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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

39 拾遺篇

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39-18 久しぶりの再会

「あのゴーレムは、かつて『統一党(ユニファイラー)』が実験的に使っていたゴーレムの最初期型のようです」
「ああ、そうか」
 礼子を通しての老君の説明は明解だ。
 デザイン的には、カイナ村の守護ゴーレム、『ゴン』『ゲン』の元となったゴーレムに似た所があった。
「どこかで見たような気がしたのはそれだったか」
 これですっきりした仁である。
「つまり、あの賊の少なくとも1人は、統一党(ユニファイラー)の関係者でしょう。おそらくは実験を任されていた下っ端」
「なるほど」
「それで、統一党(ユニファイラー)が消滅した際に、預けられていたゴーレムを使って悪さを始めた、といったところであろう、と老君は推測しています」
「おお、なるほど、よくわかった。礼子、ありがとう。老君にも礼を言っておいてくれ」
「はい、お父さま」
 老君の推測は大したものである、と仁は褒めた。
 統一党(ユニファイラー)懐古党(ノスタルギア)になった際、組織の再把握と健常化を進めたわけだが、さすがに末端までは目が行き届かなかった現実がある。
 そもそも末端は、己が統一党(ユニファイラー)に使われていたということさえ知らないに違いない。
 単に上からの指示が来なくなって大分経つので好き勝手し始めた、といったところであろう。
「まだこういう『残党』っていそうだな」
「……ん」
 エルザも少々不安そうで、顔を少し顰めている。
「地道に捕まえていくしかないか」
 もちろん、老君や『第5列(クインタ)』にも協力させ、一般人にできるだけ被害が及ばないうちに何とかする必要がある。

「……しかし、ことを一つ成すと、余波が生じるものだな……」
 あらためてそれを実感した仁であった。

 その日はそのまま泊まり、翌朝『コンロン3』で仁たちはエルザの実家に別れを告げた。

*   *   *

 仁たちが向かったのはカイナ村。
 『コンロン3』はそのまま蓬莱島へ向けて飛ばしておいて、転移門(ワープゲート)を使って仁、エルザ、礼子が蓬莱島経由でカイナ村へ行ったのだ。
「エドガー、ごめんね」
「あとで代わりをよこすよ」
 操縦士であるエドガーは一緒に来られないので、仁たちが蓬莱島に着いた時点で代わりにスカイ87を操縦士として送り込み、入れ替わりにエドガーが蓬莱島へと戻ってくる。
「よし、じゃあ行こうか」
「はい」
 そして4人でカイナ村へと向かったのである。

「ご主人様、ようこそおいでくださいました」
 二堂城の転移門(ワープゲート)を出ると、担当のバトラーBとCが仁たちを出迎えた。
 今回は公式訪問ということで二堂城を使ったのである。
「で、どうしたんだ?」
「はい。あと半日で、ラグラン商会の馬車が着く予定になっております」
 バトラーBが状況説明をする。
「お見えになるのはローランドさんとボーテさん、ラグラン・イーストウッドさんです」
 バトラーCも説明をしてくれる。
「ラグラン・イーストウッドって……」
「はい、ラグラン商会の創設者です」
「やっぱりあの人か」
「ええ、一代で今のラグラン商会を作り上げたやり手の商人ですね。準男爵の地位を捨てて商人になった方です」
 彼とは、以前アルバンへ行った時に一度顔を合わせていた。
 その他、仁が予備知識として色々聞いているところに、カイナ村の守護頭脳、『庚申』から連絡が入った。
〈お話中、申し訳ございません。お館様、ラグラン商会の馬車がトーゴ峠を越えました。あと2時間ほどで到着されます〉
 順調だったのだろう、予定より少し早いようだ。
「わかった。何ごとも起きないよう、監視していてくれ」
〈はい〉

