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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

40 空間振動篇

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40-09 2度目の振動

「……青いと言ったら空」
「空と言ったら気球」
「気球と言ったら……ええと……あーん、また負けたー!」
 1時間ほど『マジカルメロン』をしたところ、仁3敗リース5敗シオン9敗となった。
「お父さま、皆様、午後9時を回ります。そろそろお休みになった方がよろしいかと」
 折から、礼子が忠告してくれた。
「もうそんな時間?」
「いや、楽しかった。ジンはいろいろな遊びを知っておるのう」
「それほどでも」
「それじゃあ、お休みなさい、ジン」
「お休み」
 そしてリースヒェン王女とシオンは仁の部屋から出て行った。

「お父さま、老君から報告があるそうです」
 2人が出ていくと、すかさず礼子が仁に告げた。
「老君が? 何だろう」
「また空間が振動したようです」
「わかった。蓬莱島へ戻るわけにいかないから、礼子が内蔵魔素通信機(マナカム)で老君から聞いて説明してくれ」
「はい。…………今度の振動は1万分の3秒ほどで、方向は、ユニーの『ジャック』からのデータを統合した結果、少しずれておりました。お父さまが作った中間基地の近くだそうです。被害はなし」
 少し近付いて来たとも取れるが、相変わらず短い時間で、被害も出ていないという。仁は考え込んだ。
「もしこの振動がもっと大きくなり、長く続いたらどうなるんだろう?」
 その質問は礼子の耳を通じて老君へと伝えられた。
 そして僅かな間の後。
「はい。老君が言うには、範囲に存在する物体は破壊されるだろうとのことです」
「……やはりか」
「防ぐには『重力魔法の応用が必要になるだろう』とも」
「なるほどな」
 重力の変動の影響を防ぐならそれしかないだろう、と仁も納得した。
「あり得ない話じゃないからな。『重力結界』とでもいうべきものを開発する必要があるか」
 その夜、寝るまで仁はそのアイデアを考えていたのである。

*   *   *

 翌日、朝食後のティータイムで。
「今日の予定はどうなっていますか?」
 仁が尋ねてみると、宰相から説明が返ってきた。
「午前9時に、『ノルド連邦』のお三方と、リースヒェン王女、そして私がトカ村へ向かいます」
 仁は宰相自らか、と思ったが、ラデオゥスたちへの心遣いと義理立てだろうと察した。
「私は熱気球で行きますので、ジン殿はお三方と王女殿下をお願いできますでしょうか」
「ジン様、よろしくお願いします」
「ジン、よろしく頼む!」
「ええ、いいですとも」
 仁の『コンロン3』の方が速いし、安全であるから、その提案は理解できる。
 また、帰路の手段を考えれば、熱気球を使うというのもわかる。
 だが、速度が違いすぎるのだ。そこで仁は、
「帰路は熱気球でお帰りになるにしても、行きは閣下もご一緒しませんか?」
 と提案した。
「なるほど、そうさせていただければ、その方が時間を無駄にしなくて済みますな」
 宰相も納得したので、熱気球は操縦者だけで向かわせるという手筈となったのである。

*   *   *

 予定どおりに仁たちは王城を発ち、20分後にはトカ村に着陸していた。
「い、いらっしゃいませ」
 少々緊張気味のリシアが一行を出迎えた。鳩便で昨日のうちに連絡をしていたのだ。
「ファールハイト、概略は鳩便で伝えたとおりだ。これから詳細の打ち合わせに入る」
「はい、こちらへどうぞ」
 最近改装された領主館へと案内される一同。
 木造二階建てで木の香ただよう新築だ。
「おかげさまで、トカ村も少しずつ発展してきています」
 そう言いながらリシアは一同を大会議室へと招き入れた。
 内装はシンプルながらも上品で、季節の花が花瓶に活けられている。
 窓は南に向けて大きく取られ、明るい。
 そしてテーブルは近所で採れるマルオン(栗)の一枚板で、木目が美しい逸品だった。

「いいテーブルだね」
 仁が褒めると、宰相とリースヒェン王女もその見事さに気が付いたようだ。
「うむ、これは……!」
「かなり大きな木から取ったのじゃな。木目が面白いのう」
 同じくマルオンの樹皮から採れる『渋』を塗り込んで茶色く着色した後、『乾性油』という時間が経つと固まる油で仕上げた『オイルフィニッシュ』。
 なかなか腕のいい職人がいるようだ。こういう木工製品は特産物になるだろうな、と仁は思った。

 侍女が運んできたお茶は『ペルヒャ茶』だが、仁は一口飲んで驚いた。
「これもほうじてあるんだな」
「ええ、茶葉の半分を焙じたものです」
 焙じた葉とそうでないものとのブレンドだったようだ。
「なかなか香りがいいのう、リシア、やるではないか」
「恐れ入ります」
 先日の『おでかけ』以来、仲よくなっているので、リースヒェン王女はリシアへと気さくに声を掛けた。

「さて、本題だが……」
 一服した後は本題、『砕石舗装』についてである。

*   *   *

 大要は王城で話をしたとおりに決まった。
 仁が強化した汎用ゴーレムを用いて工事を行う。
 区間はトカ村〜シャルル町間約70キロのうち、トカ村から数キロほどの区間と決まった。
 これは運用試験ではなく工事の仕方を学ぶためなので全舗装は無理だ。

 スケジュールとしては、翌々日には汎用ゴーレムがトカ村に到着するので、それから、となる。

 露岩帯の再整備を兼ねて素材となる岩の採取。
 岩を砕いて砕石に。
 並行して、舗装する区間の下準備。
 舗装。

 という手順だ。
 そして質疑応答の時間となった。
「あの、砕石ですが、予め砕いておくのと、現地まで岩を運んで砕くのと、どちらが効率いいでしょうか」
 さっそくリシアが質問する。
「そうですね、砕石の粒度をある程度揃える必要がありますから、予め砕いて選別しておいたほうがいいですね」
 等々の質問と回答がなされ、有意義な時間が流れていく。
 仁も実際の工事を見るのが楽しみであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20170320 修正
(誤)等々の質問と回答ガンされ 有意義な時間が流れていく。
(正)等々の質問と回答がなされ、有意義な時間が流れていく。

(旧)「そうですね、砕石の粒度を選別する必要がありますから、予め砕いて選別しておく必要がありますね」
(新)「そうですね、砕石の粒度をある程度揃える必要がありますから、予め砕いて選別しておいたほうがいいですね」

(誤)宰相も納得したので、熱気球は操縦者だけで向かわせるとい手筈となったのである。
(正)宰相も納得したので、熱気球は操縦者だけで向かわせるという手筈となったのである。
 orz

(誤)予定どおりに仁たちは王城を経ち、20分後にはトカ村に着陸していた。
(正)予定どおりに仁たちは王城を発ち、20分後にはトカ村に着陸していた。
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