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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

36 移動基地篇

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36-19 再度潜入

「攻撃してくるつもりか?」
『そのようです、御主人様(マイロード)。戦闘態勢に移行します』
 『アドリアナ』は警戒態勢から戦闘態勢に移行。敵球体との間に『防御盾(アイギス)』を張る。
「魔法攻撃が主体だと思うから、『魔法障壁(マジックバリア)』も展開しておけよ」
『わかりました』

 こうして『アドリアナ』は、『防御盾(アイギス)』の外側に魔法障壁(マジックバリア)も展開した。
 真っ直ぐ向かってくる敵球体が何かを発射した。
『雷属性魔法ですね』
 『大聖』からの報告。
 真空の宇宙空間では雷魔法の電撃は空中を伝わりにくいので、『球電』もしくは『球雷』の形で放たれる。
 魔力素(マナ)によって生み出された高電圧の塊だ。
 だが、それだけに直撃しなければどうということもない。
 『球雷』といえどもその核となるのは魔力素(マナ)の一種なので魔法障壁(マジックバリア)によって防ぐことができる。
 そして放電も防御盾(アイギス)によって完璧に防がれていた。

「すごいな……」
 クズマ伯爵……ルイスが感動したような声を漏らす。
「すごいわね……」
 彼の妻、ビーナも同じ反応だ。
 宇宙空間での戦闘など、経験のある者はいないのだから無理もない。
 いや、仁もないのだが。

「破壊したくないというのが一番の難点だな……」
 情報はできるだけ多い方がいい、と仁は考えており、老君も同意見だ。
 防御盾(アイギス)を展開したまま最大加速でぶつければ、おそらく敵球体はバラバラになるだろうが、それで敵頭脳部分が無事かどうかは保証されない。
「やっぱり内部からかな……」
『そうなると礼子さんですね』
 仁の呟きに『大聖』が答える。
「そうだな……連戦で悪いが、礼子に頼むとするか」

*   *   *

「お父さま、お任せください!」
 戦艦『穂高』の転移門(ワープゲート)を使って蓬莱島に戻った礼子は、声高らかに宣言した。
 『ディスアスター』潜入が中途半端に終わってしまったので、今度こそという思いもあるのだろう。
『わかりました。ですが、球体は魔法障壁(マジックバリア)を張っております。航空機の使用をお勧めします』
「なるほどな」
 『ファルコン』や『ラプター』などの飛行機は、全て『力場発生器フォースジェネレーター』を備えており、宇宙でも問題なく行動ができる。
 ただ、酸素発生装置などの装備はないので、人間が乗って宇宙へ、というのは少々無理がある。
 だが礼子やランドたちには関係ない。

「それなら『ペガサス1』を使っていいぞ」
 仁が許可を出す。ペガサス1は仁専用の航空機で5人乗り。蓬莱島が有する航空機で最も性能がよい。
 『ファルコン』や『ラプター』は2人乗りなので、操縦者を除いて1人しか乗れないのだ。
 『ペリカン』なら10人乗りであるが、機動性に劣る。

『ありがとうございます、御主人様(マイロード)。それでは、潜入コマンドとして礼子さん、ランド21、22、23の4人でお願いします』
「それでいいだろう。それから、支援のため、『ラプター』も2機出撃させろ」
『わかりました』
 操縦はスカイ隊から選抜され、『ペガサス1』はスカイ1が。『ラプター』1はスカイ2、同じく2はスカイ3が操縦を担当することとなった。

「よし礼子、ランドたち、頼むぞ。球体を無力化して、情報を持ち帰ってくれ」
「はい、お父さま」
「ご主人様、お任せを」

 そんな準備の間も、敵球体は間断なく攻撃を繰り返していた。
 それらは全て『アドリアナ』の魔法障壁(マジックバリア)で防げていたが、そのしつこさは驚くべきことだ。
「うーむ、どうしてこうも執念深く攻撃してくるんだ?」
「普通、攻撃が通じないことがわかれば撤退すると思うんだがな」
 仁とラインハルトは顔を見合わせた。
 そして礼子たちの出撃準備が整う。
 つまり、転送機で『アドリアナ』の後方1キロの場所に現れたのである。

「お父さま、行ってまいります」
「ご主人様、行ってきます」
 魔素通信機(マナカム)で報告が入り、仁も返答する。
「ああ、頼んだ。だが、くれぐれも無理はするなよ? 全員無事で帰ってこい!」
 そして3機は飛び出した。

 ラプター1と2は陽動だ。敵球体の前を縦横無尽に飛び回り、注意を惹く。
 空気抵抗のない宇宙空間、さらに乗員は人間ではない。
 10Gの加速度にも耐えられるため、その飛行は人間にはもちろん、老君にも予測がつかないほど。
 ラプター2機を狙った敵球体からの攻撃は、虚しく虚空に消えていく。
「今だ!」
 完全に注意が逸れたと判断し、『ペガサス1』は『不可視化(インビジブル)』に身を包んで発進した。
 ラプター2機とは反対側から接近していく。
 そして魔法障壁(マジックバリア)を抜けた。
「急いで下さい」
 姿を消していても、さすがに魔法障壁(マジックバリア)を通過したなら勘付かれるだろうと礼子は思った。
 そして敵球体まであと50メートルを切った時、礼子たちは『ペガサス1』から飛び出した。
「スカイ1、ありがとう。お父さまの『ペガサス1』を無事蓬莱島へ帰して下さいね」
 それだけを告げ、礼子とランド3体は力場発生器フォースジェネレーターで敵球体を目指した。

 50メートルという距離をあっという間に詰め、礼子とランド3体は敵球体表面に降り立った。
「非常用ハッチがあろうとなかろうと、内部に入る必要がありますね」
 2秒ほど周囲を見回した礼子たちは、非常用のハッチが見あたらないことを確認。
「これでいきましょう」
 礼子は『桃花』を引き抜いた。
 『超高速振動剣バイブレーションソード』モードで斬り付ける。
 内部に空気はなかったらしく、穴を空けたことによる空気の噴出はない。礼子は続けて『桃花』を振るった。
 装甲の厚さは30センチほどだったので、問題なく一辺50センチほどの四角い穴が空く。
 ランド3体には少々小さかったので、工学魔法『変形(フォーミング)』で少し穴を広げる。
 ランド21だけは残って、球体の『魔法転写砲(マギトランスカノン)』を潰すことになった。
「ご武運を」
「そちらも」
 数秒様子を見てから礼子とランド2体は中へと潜り込んだ。

「老君が言っていました。球形であるなら、重要機器は中心部近くにあるはず、と」
「では中心を目指しましょう」
 礼子とランド隊は魔素通信機(マナカム)でやり取りしているので、船内が真空でも問題はない。
「もう気付かれているでしょうし、時間が惜しいので強引に行きましょう。お嬢様、ここはお任せください」
 ランド22は床目掛け、『光束(レーザー)』を発射した。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20161116修正
(誤)「よし礼子、ランドたし、頼むぞ。
(正)「よし礼子、ランドたち、頼むぞ。
 orz
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