリの街と砦との距離を途中から勘違いし、10キロと思い込んでいたのでそれに関する箇所を修正。
 *1 そんな話をしていると、ダリの街が見えてきた。20分弱だ。
  20キロを時速50キロなので15分、加減速とか考えて20分弱に。
 *2 魔素通信機(マナカム)でランド58達と連絡を取ると、あと4時間半ほどかかるそうである。
 20キロを徒歩だと5時間くらいですからね。
 *3 3キロの距離を礼子は約1分で踏破。時速200キロ近くである。
 ファルコン1はあらためてダリ近くに着陸しなおしてますので距離を詰め、時間はそのままで速度を少し落としました。
 *4 『途中で護送される統一党(ユニファイラー)党員を追い抜いた。』を削除。まだ奴らは砦よりをダリへ向かって歩いているはずなので、礼子が出会うはずはありません。

 以上、ひどい訂正でした。ひとえに作者の責任です。ご迷惑おかけしました。

 20131022 11時39分  表記修正
(旧)ステアリーナ
(新)ステアリーナさん


 20131028 11時14分  誤記修正
(誤)ダリの街が見えてきた。20分弱だ
(正)ダリの街が見えてきた。30分弱だ
 計算間違えてました。情けない。
+注意+
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