「そういえば、ラグラン商会の長が、何のためにこの村へ来るんだ?」
 素朴な疑問を口にする仁。それに答えたのはバトラーCであった。
「はい、それに関しましては事前に手紙を貰っておりました」
「ああ、俺たちがエルザの実家に行っている時に届いたんだな?」
「はい。特に親展、ということではなく、逆に商人からの手紙ということで、対応が遅れる方がまずいと判断しました。それで失礼して内容を確認したところ……」
「商談がしたいと?」
 仁が答えを先取りして口にした。が、バトラーCはそれを否定する。
「いいえ、『孫の嫁の顔を見たい』ということでした」
「……」
 一瞬呆れた仁であったが、よくよく考えてみると、ラグラン・イーストウッドの年齢は60過ぎ、仕事を抜きにすれば可愛い孫の暮らしぶりを見てみたいというのもわかる……気がする。
「エリックにはいろいろ村に必要なものを売ってもらっているし、歓迎しなくちゃな」
「ジン兄、ほどほどに……ね?」
 気合いを入れた仁の顔を見たエルザが釘を刺す。
「あ……そうだな」
 仁も、エルザが何を言いたいのか察し、肩の力を抜いた。
「それじゃあ、エルメ川まで迎えに出ようか」
「ん、それくらいなら」
 『庚申』が安全管理をしているので、礼子も反対はしなかった。

 ラグラン商会の馬車が近付いてくるのを『庚申』から聞き、仁と礼子はゴーレム馬『コマ』に乗ってエルメ川の畔へと出た。
 すると、ちょうど馬車が橋を渡ってくるところであった。
「おお、ジンさん……いえ、ジン様」
 ローランドが仁に気やすく声を掛け、気が付いて訂正した。
「ローランドさん、お久しぶりですね。俺自身は何も変わっていませんから、昔のように話してください」
 仁は、気にもしていない、という態度でローランドに声を掛けた。
「そ、そうですか? ありがとうございます」
 そして、ラグラン・イーストウッドも挨拶をする。
「ジン様、一別以来ですな。ご無沙汰しております」
「こちらこそ」
「ボーテはご存知でしたか? 私の後を引き継いだ行商担当です」
「ええと、直接の面識はなかったかと。よろしく、ボーテさん」
「こ、こちらこそ、ジン様」
 これ以上の話は外で行うものではないので、仁が先導して馬車を二堂城へと案内した。
「いやいや、すごい建物ですな」
 ラグラン商会長は二堂城を見上げてしきりに感心していた。

「それでは、この部屋をお使い下さい」
「恐縮です」
 二堂城の客室に一行を案内した仁は、久しぶりにここの部屋を使うことができた、と内心快哉を叫んでいたりする。
 勢いで作ったはいいが、あまりお客が来ないので、少々無駄遣いした感を抱いていたのである。

 そして応接室であらためて挨拶を交わす。
 ゴーレムメイドが淹れてくれたペルヒャ茶を飲みながら、今回の訪問について話を聞くことにした。

「一番の目的は孫の顔を見ることでしてな」
 それは変わっていないんだ、と仁は、孫に対する祖父の想いを少し微笑ましく思った。
「それに、やはり新しい商談が結べれば、という気持ちもあります」
 これはローランドだ。
 今は中堅の幹部としてやっているらしい。
「あ、あと、報告が一つ」
 最後にボーテが口を開いた。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20170212 修正
(誤)デザイン的には、カイナ村に守護ゴーレム、『ゴン』『ゲン』の元となった
(正)デザイン的には、カイナ村の守護ゴーレム、『ゴン』『ゲン』の元となった

 20170213 修正
 申し訳ございません! 15-16で仁とラグラン・イーストウッドは出会っていました! <(_ _)>
(旧)「やっぱりそうか」
(新)「やっぱりあの人か」
(旧)バトラーたちは老君のサポートもあって、仁が知らない知識を蓄えている。
(新)彼とは、以前アルバンへ行った時に一度顔を合わせていた。
(旧)仁が予備知識として色々聞いているところに、
(新)その他、仁が予備知識として色々聞いているところに、

(旧)「そういえば、ラグラン商会の長……だよな? 何のためにこの村へ来るんだ?」
(新)「そういえば、ラグラン商会の長が、何のためにこの村へ来るんだ?」
(旧)「そ、そうですか? ありがとうございます。……ええと、こちらは私の義父で、ラグラン商会の創設者にして商会長……」
(新)「そ、そうですか? ありがとうございます」
(旧)「ラグラン・イーストウッドと申します。ジン様、お目に掛かれて光栄です」
(新) そして、ラグラン・イーストウッドも挨拶をする。
「ジン様、一別以来ですな。ご無沙汰しております」
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