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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

36 移動基地篇

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36-17 新装備

 『ディスアスター』を完全に停止させるため、仁と老君は相談の上、停止コマンドを送り込むことに決めた。
 メンバーはランド21から27までの7体と礼子である。
 礼子は転移門(ワープゲート)を使い、戦艦『穂高』から蓬莱島に戻ってきている。

「礼子、頼むぞ」
『はい、お任せください、お父さま』
 『アドリアナ』から仁が指示を出すと、すぐに礼子が答えた。
 その出で立ちはいつものエプロンドレスではなかった。
「ジ、ジン、あの姿は!?」
「初めて見た!」

 ファミリーメンバーの大半が初めて見る礼子のいでたち。
 それは一言で言えばバトルスーツ。
 基本コンセプトを設計したのは仁だが、デザインはエルザ主導である。
 基本素材は『古代(エンシェント)(ドラゴン)』の皮革で、兜というよりヘルメットは『巨大百足(ギガントピーダー)』の甲殻とハイパーアダマンタイトの複合素材。
 『巨大百足(ギガントピーダー)』の甲殻は、対レーザー光線用としては抜群の性能なのである。
 胸当て、手甲、脛当ても同じ材質だ。
 さらに付加装備としていろいろな魔法兵装が備えられている。
 全備重量は20キロあるが、礼子なら問題にならない重さだ。

「礼子って、戦う時も侍女服のままだったからさ。パワーアップというか、補助装備として製作したんだ」
 今回の戦闘に備え、礼子自身も細かい調整により2割ほどのパワーアップをさせていたが、メインはこちらである。
「なんと言うか……まさに『戦乙女』だなあ」
 感心した顔でグースが呟いた。
「戦乙女か……確かにな。で、ランドたちの装備も、と思ったんだが、時間がなくて数を揃えられなかったんだ」
「ああ、それで7体なのか」

 その7体のランドも、デザインは違うものの、礼子と同じコンセプトのバトルスーツに身を包み終えていた。
 人間と違い、呼吸の必要がないので、完全に気密・水密にできる上、酸素ボンベがいらない。
 その分『魔力貯蔵器(マナボンベ)』を備えている。

「で、まずはエネルギー系統を停止させるわけだ」
 と仁が言えば、ラインハルトも頷く。
「確かにその方がいいな。いきなり頭脳を追い詰めると何をしでかすかわからないから」
「そうなんだ。もし『魔素暴走エーテル・スタンピード』やそれに類することをされたらと思うとな」
「ああ、だからエネルギー系統を止めるんだね」
 サキも納得したように何度も頷いた。
「そう。で、『ディスアスター』を接収してこっちの役に立てたい」

 そして、蓬莱島では全員の出撃準備が整ったようだ。
『お父さま、行ってまいります』
 『アドリアナ』の仁に一声挨拶し、礼子たちは転送機エリアに足を踏み入れた。

*   *   *

『では、転送します』
 老君の声と共に、礼子とランド7体は蓬莱島から消え、ほぼ同時刻に『ディスアスター』の機関部に出現していた。

「間違いないようですね。ここが目的地そのものです」
 そこにあった巨大な魔導機(マギマシン)を観察しながら礼子が言った。
「間違いなく魔力炉(マナドライバー)ですね。……魔力反応炉(マギリアクター)を使わないのは、お父さまが仰ったように、自由魔力素(エーテル)のない地域では魔力貯蔵庫(マナタンク)を使うからでしょう」
「お嬢様、敵が来ました」
 ランド27が言う。
 見れば、これまた異形のゴーレムが10体、武器のようなものを手にしてやって来る。
「迎え撃ちます」
 礼子は『桃花』を抜き放つ。ランドたちも『超高速振動剣バイブレーションソード』を手にした。
「お嬢様、奴らは我々が。反応炉はお嬢様にお任せします」
 ランド21が礼子に告げた。
「わかりました。頼みましたよ」
 礼子は桃花を振るい、魔力炉(マナドライバー)の外被に斬り付けた。
 があん、と音がして外被が斬り裂かれた。が、十分ではない。
「なかなか丈夫ですね。もう一度」
 4度ほど斬り付けて、ついに外被は剥がれ落ち、内部が露わになる。
「これが内部ですか。……老君に記録しておいてもらいましょう」
 後々、仁の参考になるかもしれないと、礼子は内部記録を老君に依頼した。
 同時に、外被の切れ端を採取しておく。
 これも仁へのお土産だ。

*   *   *

「おお、やっぱりレーコちゃんは凄いな」
 『覗き見望遠鏡(ピーパー)』で様子を見ていたラインハルトが賛辞を送った。
「バトルスーツの意味がないな……」
 仁は仁でそんなことを考えていたりする。

 一方、異形のゴーレム10体を相手取っているランド隊。
「ううん、7対10だが、まったく負けていないな。まったく凄い……」
 クズマ伯爵が唸る。
 ランド隊の使う『超高速振動剣バイブレーションソード』は、異形のゴーレムを苦もなく斬り裂いていき、程なくして戦闘は終了した。

「……終わり?」
「あ、あっけないですね」
 ビーナとリシアが呆れたような声を出した。
「いや、苦戦するよりいいだろう?」
 苦笑しつつ仁が言うと、
「それもそうね」
 ビーナも苦笑しながら答えた。

『お父さま、魔力炉(マナドライバー)を停止させます』
 礼子の声が響いた。
「よし、やってくれ」
「はい」
 礼子は巨大な魔力炉(マナドライバー)の入力部分に当たる『魔導回路(マギサーキット)』部分を『桃花』で切断した。
 次いで、太いミスリルの導線を切断する。
 動作用の制御核(コントロールコア)から切り離され、魔力貯蔵庫(マナタンク)からの魔力素(マナ)も途絶え、魔力炉(マナドライバー)は停止する。

 こうした施設は、老君の調査によるとまだ11箇所あった。
「よし、全部を潰して回れ」
『了解です』
 仁からの指示に答える面々。
 仁は、効率化を図るため、一旦全員を『転送装置』でバックアップしている戦艦『穂高』に帰還させる。
 そこから転移門(ワープゲート)で蓬莱島に帰島し、改めて転送機で『ディスアスター』の魔力炉(マナドライバー)がある所へ向かう、というやり方だ。
 一見煩雑だが、途中で敵と出会うこともないため、結果として早いのだ。

 そのおかげで、1時間後には12箇所の魔力炉(マナドライバー)は全て停止させることができたのであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20161114 修正
 外皮(2ヵ所)→外被
 に修正しました。

(誤)次いで、太いミスリルの導線を決断する。
(正)次いで、太いミスリルの導線を切断する。
+注意+
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