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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

38 アヴァロン篇

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38-20 捜索、そして

「ほんと? ありがと、ジン!」
「ああ、任せておけって」
 仁は頷くと、研究所へ向かった。
 エルザ、シオン、礼子も一緒に付いていく。

「老君、イスタリスの居場所は分かるか?」
『はい、御主人様(マイロード)。少々お待ち下さい』
「えええ!? 何で老君が知ってるの?」
 驚きの声を上げるシオンに、仁が説明をする。
「以前イスタリスが怪我をしてここに担ぎ込まれたことがあったろう?」
 フランツ王国で騙され、捕らえられた時のことである。
「え、ええ」
「その時にイスタリスを治療したから、彼女の魔力パターンは記録してあるんだ」
「ええと……?」
 まだよく飲み込めていないようなシオンに、仁は説明を続ける。
 蓬莱島には、魔力パターンを追跡できる魔導機(マギマシン)がある、と言うと、シオンは顔をぱあっと輝かせた。
「何それ! ジンって凄いもの作ってるのね! さすが魔法工学師マギクラフト・マイスターだわ!」
「シオン、『魔力探知機(マギレーダー)』のこと知らなかったっけ?」
「え……? うーん、何か聞いた気もするけど……」
 要は、魔法工学的なことに関する興味が薄いため、よく覚えていないらしい。
「まあいいか」
 それでイスタリス捜索に支障が出るわけでもない。
 それよりも問題なのは……。
「イスタリスを発見した後のことだな」
 本人の意思を無視して魔族領に連れ戻すのかどうするのか。
「そう、ね……」
 シオンも思案顔だ。

御主人様(マイロード)、イスタリスさんを発見しました』
 そんな時、老君から報告が入った。
「え? どこどこどこ!?」
 シオンがものすごい勢いで食い付いた。
『はい、『カイナ村』です』
「え?」
『カイナ村です。そしてネトロスさんも一緒のようです』

*   *   *

「……盲点だったわ」
 以前、食糧難で救援要請に来た際、シオンとルカスはカイナ村へやって来ていたのだ。
 今回、イスタリスとネトロスはシオンたちと同じようなルートを辿ったのであろう。

「ああ、なんだか久しぶり」
 仁の工房地下にある『私的』転移門(ワープゲート)から仁とシオン、礼子は出てきた。
「こっちも雪降ってるのね」
 仁が先日訪れた時より雪は深くなっていた。積雪量およそ30センチといったところだ。
 が、道はほとんどが除雪されており、歩きやすい。
 この日の天気は薄曇り。仁は雪目にならないよう、サングラスを掛けた。
「あら? ジン、それ、何?」
「目の保護のための眼鏡さ。シオンの分もあるよ」
 仁はサングラスを1つ差し出した。
「あら、ありがとう」

 このサングラスは白雲母モスコバイトを加工して作ったもので、軽くて割れにくい。
 加えて、『強靱化(タフン)』を掛けてあるので丈夫だ。
 また、雲母は複屈折の性質も持っており、上手く使うことで偏光板の代わりにもなる。
 さらに紫外線を透過しないよう魔法染料で着色することで、効果の高いサングラスを作ることができているのだ。

「あ、おにーちゃん」
 話し声を聞きつけて、ハンナが顔を出した。
「やあ、ハンナ。旅人が来たって聞いてね。知ってるかい?」
「うん。村長さんの家に泊まってるよ」
「そっか。ありがとな。行ってみるよ」
「うん」

 シオンが一緒なのを見て何かを察したのか、珍しくハンナは『一緒に行く』と言わずに家に戻ったのである。
 それで仁たちは3人で村長宅へと向かう。
「この『さんぐらす』、いつ作ったの?」
 村長宅へ向かう途中、シオンが聞いてきた。
「ついこの前さ」
「ふうん、すっごく見やすいわ。雪原って、一面真っ白で凹凸もわかりにくいものだけど、これ掛けていると違うわね」

 偏光特性を持っているので、反射光がかなりカットされている。それで見やすくなっているのだ。
 現代地球でも、釣りやスキー、自動車運転時などに反射光をカットすることで視界をクリアにする『偏光サングラス』が使われている。

「村長さん、いますか?」
 ほどなく村長宅に着き、仁はドアをノックした。
「おお、ジンか。どうしたね?」
 すぐに村長ギーベックが出てきた。
「いえ、お客さんと言いますか、旅の人が来ていると聞いたので」
「なるほど。領主としては気になると」
「いえ、そうではなく。まあそれもあるんですが」
「とにかく入ってくれ。……そっちの子は? ええと……そうだ、確かシオンちゃんだったかな?」
 仁の後ろにいたシオンに気が付いたギーベックが尋ねる。
「はい、そうです。で、もしかしたらその旅人が彼女の知り合いかもしれないというんですよ」
「ほう」
 仁たちは村長宅に招き入れられた。

「やあ、ジン君」
 居間には治癒師であり、今はギーベックの妻、サリィと……。
「ジン様!? シオン!!」
「どうしてここが?」
 シオンの姉、イスタリスとその従者ネトロスがいたのである。
「姉さま!」
 シオンはイスタリスの下に駆け寄る。
「心配したんだからあ!」
「……ごめんなさいね、黙っていなくなって」
「ううん、姉さまが元気でいてくれれば、それでいいの」

「ジン君、事情を説明してくれないかね?」
 シオンとイスタリスを見て、サリィとギーベックは仁に説明を求めたのである。
「ええ、もちろんです。実は……」
 仁は2人に、掻い摘んで事情を説明したのであった。もちろん今の段階では『魔族』であることは伏せて。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 お知らせ:実家に帰りますので、21日(土)早朝から22日(日)夕方までレスできなくなります。
 御了承ください。

 20170122 修正
(旧)「とにかく入ってくれ。……そっちの子は?」
(新)「とにかく入ってくれ。……そっちの子は? ええと……そうだ、確かシオンちゃんだったかな?」
(旧)「俺の所の客人です。で、もしかしたらその旅人が知り合いかもしれないというんですよ」
(新)「はい、そうです。で、もしかしたらその旅人が彼女の知り合いかもしれないというんですよ」
 村長、シオンを知っているはずでした……orz
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