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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

37 ヘール篇

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37-11 対策につぐ対策

 仁は、航空戦力の性能アップを開始する、と礼子に宣言した。
「具体的には何をなさるんですか?」
「宇宙でも使えるようにする」
 今現在、航空戦力には全て『力場発生器フォースジェネレーター』が付いているので、人間が乗りさえしなければ宇宙での運用も可能である。
「だけど『可能である』ってレベルなんだよな」
「それは確かにそうですが」
「ヘールとの間に何が起こるかわからない。だから、用心のため、だな」
 仁としては、宇宙での戦力を考えると、威力や防御力は十分あると思っているが、単純な『数』が足りないと思っていた。
「この前の長周期惑星『モデヌ』、な。あの破片を処理したときは大気圏内だったから何とかなったけど、宇宙空間だったらどうなるかわからないしな」
「そういうことですか、わかりました」
 幸い、魔法工学の申し子である航空機には、追加装備を収納できるスペースが十分空いている。
「追加するのは障壁(バリア)類と長距離砲だ」
 『防御盾(アイギス)』と『大型魔法転写砲(マギトランスカノン)』ということになる。
 この追加により、スカイ隊は宇宙戦闘機部隊として運用可能だ。
「これでよし」
 作業の設計基(テンプレート)を作り上げた仁は職人(スミス)に指示を出した。
 『スカイラーク』『アルバトロス』『ラプター』『ペリカン』『コンドル』。
 2日くらいで終わるだろう。
「よし、あとはこっちだ」
 仁は専用機の『ペガサス1』に自ら手を加えることにした。
 短時間なら人間を乗せて宇宙にも出られるのだが、そのままでは有害な宇宙線が怖い。
 ということで、強力な光学障壁(バリア)を3重に取り付ける。
 可視光のみ通す仕様で、一定以上の光度の場合はカットするようにした。
 これで爆発などの閃光で目をやられる心配も減る。
「お父さま、お疲れ様です。本日はここまでになさったらいかがでしょう」
「ああ、もうそんな時間か」
 時刻は午後6時になるところ。
 その日はそこまでにして、仁は風呂に入り身体をほぐすと、エルザの手料理に舌鼓を打ち、ゆっくりと休んだのである。

*   *   *

「お父さま、今日は何を?」
 助手の礼子が尋ねた。
「今日は『レイ』を作る」
「レイ?」
「ああ。マキナの従者だよ。前にお前が中に入って動かしたろう?」
 旧レナード王国で、エルザの兄フリッツが怪物に襲われた際、救援に入った女性騎士である。
「はい、そうでした」
 両腕には『延長(エクステンション)籠手(ガントレット)』、両脚には『延長(シークレット)(ブーツ)』を履き、フルフェイスの兜を被り、鎧に身を包んだ状態で体格を20センチほど誤魔化していた。
「あの時の鎧が残っているし、それを着られる自動人形(オートマタ)を作り、マキナの助手にするつもりだ」
 仁が、お前は俺のそばにいてもらわなきゃならないからな、と付け加えると、礼子は嬉しそうに微笑んだ。
「わかりました。お手伝い致します」

 これもまた、仁と礼子にはお馴染みの作業。
「ランドたちと同等以上、くらいかな」
 礼子よりは下になる。
 構造は礼子に準じており、後は素材次第。
 身長150センチの小柄な体型。髪は青みがかった銀色にしてみた。瞳もアイスブルー。
「お父さま、何か意図がおありなのですか?」
「いや、今回は、アンたちと同じく、人間にはありそうもない色あいにしてみただけだ」
「魔族にはいそうですが」
「いそうだがいないと思う」
 銀髪、水色の目はいるが、青みがかった銀髪はいない。
「瞳も、ここまで青い人はいないだろうし」
 髪は肩に掛かる程度のセミロングだ。
「よし、これでいい」
 命令系統は1位仁、2位老君、3位『導師』。以下、4位エルザ、5位礼子、となる。
「レイ、これから頼むぞ」
「はい、ジン様」
 あまり人前に出る機会はないだろうが、世界警備隊のまとめ役として、マキナと共にこれから頑張ってもらわねばならない。

*   *   *

「……ふう」
 夕刻、仁は『家』の温泉で寛いでいた。
「やるべきことはかなりやったな……もうやり残したことはないだろうか」
 そんな独り言に、礼子が答えた。
「お父さまは一所懸命やってらっしゃいます。少しはご自愛ください」
 仁は湯の中で身体を伸ばしながら答える。
「ああ、そうだな。いざという時に身体を壊していてはまずいからな」
 つい焦りが出てしまうんだ、と仁は呟き、風呂場の窓から外を見つめた。
 暮れかかる空には、昇ったばかりのユニーが架かっている。
「そろそろ向こうでも宇宙船ができあがった頃かな?」
 休息と気晴らしを兼ねて見に行こうか、と言う仁。
「それは本当に休息になるのでしょうか?」
 と少し懐疑的な礼子。
 そこへエルザからもうすぐ夕食の仕度ができる、と声が掛けられ、仁は風呂から上がることにした。

 和気藹々とした夕食のあと、仁はエルザにユニーで建造されている宇宙船の話をする。
「そろそろ完成する筈なんだ。だから明日にでも見に行こうかと思って」
「それって、『分身人形(ドッペル)』で?」
「もちろん」
「ん、じゃあ、行く」
「よし」
 エルザも行くと決まった。仁は久しぶりにわくわくする気持ちを抱きながら眠りに就いたのである。

*   *   *

「では、接続するぞ」
「ん」
 翌日、仁とエルザは研究所地下の司令室で、『分身人形(ドッペル)』の操縦席に着いていた。
『起動します』
 仁とエルザの視界が変わる。とはいえ、感覚的には『自分の身体』だ。
御主人様(マイロード)、エルザ様。では行ってらっしゃいませ』
 ユニーへの転移門(ワープゲート)を使い、2人はユニー内部の施設へと移動した。
《ようこそおいで下さいました、ジン様、エルザ様》
 管理頭脳『ジャック』が出迎える。
《随伴艦3隻、できあがりましてございます》
『え、3隻?』
《はい、そうです。100メートル級の球形艦。基本構造は『ヴァルカン』と同じです》
『なるほど……』
 『ヴァルカン』もユニーの工廠で作られたわけで、『ジャック』が参考にするのは道理であった。
『じゃあ、見せてもらおうかな』
《はい、ご案内いたします》
 仁はわくわくしながら『分身人形(ドッペル)』を動かしていた。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20161202 修正
(誤)お父さまは一所懸命やってらしゃいます。
(正)お父さまは一所懸命やってらっしゃいます。

(旧)命令系統は仁1位、老君2位、『導師』3位。以下、エルザ4位、礼子5位、となる。
(新)命令系統は1位仁、2位老君、3位『導師』。以下、4位エルザ、5位礼子、となる。
 ロッテの時などの言い方に合わせました

(旧)一定以上の光度のばあいはカットするようにした。
(新)一定以上の光度の場合はカットするようにした。

 20161204 修正
(旧)《ようこそおいで下さいました、ジン様》
(新)《ようこそおいで下さいました、ジン様、エルザ様》
+注意+
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