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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

38 アヴァロン篇

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38-11 まずはセキの町

 仁はミツホへ行くにあたり、元外交官のラインハルトに同行を頼んでいた。
「ラインハルト、頼むよ」
「わかった。1日待ってくれ。仕事に区切りをつけてしまうから」
「うん、出発予定は明後日だからそういうことでよろしく頼む。俺は陛下に許可貰いに行ってくる」
 順序が逆のような気がするが、仁は改めて女皇帝に、異民族の国、ミツホを訪れる許可を貰いに宮城(きゅうじょう)へと向かった。
 『魔法工学師マギクラフト・マイスター』であり、『帝室名誉顧問』である仁は、アポイントを必要とせずに、女皇帝への謁見を申請できるのだ。

 15分ほど待った後、仁は女皇帝に謁見できた。
「ジン君、ようこそ。……どんな御用かしら?」
「ええと、実は……」
 仁はミツホを訪問してみたいということを説明する。
「ああ、この前の話を進めてくれるのね」
 勘のいい女皇帝は、仁の来訪目的を察した。
「はい。そして、外交官としてラインハルトを連れて行きたいのですが、ご許可いただけますか」
 この申し出に女皇帝は宰相を見やった。
「はい、陛下。ラインハルト・ランドルに、喫緊の仕事はございませんな」 
 女皇帝は頷いた。
「だ、そうよ。日数によっては許可します」
「予定としましては7日間。予備日を入れて10日間と考えております」
「何があるかわからないですものね。……いいわ、許可しましょう」
「ありがとうございます」
「出発前に宮城(きゅうじょう)に来てちょうだいね。親書を用意しておくから」
「はい、わかりました」
 仁は礼をして執務室をあとにした。

*   *   *

「そうか、許可が下りたか」
 仁はさっそくラインハルトに連絡をした。
「いやあ、楽しみだ! 同行するのはあと誰がいるんだい?」
「ええとな……」
 メンバーは仁、エルザ、ラインハルト、礼子。そして『コンロン3』の操縦士としてエドガー、となる。
 公式な訪問であるから、これ以上のメンバーを伴うことはできなかったのだ。因みにサキは『魔水銀』の研究中。
「わかった。出発は明後日、でいいのかな?」
「ああ、それでいい」
 ここで訪問しておけば、後に顔を合わせた際に知り合いであることが不思議ではなくなる。
 仁はその他、忘れ物はないか確認しつつ、その日は暮れていったのである。

*   *   *

 そして当日、つまり1月25日、『コンロン3』はミツホへ向けてスタートした。
 まずは宮城(きゅうじょう)へ。『コンロン3』は中庭に着陸した。
「ラインハルト、これを持って行ってちょうだい」
「はい、承りました」
「それでは、気を付けてね」

 女皇帝陛下からラインハルトが親書を受け取り、略式な歓送会を行った後、ミツホへ向かい、飛び立ったのである。
「いやあ、久々の外出はいいなあ」
 ラインハルトははしゃぎ気味である。
「ベルとユリも連れて来てやれたらよかったんだが」
 そして愛妻家ぶり、子煩悩ぶりも発揮。
 『コンロン3』は時速500キロで上空を疾駆していく。
 気が付けばハリハリ沙漠を越え、ミツホ上空である。
「おお、あれがミツホか! なるほど、舗装されているな」
 上空から町並みを見下ろしたラインハルトが興味深そうに呟きを漏らした。

 『コンロン3』はゆっくりと下降していく。
 まず目指したのはセキの町である。
 関所、関門としてのこの町を無視することはミツホの文化を否定することになりかねない。老君はそう仁に忠告した。
 その言葉を尊重し、『コンロン3』はセキの町の外、東にある広場へと着陸した。
 まず礼子が、そして仁が、ラインハルトが、エルザが顔を出す。
「あ、ジンはん! エルザはん! レーコはんも!」
 見知った顔、マヤが仁を見つけて手を振った。
 その後ろから、町長のクロウも現れた。
「これはジン殿、ようこそおいで下されました。また今回は凄い物に乗って来られたのですな」
 『コンロン3』を見上げてしきりに感心するクロウ。
「ええ、『飛行船』といいます。最新式ですよ」
「ほうほう。……ゆっくりお話を伺いたいですな」
「そう取り計らっていただけるとありがたいです。こちらはショウロ皇国の外交官、ラインハルト。俺の友人でもあります」
「なるほど、外交官の方がご一緒ということは、何か重要なお話があるのですね」
 察しのよいクロウは、集まった住民に何か簡単な説明をした。そうすると住民たちは皆納得した顔で帰っていき、残ったのはクロウとマヤ。
「ダローは今、カリ集落におりますのでな」
 歩きながらそんな説明をするクロウ。ここまでは仁という知り合いに対する態度である。
 石造りの塀、そして門を見てラインハルトは感心することしきり。
 門をくぐるとクロウは町長としての顔になった。
「ラインハルト殿、どうぞお入り下さい」
 2階建ての町役場に到着すると、クロウはラインハルトを優先して案内していった。

「ほほう」
 外交官として幾つもの町を訪問し、様々な建築様式を見てきたラインハルトにも、ここセキの町のものは珍しかったようだ。
「どうぞこちらへ、ラインハルト殿」
 応接室へと一行は案内された。
 上座にラインハルト、その両脇に仁とエルザがそれぞれ座る。
「粗茶ですが」
 マヤがお茶を3人に出してくれた。
「さてラインハルト殿、今回はどういったお話があるのでしょうか」

 ラインハルトは仁たちからミツホのことは聞いており、クロウのことも知っていたので、今回の訪問目的を口にする。
「近いうちに『世界会議』というものが開かれる予定でして、その会議にミツホの代表もご招待したい、と考えております」
 そして『世界会議』とはどういうものかを説明するラインハルト。
「ほうほう。……そうしますと『世界会議』とは、『賢者(マグス)』の教えにある『国際連合』のようなものなのですね」
 仁は無言で頷いた。発言はラインハルトに任せている。
「そういうことになりますか。その『世界会議』に、いずれはミツホも参加していただきたく思っているわけです。まずは各国代表への紹介、ということですね」
 クロウは深く頷いた。
「わかりました。そういうことでしたら、すぐにでも首都ミヤコへ連絡致しましょう」
「お願いいたします」

 こうして、セキの町の町長クロウとの会談は成功裏に終わった。
 あとは世間話や情報交換が主となる。

「えっ、あと1週間でオリヴァーさんと結婚! それはおめでとうございます!」
「おおきにや。ショウロ皇国との国交がかなったおかげやな」
 イスマル町の商人、オリヴァーとマヤは互いに惹かれあっていたが、国家間に交流がなかったため諦めかけていた。
 そこに、先年のショウロ皇国からのアプローチがあって、正式に国交が結ばれたことにより、2人の夢が実現したというわけだ。
「おめでとうございます」
 エルザもマヤを祝福した。

 一方でラインハルトとクロウは、2国間の文化や慣習、特に儀礼関係の違いを熱心に討論していたようである。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20170112 修正
(旧)「ジン君、ようこそ。……先日の件かしら?」
 勘のいい女皇帝は、仁の来訪目的を見抜いていた。
(新)「ジン君、ようこそ。……どんな御用かしら?」
「ええと、実は……」
 仁はミツホを訪問してみたいということを説明する。
「ああ、この前の話を進めてくれるのね」
 勘のいい女皇帝は、仁の来訪目的を察した。

 『先日』の方はマキナと仁で魔族領の様子見、でした……
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