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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

37 ヘール篇

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37-05 発見したもの

 その宇宙船は秒速400キロで宇宙空間を疾駆していた。
 目立つ物は星々の他に何もなく、時折展開した不壊の盾『防御盾(アイギス)』に宇宙塵がぶつかって砕け散るだけ。
 工作艦『ヴァルカン』が惑星アルスを発って、6日が経過していた。

「航行は順調。まもなく減速にかかります」
 『ヴァルカン』の艦長を務めるゴーレム、コスモス501は蓬莱島の老君へ定期連絡を行った。
『老君了解。そのまま任務を遂行されたし』
「『ヴァルカン』了解」
 逆進加速度がかけられ、『ヴァルカン』は3Gで減速していく。
 第一の目標地点は、アルスの公転軌道上で、アルスよりも4分の1、つまり90度進んだ位置。
 太陽セランの向こう側にある『ヘール』はアルスよりも2分の1、すなわち180度進んだ位置にあるため、そこが中間地点となる。

「速度が秒速50キロに落ちたなら『防御盾(アイギス)』は停止。通常の障壁(バリア)に切り替え」
「了解」
 出発後に入った連絡によれば、ヘール側も中継基地を持っている可能性が大だという。
 それが軌道のこちら側なのか、あるいは反対側、つまり270度進んだ位置なのかは不明。
 中継基地があったとして、出会う確率は2分の1だ。
 『ヴァルカン』は、探知系の魔導機(マギマシン)を総動員しつつ、予定のポジションを目指した。

「前方、水平角10度、垂直角上15度の方角に物体あり」
 探知担当部署からそんな報告がなされたのは秒速5キロまで減速した頃だった。

「よし、進路変更。慎重に接近してみよう」
「了解」
 『ヴァルカン』は秒速5キロのまま、慣性航行でその物体に接近することにした。
 この速度なら、いざという時には最大加速値の30Gで止まることも離脱することもできる。
「距離、10万メートル」
 光学系で十分に観測できる距離となった。
 『ヴァルカン』艦橋の大魔導投影窓(マジックスクリーン)にその物体が映し出される。
 同時に、蓬莱島の老君にも映像は送られていた。

「これは面白い形状ですね」
 その物体は半球型をしていた。詳細な寸法はまだ測定できないが、おおよそ直径5キロから20キロの間だろう。
 かなり巨大な建造物である。

「距離、5万メートル」
 この距離まで近付くと、細部も観察できるようになった。
 極力動力系を使わずに接近しているためか、何の反応も見られない。
「『覗き見望遠鏡(ピーパー)』起動」
 この距離からなら、小型の『覗き見望遠鏡(ピーパー)』でもブレずに対象を観察できる。
 『ヴァルカン』は『覗き見望遠鏡(ピーパー)』を起動した。その映像ももちろん蓬莱島へ送られている。

*   *   *

 12月20日朝。
 蓬莱島に『ヴァルカン』から報告が入った。その結果を仁は司令室で受ける。
「そうか、やはりあったか」
『はい、御主人様(マイロード)。想像した通り、ヘール側も中継基地を作っていたようです』
「しかし、半球型か。人工なのかな? それとも小惑星を改造したのかな?」
『もう少し近付いたら判明するでしょう』
 そして見ているうちに距離は詰まり、『ヴァルカン』は『覗き見望遠鏡(ピーパー)』を起動した。
「うん、この距離なら問題ないな」
『はい、固定が甘いとぶれるのですが、これでしたら』
「しかしこれは……」
 外見は球を二つ割りにした半球で、切断された平らな面が太陽セランを向いている。
 そしてその面に幾つかの建物らしき施設が散見されていた。そのデザインには見覚えがある。
「移動基地に通じるものがあるな」
『はい、御主人様(マイロード)。設計者は同じかもしれませんね』
 老君もそう言って仁の考えに同意した。
 そして送られてくる映像はさらに近付いていき、ついには表面に達した。
『やはり人工物のようですね』
 半球部分も金属製であり、小惑星などを利用したものではなさそうだ。
 平面部にある施設の内部へと映像は切り替わる。
からだな」
からですね』
 倉庫か何かのような印象を受ける。
 そしてさらに映像は進んでいく。
「お、いよいよ半球の内部か」
『ここは、資材を一時貯めておく倉庫のようですね』
 そこには、小部屋が無数に並んでいた。扉は付いていないので内部がよく見える。
魔結晶(マギクリスタル)、鉄鉱石、銅鉱石……かな?」
『そのようですね。……ミスリル銀鉱石、アダマンタイト鉱石もあります』
「だが、思ったより量はないな……ヘールに送り出したあとかな?」
『それはわかりませんが、一定量溜まった時点で送り出していた可能性は十分にあります』

 そして更に映像は別の区画を映し出していく。
「……停止しているのかな?」
『そのようですね』
「この明かりはエーテル発光体(AL)かな?」
エーテル発光体(AL)を使った非常灯と思われます』
「とにかく慎重に、十分に調査をしよう」
『わかっております』

 さらに1時間、『覗き見望遠鏡(ピーパー)』により、半球内部は徹底的に調査されていった。
「うーん……やはり停止しているのは間違いないな。問題は再起動する可能性があるのかないのかだ」
『それから、ここを統括する頭脳があるのかどうかも、ですね』
 仁の言葉に、老君が補足を入れた。
『停止した理由がわかればいいのですが』
 『覗き見望遠鏡(ピーパー)』で確認中とはいえ、範囲は膨大である。
 仁は早々に諦め、老君に任せることにした。
 自分が確認するよりも、老君に任せた方が数倍、数十倍も速いからだ。
 そしてさらに30分。
御主人様(マイロード)、ここをごらん下さい』
 老君から報告が入る。同時に司令室の魔導投影窓(マジックスクリーン)にその映像が映し出された。
「これは……穴、か?」
『はい。おそらくは隕石によるものかと思われます』
「長周期惑星……『モデヌ』の破片かな?」
『いえ、破片が飛び去った方角から外れていますし、この穴はもっと古いものです』
 魔導投影窓(マジックスクリーン)に映し出された穴は、推定直径10メートルくらい。周囲には隕石のものらしい欠片も散乱している。
『エネルギー施設に直撃したようです』
「だが、それだけでこの巨大な基地が停止するものかな?」
 重要な施設や機器は、故障のリスクを避けるため、一極集中させないもの、と仁は認識している。
『それは仰るとおりです。さらに詳しい情報が必要ですね』
 仁と老君はさらに待つことにした。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 お知らせ:本日11月26日(土)、早朝から夜に掛けて実家に行ってまいりますのでその間レスできなくなります。御了承ください。
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