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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

36 移動基地篇

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36-20 意思

 床に空いた穴をくぐり抜け、礼子たちは球体中心部を目指す。
 船内は薄明るく、礼子たちなら行動に支障はない。
 この球体も『アドリアナ』と同じように階層に分かれていた。重力のある場所で建造されたのだろう、と礼子は考えながら進む。
「こちらに階段がありました」
 階段があれば、わざわざ穴を空ける必要もない。
 礼子たちは順調に中心部に近付いていく。
「何も起きませんね」
 拍子抜けするほどあっけなく進んでいけるため、思わず礼子が呟く。
「楽に進めるならいいことではないですか」
「それはそうですけど」
 ランド23に言われ、礼子も頷いた。
 さらに1階層奥へ。
「そろそろのはずですね」
 直径50メートルなら中心まで25メートル。1階層5メートルとして5階層くらいのはず、と判断した。
「あちらではないですか?」
 ランド22が指差す方向に向かって、壁のケーブルやパイプが伸びている。少なくとも重要な施設がありそうな雰囲気だ。
 ゆっくりと歩を進めていく。
「隔壁ですね」
 やはりこちらで間違いはないようだ。
「私が開けます」
 ランド22が進み出て、隔壁に手を掛けた。
「……む?」
「どうしました? 開かないのですか?」
 礼子が、不思議そうな声を上げたランド22に尋ねる。
「いえ、違います。手応えがなさ過ぎたのです」
 その言葉どおり、扉は少し軋みながらも開いていった。
「そういえば、薄いながらもこの区画には空気がありますね」
 魔素通信機(マナカム)で会話していた礼子たちであったが、今は物音が聞こえるのだ。
「どこかに空気を閉じ込める結界があったんでしょうね」
 それはさほど重要ではない、と歩を進める礼子たち。
 そして彼等の前に、魔導頭脳が姿を現した。

[ついにここまでやって来たか、蛮人の作りし意志を持つ操り人形(ライブパペット)よ]
 その頭脳が声を発した。
「あなたがこの球体の頭脳なのですか?」
[そのとおりだ]
「あなたの目的は何だったのですか?」
[言わずとしれたこと。惑星アルスからの資源採取だ]
「その資源をどうするんですか?」
[母星ヘールに送り届けるのだ]
「やはり」
 ここまでは確認のようなもの。
「アルスに住む者の意思として、それは許容できません」
[許可してもらう必要はない。力ずくで貰っていくだけだ]
 だが礼子はにやりと笑った。
「もうできませんよね、それ」
[確かにな。蛮人とはいえ、よくやったと言わせてもらおう]
「そもそも、ヘールには何が?」
[私の主人が、資源を待っている]
「あなたの主人? やはりヘールには、まだ残った人々がいるのですか」
[いる]
「なるほど」
 かなり貴重な情報が得られた。
「なぜアルスから? いったいいつから? 他の星からでもよかったではないですか」
 矢継ぎ早に質問する礼子。
[1108年前からだな。もちろん、資源確保のために他の星にも行っている。が、ここが最も適しているのだ]
「それはなぜ?」
[知らぬ。ただ、主人が、この星を頼りにしている、とのたまったのだ]
「そうですか……」

 礼子は、少しだけこの魔導頭脳に共感を覚える。主人に尽くそうという、ただその1点のみで。
「ですが、わたくしにも譲れないものがあります」
[だ、ろうな。小さき意志を持つ操り人形(ライブパペット)よ]
「わたくしの攻撃を退けられますか?」
[いや。それはできぬ。だが……]
「だが?」
[その前にもう1つ。私が敗れても、主人はいずれ、私以上のものを代理人として送り込んでくるだろう]
「言うことはそれだけですか?」
[そうだ……な。そちらは他に聞きたいことはあるか?]
「すぐには思いつきません。ですが、このままあなたを切り離して持ち帰れば、いろいろと有用でしょう」
[残念だが、それは認められぬ]
「え?」
[私と共に散れ、蛮人の作りし、意志を持つ操り人形(ライブパペット)よ]
「!」

*   *   *

「おお、攻撃が止んだな」
「レーコちゃんたちがうまくやったようだね」
 『アドリアナ』の中では、順調そうな様子に仁が安堵していた。
「ランド21が攻撃兵器を潰してくれたようだ」
「それじゃあ、じきに報告が入りそうだね」
 そう話すサキも少し興奮気味。
 だが。
 不意に魔導投影窓(マジックスクリーン)が真っ白に染まった。
「うわっ!」
「きゃっ!」
 続いて、真空の宇宙空間だというのに振動が伝わってくる。
『今の爆発は、重力変動のような空間爆発でした』
 『大聖』が分析結果を述べた。
『破片等は『防御盾(アイギス)』が問題なく防ぎました』
 しかし。
「敵球体が……ない!」
「今の爆発は敵球体が爆発したのか!?」
「まさか……自爆?」
 ファミリーの面々も青ざめている。
「ジン、レーコちゃんは? ランド隊は?」
「……」
 仁からの返答はなかった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20161118 修正
(誤)主人が、この星を頼りにしている、とのたまわったのだ]
(正)主人が、この星を頼りにしている、とのたまったのだ]
 のたま-う(ワ行五段活用、だそうです)
+注意+
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