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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

39 拾遺篇

1436/1619

39-21 クライン王国へ

 クライン王国に行くと決めたので、仁は翌日、さっそく準備を始めた。
 もちろん使うのは『コンロン3』。
 同行者はエルザとハンナ。エドガーはもちろん操縦士で、礼子ももちろん一緒だ。
「リシアも誘ってみるか……エルザ、どう思う?」
「ん、いいと思う」
 街道はトカ村まで、という計画であるし、そうなるとカイナ村としても何らかの変化をこうむるだろう。
 リシアも『仁ファミリー』の一員であるので、ここで知らせないという選択肢はない、とエルザは言った。
「わかった。『仲間の腕輪』を使い、秘密裏に連絡して仕度をさせよう」
 連絡は老君に任せることにする。出発は明日、2月24日。
 それまで、ローランドとラグランには、カイナ村を精々楽しんでもらうことにした。

*   *   *

「ジンさん、お誘いありがとうございます! ハンナちゃん、エルザさん、お久しぶりです」
「リシアおねーちゃん、久しぶり」
「リシアさん、お久しぶり」
 予定どおり、24日昼過ぎに『コンロン3』はトカ村に着陸し、リシアを拾い上げた。
「急な話だったけど、仕事は大丈夫だったか?」
 今更なことを尋ねる仁。
「ええ、今は農閑期ですし、事務仕事も少ないので大丈夫ですよ」
 リシアは微笑みながら返事をした。

「そ、空を飛んでますね……」
「こ、この歳でまだ驚くことがこの世には沢山あるのだなと思い知ったよ……」
「……」
 ローランドとラグランは『コンロン3』の窓から外を見て興奮しっぱなしだ。ボーテに至っては無言で窓にかじり付いている。
 因みに、彼等が乗ってきた馬車は、仁がゴーレムを使って無事送り届けることを約束していた。

 『コンロン3』は全速を出すこともなく、クライン王国首都アルバンに到着。そのまま王城の着陸床に向かった。
「ジ、ジンさん、私たちも一緒ですか!?」
 一般人であるローランドが焦ったような声をあげる。
「ああ、そうでしたね。どうしましょう」
 クライン王国の気球隊が『コンロン3』をそれと判別し、先導してくれている今、他の場所に着陸するわけにもいかない。
「事情を説明して、着陸床からお帰りいただくしか……」
「そ、それしかありませんか……」
 がくりと肩を落としたローランドであったが、
「ふむ、まだ知り合いはいるのかのう」
 元準男爵で軍にいたこともあるラグランは平然としていた。

 そして『コンロン3』は着陸する。
 真っ先に降りたのは従騎士、礼子。
「おお、レーコ! 久しぶりじゃな!」
「リースヒェン王女殿下、お久しゅうございます」
 第3王女リースヒェンが自ら仁を出迎えていた。
 次に出てきたのは仁とエルザ。
「リースヒェン王女殿下、お久しぶりです」
「ジン、久しいのう。エルザも元気そうで何よりじゃ」
「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」
「うーむ、硬いのう。まあ、この場では仕方ないか」
「王女殿下、失礼致します」
「おお、そなたは……リシアと言ったな。ジンと一緒じゃったか」
「は、はい」
 恐縮して身を縮めるリシアに、
「よいよい。今日はジンの友人として遇しよう」
「あ、ありがとうございます」
 そしてハンナ。
「王女様、お久しぶりでございます」
「おお、ハンナ! 少し大きゅうなったのう!!」
 リースヒェン王女はハンナを見ると飛び付いて抱き締めた。
「よう来たのう。ゆっくりしていけるのじゃろう?」
「ええ、ご相談もあるのですが、それが済めば」
「うむうむ、楽しみじゃ」
 上機嫌で頷くリースヒェン王女。
 そして。
「王女殿下でいらっしゃいますか、初めてお目に掛かります。元準男爵にして第3守備隊副隊長を務めましたラグラン・イーストウッドと申します」
「ラグラン……イーストウッド…………おお、聞いたことがあるぞ。かつてフランツ王国との紛争で活躍した部隊の副隊長じゃな!」
「は、お恥ずかしい限りです」
 横にいる仁は、ラグラン・イーストウッドがそんな経歴の持ち主だとは知らなかったので、内心驚いていた。
「横におるのはそなたの家族か?」
「は、娘婿のローランドと、孫のエリックでございます」
「ローランドと申します」
「エ、エリックです」
 ローランドは表面上は落ちついて。エリックは少々上ずった声で、それぞれに最敬礼を行った。
「そしてその向こうが使用人のボーテです」
「ボ、ボーテと申します」
 ラグラン・イーストウッドは締めの言葉を口にする。
「以後、どうぞお見知りおきを」
 最敬礼。
「うむ、ラグラン商会といえば、ポンプを普及させた功労者じゃな。これからもよろしく頼むぞ」
「ありがたき幸せにございます」

*   *   *

 駐機場での挨拶で、ラグラン商会の面々は店に帰ることを許された。
 そして仁一行は、エドガーも含めて、王城の応接室へと通されたのである。
「まずは……久しぶりじゃな、ジン! ……もう、楽に話してくれ!」
「……うん、久しぶり、リース」
 その呼び方を聞いて、うんうんと頷くリースヒェン王女は至極満足そうであった。
 そして仁たちは婚約のお祝いを述べる。
「ではあらためて。リース、婚約おめでとう」
「おめでとう、ございます」
「おめでとうございます」
「お姉ちゃん、おめでとうございます!」
「うむうむ、皆、ありがとう」

「お茶をお持ちしました」
 そこに、お茶(テエエ)を持ってティアがやって来る。
「ジン様、エルザ様、リシア様、ハンナ様、レーコさん、エドガーさん、いらっしゃいませ」
「ティア、調子はどうだい?」
「はい、変わらずよい調子でございます」
「それはよかった」

「それで、今日は何の用があったのじゃ?」
 お茶(テエエ)を飲みながらリースヒェン王女が尋ねた。
「街道整備の話をラグラン商会の人たちから聞いたものでね」
「おお、その話か。いい話じゃろう?」
 雇用を作り出し、景気を刺激する、という点で、こうした公共事業は各国で行われていた。
 セルロア王国でのモノレール建設も同じ目的である。
「あれから、さらに計画も練られてな。ちょうどよい機会じゃ、ジンたちの意見も聞いてみたいのう」
 そしてリースヒェン王女は語り出した。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

20170215 修正
(誤)「おお、ハンナ! 少し大きゅうなったのう!!「」
(正)「おお、ハンナ! 少し大きゅうなったのう!!」
 orz
(旧)横にいる仁は、ラグラン・イーストウッドがそんな経歴の持ち主だとは知らなかったので、内心呆れていた。
(新)横にいる仁は、ラグラン・イーストウッドがそんな経歴の持ち主だとは知らなかったので、内心驚いていた。

(旧)-
(新)そして仁たちは婚約のお祝いを述べる。
「ではあらためて。リース、婚約おめでとう」
「おめでとう、ございます」
「おめでとうございます」
「お姉ちゃん、おめでとうございます!」
「うむうむ、皆、ありがとう」
 <(_ _)>

(誤)おテエエ
(正)お茶(テエエ)
+注意+
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