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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

39 拾遺篇

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39-33 出会うものたち

「ねえジン、今回の報告会を聞いて、どう思ったか、簡単に聞かせてくれないかな?」
 アーネスト王子はそんなことを仁にお願いしてきた。
「そうだなあ……ああ、あの『調査棒(ゾンデ)』はいい道具だと思ったよ」
「『調査棒(ゾンデ)』?」
 エルザが首を傾げ、ハンナとリシアも同様だったので、仁は簡単な説明をした。
「ふうん……穴を開けたあと、覗ける機能があるといいのにね」
「うん! それはいいね! あとでケリヒドーレに伝えておこう」
 ハンナが何気なく漏らした一言に、アーネスト王子は感銘を受けたようだった。
「ハンナは頭がいいのじゃな」
 リースヒェン王女も、そんなハンナを目を細めて見つめた。

「あとは、あの見つかった大量の魔結晶(マギクリスタル)は、ゴーレムを追加で製造するための資材でもあったんだろうなと思った」
「あ、ジンもそう思ったんだね。僕もそう思ったんだ。だけどそれなら、ゴーレム本体用の資材が用意されていなかったことはどう説明する?」
 アーネストも仁の意見に賛成しつつ、その推測の弱点を突いてきた。
「うーん……例えば用意できなかったということも考えられるが、壊れたゴーレムを再利用するつもりだった、という可能性もあるんじゃないかな?」
「ああ、それはありそうだね」
 他にも、よく探せば資材庫のようなものがあるのではないか、また、埋もれてしまった場所がそうなのではないか、等の推測がなされたが、いずれも決め手がなく、想像に終わってしまうのはいささか残念ではあった。

 そこに、礼子を通じて老君からの知らせが届く。
(お父さま、『コンロン3』へとアン、ロル、レファを送って寄越したそうです)
(3人ともか……まあ、いいだろう)
 仁は、2人に向けて少し小声で話し掛ける。
「ちょっと2人とも、聞いてくれ」
「うん? ジン、どうしたのじゃ?」
「ジン、何かな?」
 仁は咄嗟に考えた設定を元に、
「実は2人へのサプライズがあるんだ」
 と切り出した。
「ほう、サプライズとな?」
「サプライズだって?」
「そう。『コンロン3』に積んであるんだけど、取ってきてもいいかな?」
 これにはもちろん、否やのあろうはずがないアーネスト王子である。
「もちろんさ。……あ、リアンナに付いていってもらっていいかな?」
 王宮隠密侍女隊ロイヤルシークレットメイドのリアンナが一緒なら、通常の範囲内で城内施設がフリーパスになる。仁はありがたくそれを受けた。
「じゃあ、ちょっと行ってくる。エルザ、後を頼む」
「ん」

「ジン様、一体何を取りに行くんですか?」
「まあ、行ってみればわかるよ」
「はあ……」
 そんな話をしながら王城中庭にある特別飛行場へ。
 仁はリアンナを外に待たせ、『コンロン3』の中へと入っていった。
 そこには、アン、ロル、レファら3体の青髪の自動人形(オートマタ)が揃っていた。着ているものは皆同じ服。
 ロルは翡翠館総支配人、レファは五常閣女将だが、今回は蓬莱島標準の侍女服である。
 3体を連れて出てきた仁を見て、リアンナは目を見張る。
「ジン様、そ、その方々は!?」
「よーく見てくれ。ほら、リースヒェン王女の『ティア』とよく似ているだろう?」
「あ、そ、そういえば」
「そういうことさ。紹介は向こうでするから。さあ、行こう」
「は、はい」
 仁とリアンナが先に立って歩いていくその後から、3体は無言で付いていった。
 王城内の廊下では、すれ違う者皆、彼女たちを振り返るのだった。

「今戻ったよ」
 仁とリアンナはアーネスト王子とリースヒェン王女の待つ居間へと戻った。
「おお、早かったな、ジン。それで、見せたいものとは?」
「ああ、今見せるよ。……入っておいで」
 そして姿を見せるアン、ロル、レファ。
「……うわあ」
「おお!」
 以前の第1回『世界会議』の時にロルとレファを見ていたはずだが、アンも加えて3姉妹として同じ服を着て並ぶと壮観である。
「アンと申します」
「ロルと申します」
「レファと申します」
 それぞれ名を名乗り、カーテシーでお辞儀をする3体。
「ティア、このレファは、君の姉妹だよ。多分少しだけお姉さんだ」
 仁が説明した。
「レファお姉さま、ですか……」
「あなたがティアですね。私とあなたは同ロットの自動人形(オートマタ)で間違いないわね。姉妹がまだ残っていて嬉しいわ」
「私もです、レファお姉さま」
 そんな様子をリースヒェン王女とアーネスト王子は微笑ましそうに見つめている。
「アンお姉さま、ロルお姉さま。……そう呼んでよろしいでしょうか」
 アンとロルは微笑みながら頷いた。
「ええ、もちろんよ。我々のロットはあなたたちよりも前のようですしね」
 ここで仁が補足を入れる。
「おそらく、『ANN』とか『ROL』みたいに3文字の名前を持つロットが先で、『REFA』『TEAR』のように4文字の名前は後のロットなんだと思う。だけどどっちもアドリアナ・バルボラ・ツェツィが遺した『設計基(テンプレート)』を元に作られているんだから姉妹で間違いないさ」

「しかし、ジンは大したものじゃな」
「ほんとだね」
 リースヒェン王女とアーネスト王子は二人で顔を見合わせ、頷きあった。
「少し羨ましいです」
 アーネスト王子の侍女ゴーレム『ロッテ』がぽつりと言った。
「ロッテ?」
 それを聞きつけた仁は、そっと礼子に、
(「老君に、ゴーレムメイドを1体追加で送ってくれと言ってくれ」)
 と指示を出した。
 そして、
「ロッテがそう言うなら……」
 と言って、再びリアンナを伴い、『コンロン3』へと向かう仁。
 前と同様、すぐに戻ってくる。『アメズ1』を連れて。
「ロッテ、この子はお前の姉さんに当たるアメズ1だ」
「私の、お姉さま……」
「ほんとに凄いねえ、ジンは」
 アーネストも少し驚いている。
 近々リースヒェン王女とアーネスト王子も『仁ファミリー』に入ってもらおうと思っている仁なので、少々無理のある設定だが、『コンロン3』に乗せている、と説明した。
「アメズ1は他の5色ゴーレムメイド、ルビー、トパズ、ペリド、アクアと同じく、最初期からいるんだ。ゴーレムメイドの中では一番の姉さんになるかな」
「そうなんですね、アメズ1お姉さま」
「会えて嬉しいわ、ロッテ」
 ゴーレムの侍女2体も、この出会いを喜んでいるようであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20170227 修正
(旧)「おそらく、2文字の名前を持つロットが先で、3文字の名前は後のロットなんだと思う。
(新)「おそらく、『ANN』とか『ROL』みたいに3文字の名前を持つロットが先で、『REFA』『TEAR』のように4文字の名前は後のロットなんだと思う。
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