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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

40 空間振動篇

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40-10 こたつ

「ジン様、お世話になります」
 18日の夕方、仁はシオン親子をカイナ村へと連れていった。もちろん二堂城へだ。
 リースヒェン王女も来たがったのだが、今回は公務。泣く泣く諦めたのである。

「しかしこの建物はすごいですね」
 初めて二堂城を見たロロナは驚いていた。
 ここのところ、二堂城を使う機会が増えて仁は喜んでいる。

「お待ちしてました」
 こちらでエルザが出迎えてくれた。
「シオンおねーちゃん、いらっしゃい!」
 ハンナも一緒である。
「ハンナちゃん、こんにちは!」
 シオンとハンナはエルザの誕生日以来の顔合わせである。といってもまだ3日しか経っていないが。

長閑のどかなところですね」
 ロロナはカイナ村の佇まいをそう評した。
「ありがとうございます」
 領主である仁は、自分自身がそうあってほしい、と思う評価を得られたので礼を述べた。
「ふふ、ジン様はこの村を大事にしてらっしゃるのですね」
「ええそうですよ。この村は故郷ですから」
 そんな会話を交わしながら仁は3人を城へと案内していった。
 エルザは一足先に城内へ戻り、客間の準備をしている。
 仁が客間に入った時、ちょうど準備が終わったところであった。
「まずはこちらへ、どうぞ」
「エルザ様、ありがとうございます」
 ロロナが3人の代表として礼を言った。が。
「あ、あの、これはどういう家具なのでしょう?」
 用意されていたのはコタツであった。
 そう、エルザは客間にコタツ一式を用意していたのだ。

 二堂城の客間は和室と洋室が用意されている。
 そして和室には、掘りごたつが使えるように仕掛けが施してあるのだ。
 畳を1枚外すと半畳サイズの掘りごたつが現れる。足りない分の半畳の畳を敷き直せばOK。
 コタツ台をおいてコタツ布団をかけ、板を置けば出来上がり。仕上げにミカンの代わりにシトランの入った菓子鉢を置けば終了だ。
 3月とはいえカイナ村の朝晩はまだ冷えるのでコタツが有り難い。

「これはコタツといって……」
 仁が説明を担当した。
「へえ、そういう暖房器具なのですね。有り難いですわ」
「おお、これはいいですね」
「脚も楽。これいいわね、ジン」
 3人とも気に入ってくれたようで仁もほっとした。
 掘りごたつにしないタイプのコタツもあるが、彼等3人にはこちらの方が使いやすいだろうとの判断であった。

 因みに仁は掘りごたつよりも置きごたつの方が好きである。
 理由はコタツに潜って昼寝できるから。
 が、畳で暮らしたことのないラデオゥスとロロナなので掘りごたつにしたというわけだ。

「シトラン、美味しいわ」
 さっそく剥いて食べているシオンである。
「あら、ほんと。ジン様、美味しいです」
 ロロナも食べ始めている。
「はは、今日はゆっくり寛いでくれ」
「ありがとうございます」
 ラデオゥスが一家を代表して礼を言った。
「用事があったらこのバトラーBに伝えてほしい」
「何から何まで恐れ入ります」

「あと1時間したら夕食だから、あまり食べすぎないように」
 と、2個目のシトランに手を伸ばしたシオンに釘を刺し、仁は客間を後にした。

「エルザ、仕度ご苦労様」
 仁は私室にいるエルザを労った。
「ん、どういたしまして」
「後は夕食だな」
「ん、それはゴーレムメイドに任せたから。……あ、お風呂、入ってきたら? 私は、もう入ったけど……」
「そうか。そうだな。一風呂浴びるか」
 二堂城には2箇所浴室があるし、カイナ村には温泉がある。あるいは転移門(ワープゲート)で蓬莱島に行って風呂に入るのもいい。
「今日は蓬莱島の風呂に入るか」
 ということで転移門(ワープゲート)で移動する仁なのであった。

*   *   *

「やっぱりジンのところのご飯は美味しいわね」
 カイナ村に馴染みつつあるシオンは、ご飯を美味しそうに頬張っている。
 ご飯、味噌汁、お新香、焼き魚、玉子焼き(甘め)、肉トポポ(じゃが)、ハンバーグといういかにもな献立である。
「このはんばーぐ、美味しいです」
 ロロナはハンバーグが気に入ったようだ。
「甘い玉子焼きというものいいものですなあ」
 ラデオゥスは砂糖たっぷりの甘い玉子焼きが殊の外口に合ったようだった。
 仁は好物である油揚げの味噌汁を久しぶりに口にしてご満悦。
 そして、締めにほうじ茶を飲みながら、翌日の予定を話し合う仁たちである。
「のんびりしてもらおうと思っているんだけど、何か希望はあるかな?」
 王国の関係者はいないので、仁もいつもどおりの話し方になっていた。
「それでいいですよ。カイナ村、でしたか? のんびり見て回りたいですね」
「そうですわね。私どもの参考になることも多々ありそうです」
「あ、それならあたしが案内してあげるわ」
 シオンは何度もカイナ村を訪れているのでこういう提案が出るのだ。
「あら、それもいいわね」
「じゃあ、明日の朝食は8時ごろでいいかな」
 そんな風に、おおよその予定も立ったので、その夜は解散。
 仁は仁で、シオンたちはシオンたちでのんびりすることになった。

「それじゃあ、明日ね、ジン」
「ああ。シオン、頼んだよ」
「任せて!」
 シオンは『仁ファミリー』であるから、二堂城の施設の使い方もよく知っている。
 仁は安心してシオンに任せたのであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20170321 修正
(誤)そんな風に、おおよその予定も立ったの、その夜は解散。
(正)そんな風に、おおよその予定も立ったので、その夜は解散。

 20170326 修正
(誤)ラルドゥスは砂糖たっぷりの甘い玉子焼きが殊の外口に合ったようだった。
(正)ラデオゥスは砂糖たっぷりの甘い玉子焼きが殊の外口に合ったようだった。
 orz
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