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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

36 移動基地篇

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36-16 対『ディスアスター』

 『大津波(タイダルウエイブ)』と『大海嘯(オオツナミ)』が真っ向から激突する。
 大波と大波が飛沫しぶきを上げてぶつかり合う。
 同時に、波を起こしている魔法同士もぶつかり合い、打ち消し合った。
 波は消え、戦艦『穂高』は悠々と海上にある。

*   *   *

『うまくいっていますね』
 蓬莱島の頭脳、老君は満足そうだ。
『攻撃の手を休めないように』
 そしてさらなる攻撃を指示した。

*   *   *

[うぬ、なんということだ]
 『ディスアスター』の中央頭脳は歯噛みをする。
 そこへ、『穂高』からの攻撃が着弾した。
[な、なんだ!?]

*   *   *

 戦艦『穂高』の『魔法転写砲(マギトランスカノン)』はほとんどの魔法を扱える。
 今回放たれたのは重力魔法だった。
 『ディスアスター』の障壁(バリア)も、重力は通す。そこを狙っての攻撃であった。
 局所的に100Gの重力が生じた『ディスアスター』の構造材が軋みをあげた。
 そしてさらに2発。
 全体から見たら微々たるものとはいえ、『ディスアスター』の船体が裂け、海水が流れ込んだのである。
 その影響か、障壁(バリア)が一時不安定となった。

 そんな好機を見逃す老君ではない。
『集中攻撃、開始』
 戦艦『穂高』の全力砲撃。
 そして後方に退いた巡洋艦『梓』『桂』『淀』の3隻からはフルパワーでの魔力砲(マギカノン)が放たれた。
 『穂高』の主砲、口径46センチの魔力砲(マギカノン)6門に加え、30センチのレーザー6門。そして、巡洋艦からの魔力砲(マギカノン)27門が斉射される。
 不安定になった障壁(バリア)はこの猛攻に屈した。
 そして、さらに不安定になった障壁(バリア)は、ついに消滅。
『連続砲撃!』
 この機会を逃してはならじと、レーザーと魔力砲(マギカノン)が放たれる。
 光線兵器と実弾は、『ディスアスター』を文字どおり削り取り、破壊していった。

『攻撃、一時休止』
 2分後、老君は攻撃を一旦止めさせた。
 『ディスアスター』はやや傾きながらも浮かんでいる。
 その5分の1ほどは破壊されていた。
 『中破』といった損傷であろう。
『ですが、まだ航行機能はあるようですね』
 相変わらず、ローレン大陸方面へ向けて航行中である。
『海中からの攻撃で推進器を破壊しましょう』
 そして老君はマーメイド部隊へ改めて指示を出したのである。

 マーメイド部隊の戦闘力は低い。
 その存在意義は海中の探索にあり、戦闘はおまけのようなものだ。
 が、一旦戦闘になれば、その能力は類を見ない。
 戦闘力に関わらず、武器を手にすればその真価が発揮されるのだ。

魔力爆弾(マナボム)設置』
 転送機によって送り込まれるため、補給にはこと欠かない。
 数百個の魔力爆弾(マナボム)が『ディスアスター』の艦底に取り付けられた。
 そしてそれは魔力信号によって一斉に点火される。

[ぐおおおおっ!?]
 『ディスアスター』の巨体を揺るがすほどの爆発が生じた。
 しかも今度は艦底で、だ。
 底部装甲が破れ、一気に海水が流れ込む。非常用隔壁だけでは食い止めきれず、『ディスアスター』はさらに傾いた。
[修理を急げ!]
 配下、というよりも己が使役する各種ゴーレムに修理を命じる中央頭脳。
[海中からの攻撃とは……]
 『ディスアスター』は未完成。海中からの攻撃には全くの無防備であったのだ。

 修理の最中、再度の爆発が生じ、20基ある推進器の半数が停止した。
 そしてもう一度。
 推進器は全て停止し、『ディスアスター』は海上を漂うことになった。

『あと一息ですね。『穂高』、追撃』
 戦艦『穂高』のレーザー砲が『ディスアスター』の艦体に新たな穴を穿つ。
 『ディスアスター』の反応がないことを確認した老君は砲撃をやめさせた。

*   *   *

「す、凄まじいわね」
「……まったくだ」
 ビーナの言葉を皮切りに、宇宙空間にある『アドリアナ』からその様子を見ていた面々は溜め息をついた。
「あれだけの攻撃を受けても沈まない『ディスアスター』も凄いと思うけどな」
 仁が相手の分析をする。
「だが、単純に沈めてしまうのももったいないというか、もっと情報を引き出せないかとも思うんだが」
 ラインハルトが冷静な意見を述べた。
「それは俺も考えてる。問題はそれが可能かどうかだ」
 ここで老君からの連絡が入った。
御主人様(マイロード)、『ディスアスター』の障壁(バリア)が消えましたので、『覗き見望遠鏡(ピーパー)』が使えるようになりました』
「お、それは朗報だ」
『はい、これより『ディスアスター』内部の調査を行います。映像はそちらにも回しますので』
「頼む」

 サブ魔導投影窓(マジックスクリーン)が明るくなり、そこに『ディスアスター』内部が映し出された。
「こっちの構造は少し違うな」
 侵入したのは元々の『移動基地』だったので、その違いがわかる。
「やはり『ヘール人』の設計だから?」
 エルザも疑問を口にした。
「それはどうだろうな。『始祖(オリジン)』も元々はヘール人だったわけだし」
 あの異形のゴーレムには何か理由があるのだろうと思わずにはいられない仁である。
 そして映像は1つの魔導機(マギマシン)を映し出した。
「これは……」
魔力炉(マナドライバー)だな」
 仁が断定する。
魔力反応炉(マギリアクター)を使わないのは、自由魔力素(エーテル)がない場合は魔力貯蔵庫(マナタンク)を使えるように、か。面白い考え方だ」
「これを切り離せば、『ディスアスター』は完全に停止するわけか?」
 ラインハルトの質問に、仁はちょっと考えてから答える。
「うーん、どうかなあ? だが、検討する価値はあるか」
 対『ディスアスター』戦は決定的段階を迎えようとしていた。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20161113 修正
(誤)全体か見たら微々たるものとはいえ、『ディスアスター』の船体が裂け、海水が流れ込んだのである。
(正)全体から見たら微々たるものとはいえ、『ディスアスター』の船体が裂け、海水が流れ込んだのである。

(旧)武器を手にすれば、その真価が発揮されるのだ。
(新)戦闘力に関わらず、武器を手にすればその真価が発揮されるのだ。
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